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レコ上げ兼ねてのミーティング(4)

それからまた、数時間は飲み続けただろうか… 流石に会もお開きになった。 今度はサエゾウが、 テーブルに突っ伏して、寝落ちていた。 「サエも、頑張ったからなー」 「うん…」 「じゃあ、俺らは帰るけど…」 「サエ置いてっていいよね?」 「…ああ、大丈夫」 そしてシルクは、見送り際に…カイに言った。 「ヤっちゃうかもしれないよー」 「ふふっ…いいんじゃない?…久しぶりに」 そしてカイは続けた。 「元々、サエシルも、うちの売りだったからねー」 「…そうだったね」 「じゃ…サエよろしく」 「気をつけてね」 バタン。 そして部屋には、 テーブルに突っ伏したままのサエゾウが残された。 とりあえずシルクは、 テーブルの上の食器やグラス片付けた。 それから、床に布団を敷いて… サエゾウの肩を揺らして言った。 「サエー…布団で寝て」 「んん…」 シルクは、半分寝てるサエゾウの… 身体を抱き起こして、布団に寝かせた。 「…」 サエゾウは、そのまま…また寝てしまった。 (サエ…ホントに頑張ってくれたからなー) シルクは、彼の頭を撫でながら思った。 (サエがここに泊まるの…いつぶりだろう…) シルクは、彼の身体に毛布をかけると、 立ち上がって、サエゾウが座っていた椅子から、 彼と一緒に落っこちたクッションを拾った。 ガチャン… 何かが落ちた。  (…ん?) それは、カギだった。 (誰のかな…一応皆に訊いとくか…) シルクは、スマホを取り出して… LINEにメッセージを打った。 ピコン すぐに僕が返信した。  それ、絶対ショウヤさんのですー それを読んだシルクは、 今度は個人的に僕にLINEをくれた。  今どこ?  ショウヤさんち入れなかったのでウチ  ショウヤ寝てる?  爆睡www シルクはちょっと考えてから…続けた。  下まで持ってく  出てこれる?  りょーかい そしてシルクは、そのカギを持って、 こちらも爆睡中のサエゾウを残して、部屋を出た。 僕は、うちのビルの階下まで下りて… シルクが来るのを待った。 ほどなく、向こうからシルクがやってきた。 「大変だったな」 「…わざわざゴメンね、ありがとう」 そして彼は僕に、カギを渡した。 「…皆、帰ったの?」 シルクは少しだけ間を置いて…言った。 「サエが居る」 「…」 「寝てる」 「…そうなんだ…」 僕は少しだけ…胸がズキンとした。 「…だから、お前はショウヤをよろしく」 「…わかった…」 僕の表情を見て、シルクは意地悪そうに続けた。 「妬いてる?」 僕はギュッと口を結んで、 大きく首を横に振って…言った。 「僕だって、サエさんといっぱいヤってるんだから…妬く理由がない」 「…そうだよなー」 そして…僕は下を向いて…小さい声で、言った。 「…理由は無いのに…なんでこんな変な気持ちになるのかな…」 それを聞いたシルクは、僕の腕を掴んで… ビルとビルの間の隙間に、僕を引っ張り込んだ。 「…っ」 そしてシルクは…僕を力強く抱きしめると… 僕の顔を両手で押さえた。 「…俺は…ちょっと妬いてる…」 言いながら彼は、僕に口付けた。 「…んっ…」 すぐに僕らは、舌を絡め合った。 シルクの激しい舌使いに… 僕はまた、ボーッとなってしまった。 ゆっくり口を離して、彼は言った。 「あとはショウヤに可愛がってもらえ…」 「…」 僕は、たまらない気持ちになった。 そして、彼の背中に手を回して… 力いっぱい、彼の胸に縋り付いた。 「…シルクは…サエさんと…するの?」 「どうかなー」 「…」 そして僕は、精一杯の言葉を…続けた。 「労ってあげて…」 「…」 シルクも…いつになく、 たまらない風な…余裕のない笑顔で、僕を見つめた。 僕らはまた…どちらからともなく口付けた。 「じゃあね…」 「…うん」 そしてシルクは… サエゾウの待つ自分の部屋へ帰っていった。 彼の背中が見えなくなるまで… 僕はそこに立ちすくんでいた。 部屋に戻ったシルクは、 つけっ放しだった、部屋の電気を消した。 そしてすぐに…自分も布団に入った。 「…ん…」 モゾモゾと…サエゾウが動いて、 シルクの方を向いて…少し、目を開けた。 「…シル…ク…?」 「…うん」 「何で…いるのー?」 「皆が、お前のこと置いてっちゃったから…」 「…カオルはー?」 「ショウヤと帰ったじゃん…一緒に見送ったの覚えてないの?」 「んー…そうだった…」 と、サエゾウは… 両手を伸ばして、シルクに抱き付いた。 「じゃー今日は…シルク独占ー」 言いながら、彼はシルクに口付けた。 「…ヤる?」 シルクは… 囁くように、サエゾウに言った。 そうでもしないと、 自分の中のモヤモヤを… 彼は、抑える事が出来なかったのかもしれない。 「うん…ヤりたいー」 そう言ってサエゾウは… 再びシルクに、激しく口付けた。 「んんっ…」 そして口を離したサエゾウは、言った。 「たまに体感しないと、シルクのリズムが分かんなくなっちゃうからねー」 あー なんだかんだ言って、結局バンドのため? それとも、そういう言い訳なんですかねー

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