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新人研修。

「ほら、これでウマイ飯でも買って食え。お前、今金欠なんだろ。これを持って大人しく自分のデスク(ハウス)に戻りな」 「わ~! 柏木パイセン昼飯代タダでくれるんっすか!? さすが先輩、いざというときに頼みになるな~! あっ、阿川。お前が遅刻したことは黙っておいてやるよ、俺に感謝しろよ!」 「わー。ありがとうございます。たすかります。さすが萩原先輩、優しいですね」*(棒読み) 「そうだろそうだろ、俺っちは優しいからな!」 彼は柏木から貰った千円札をオデコに貼り付けてエヘンと偉そうに堂々と威張った。その横で柏木が小さな声で呟いた。 「お前がチョロくて助かるよ」  ボソッ。  萩原は知らない。柏木が彼に対してお子様扱いしていることを――。  色々と萩原が散らかして去ったあとに、二人は元の本題に戻った。 「……そう言えば阿川は今、あいつに教わってるんだっけ?」 「ええ、って言っても今日から『本格的』に仕事について教わります」 「――そうか。まあ、色々と大変だけど頑張れよ。俺も新人の時だった頃は先輩達にコキつかわれて教わってきたけど、今ある自分はそんな時の苦労を積み重ねて今があるからお前も負けるなよ!」 柏木は不意に自分の新人だった頃の経験を話すと阿川の肩をポンと叩いて励ました。その言葉の重みに彼は理解すると一言『はい、頑張ります!』と返事をした。 「なあ、ところでお前、葛城のことどう思う? 大丈夫そうか?」  その言葉に阿川は下を俯くと視線を反らした。 「そーですねぇ……。よくわかりませんね。 ただちょっと気難しい人って言うか……。なんか、無機質で距離感とか感じちゃいますね…――」 「まあ、大体そうだろうな。葛城はな。あまり人とか話すの苦手なタイプみたいだから、なんでも壁作って周りと距離とかとるけどさ。たまに誤解されがちだけど、ホントは根は良い奴だからさ。まあ、それなりに親しくなったらお前も葛城には慣れてくると思うぞ。あとはお前の頑張り次第で彼から信頼を勝ち取るしかないけどさ。まあ、俺からのアドバイスはこれだ」 「はぁ…。わかりました。ありがとうございます」 「あ、そろそろ外回りしてくるから行かないと。阿川じゃあまたな!」  柏木は自分の腕時計を見て確認すると、足早に去ろうとした。すると阿川が不意に質問した。

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