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デートのあとで(1)

ショウヤの家の階段を下り… 彼に手を振って…僕は何気なくスマホを取り出した。 あ、LINEきてる… 僕はそれを開いた。 シルクからだった…  今日いる?  昨日の残り物、お前の大食いで片付けてくんない? いつきたんだろう? 時刻を見ると、ちょうど1時間くらい前だった。 僕は急いで返信した。  ちょっと食べちゃったけどまだ食べれる  行っていい? そして、クルッと向きを変えて、 シルクの家の方に歩き出した。 もう間に合わないかなー 僕は、開きっ放しのLINEの画面を、 凝視ながら歩いた。 ほどなく既読がついた。  うん 僕はホッとした。 そして急ぎ足で、シルクの家に向かった。 ピンポーン ガチャッ… 「お疲れー」 「…」 何だろう… シルクの顔を見て… 僕はとてもホッとした気持ちになった。 「お邪魔しますー」 僕は彼の後について、部屋に上がった。 「どっか行ってたの?」 「あ…うん」 シルクは冷蔵庫から、色々出しながら言った。 「ショウヤと?」 「…うん…」 あー ここにもまた、見透かす人がいた… 何で僕の周り、こんなんばっかりなんだろうー 「…食えるの?」 「…はい…全然、食べれます…」 実際…飲んだ後って、何でか分からないけど、 妙に小腹が空くものなのだー しかも今日…割とオシャレな 量控えめのイタリアンだったし… 「ハイボール缶も残ってるから、テキトーに飲んで」 僕は、冷蔵庫からそれを出して… すぐに缶を開けた。 そして、飲みながら… チンされた皿を、テーブルに運んだ。 ほどなく… 割といい量の料理で、テーブルが埋まった。 「お前が、割と早い段階で離脱したからなー結構残っちゃったんだよね…」 「あはは…サエさんがいたのに」 「あいつも割と早くに落ちたからなー」 「…そうだったんだ…」 そして僕らは、改めてテーブルにつき、乾杯した。 「鶏のご飯、残ってて嬉しいー」 僕はまた、バクバク食べ進めた。 僕の10分の1くらいの遅さで、 それらをつまみながら… シルクは、言った。 「ショウヤと…どこ行ってたの?」 僕は食べながら答えた。 「…撮影兼ねての散歩…かな…いっぱい歩いた」 「ふうーん…」 「なんかね、PVのイメージとかって…森みたいな所で、歌わさせられたりもした」 「あはははっ…何か目に浮かぶわー」 「…そんで、あすこの…コンビニの地下のイタリアンの店に行った。ショウヤさんの行きつけなんだって」 「へえー俺、行ったことないな…」 「僕も初めて入った…でも全然、気取らない居酒屋っぽい良い店だったよ」 「そうなんだ…行ってみたいな」 「ハイボールも、レモンサワーもあった」 「今度リハ上げで行ってみるか…」 僕は、今日のショウヤとの1日の様子を、 事細かにシルクに喋った。 彼は…笑って聞いてくれた。 ハイボール缶のおかわりもして、 料理もあらかた…楽しく食べ進めてしまった… 「ホントによく食べるなー」 シルクが、しみじみ言った。 「美味しかったー」 「いやマジで助かったわ」 そう言って彼は、 空いた皿をキッチンに下げていった。 流石に割とお腹いっぱいになったので… 僕も片付けを手伝いに、席を立った。 「少し残っちゃったけど…」 「いーよいーよ、そんくらいなら、明日自分で食う」 残ったものを小皿に移したり、 食器を洗ったりしながら…僕はまた言った。 「今度皆で、お弁当持って公園行かない?」 「…弁当か…花見って季節じゃないけど、外で飲むのも楽しそうだな…」 「だよね、お弁当作るのも楽しそうじゃない?」 「うん…揚げ物とか、なかなかやらないからな…弁当だったら、思いっ切り揚げられるな」 あーやっぱり… ぜひ実現したいな、お弁当… 片付けも終わり… ベランダで、煙草を吸いながら… 僕は大きくあくびをした。 「…ふぅー…今日はいっぱい歩いて疲れた…」 「その分いっぱい食べて、相殺だな」 そして僕は…呟くように言った。 「…シルクんち…落ち着くね…」 「…どっかんちみたいに散らかしてないからね」 「…」 「ショウヤにも呆れられたんじゃないの?」 「…意外に生活感ありますねーって言われた」 「あははは」 「ギャップ萌えるって…」 「優しいな、あいつは」 煙草を消して…窓を閉めると、 シルクは言った。 「どーする…帰る?」 「…」 「泊まる?」 僕は…少し気恥ずかしい感じで、 彼の顔を見上げて…答えた。 「…泊まっていい?」 「いーよ」 言いながらシルクは、僕の頭に手を置いた。 僕は、ゆっくり彼の背中に両手を回した。 そしてまた… どちらからともなく口付けてしまった。

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