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ミーティング(1)

とある夜… こちらの2人がハルト宅に集合していた。 「どーする…とりあえず飲んじゃう?」 「そうですね、まあ飲みながらで大丈夫かと」 「じゃあ、乾杯〜」 2人は… 発泡酒缶とレモンサワー缶で乾杯した。 ハルトはPCから、 とりあえずトキドルのPV音源を流した。 「とりあえず…ザックリな流れ教えて…」 「はい…」 要は2人で、 ショウヤの思うところのイメージを共有して、 撮影場所、撮影方法、衣装、メイクなどを、 具体的に決めていこうという… とても大事なミーティングが行われようとしていた。 ショウヤは、例の用紙を片手に… 曲に合わせてイメージを語っていった。 ハルトも曲に合わせて用紙を追いながら… メモを書き込んでいった。 「Deadは、なるほど廃墟のイメージだよね」 「はい、撮影会もやった、うちのスタジオでいいかと思います」 「演奏シーンはどうする?」 「それがなー…ライブハウスだと、なんか安っぽい感じになっちゃうし…」 「撮り方で何とかなんないかな…」 「それぞれのアップはいいけど…できれば4人一緒に演奏してる画も欲しい感じがするんですよね…」 「あー確かに…」 「まあ、そこの課題は…この曲に限らないんで、そこはちょっと保留にしときます」 「そだねー」 言いながら、2人とも… いったん自分の缶を再び手に取った。 「カオルとサエは白と黒の2種類着せるんでいい?」 「もう絶対、それがいいです!」 「割とシンプルでいいよねー」 「カオルさん、流血させても良いと思います…」 「お、それいいねー」 「後ろの2人は…何か刑務官っぽいのがいいかも…」 「…なるほどねーショウヤのセンス、面白いな」 「そうですか…」 ショウヤは、少し照れたように笑って… レモンサワー缶…2本めに突入した。 「真夜庭はねー自然の中で撮りたいんですよー」 「あーそうだよねー良い場所あるかな」 「これは思い切って…お金使おうと思うんですよ」 「場所代?」 「貸コテージとかに泊まりで…レンタカーも借りて、最小限のドラムセットも持って…」 「えーいいじゃん…ついでにバーベキューできる!」 「そうそう…そんな感じです」 「撮影合宿みたいでめっちゃ楽しそうー」 ハルトも2本めの缶を開けながら言った。 「衣装はどうがいいかねー」 「いろんな場面で、それぞれカオルさんと2人で遊ぶ…みたいなイメージなんですけど…」 「そっか…カオルは真夜中だから、パジャマか…」 「あ、それがいいかもー」 「そしたら他の3人は、それぞれの季節が分かりやすいようなのがいいかな…」 「いいですね、で…ソロんときとかは、全員グッチャグチャな感じに混ざるっていう」 「…で、最後は?…シュっと消えるんだな…」 「はい、カオルさんをひとり残して消えたいなと」 「うんうん…いい感じ」 「宵待ちも…夜の公園のイメージなんですよね…」 「じゃあ、同じロケ地でいけるかな…」 「ただ、演奏シーンは違う感じにしたいんですよね」 「…Deadもだけど…素人が演奏の撮影用のスタジオ借りるのっていくらかかるんだろうな…」 「…素人が出せる金額じゃないかもしれませんよね」 「ちなみに、写真撮るスタジオでは、演奏できないの?」 「あ、その手がありましたねー」 「そのスジだったら、お前プロじゃん…」 「ああ…一応そうでした…知り合いに聞いてみることにします」 そしてショウヤは、スマホを取り出して、 すぐにどこかに問い合わせを入れた。 「それだったら…ウチのスタジオでも、多少は出来るかな…だって、実際に音出すわけじゃ無いですもんね…」 「そーだよね…」 「でも、基本ウチの所…みんな狭いからな…やっぱ4人一緒ってのは難しいな…」 「宵待ちは衣装は、やっぱ和装でいい?」 「とても良いと思います!!」 なんて話しているうちに… レモンサワー缶が…どんどん空いていった。 おそらく2人とも、 知らず知らずにテンション上がっている感じだった。 「神様は?」 「神様は…僕らもエキストラで入りませんか?」 「ええーっ!?」 「宴っぽくしたいんですよ…仮面とか付けて…」 「あーなるほどねー」 「それに合いそうな、チャペルぽいスタジオは、ウチん所にあるんですよー」 「へえー」 ハルトもだいぶテンション上がっていた。 「それはそれで…またショウヤをイジるのが楽しそうだー」 「えっ…」 「あいつらイジって楽しいのは、まあ勿論なんだけどさ…こないだみたいに、ショウヤを変身させるのとか、違う意味で、すごく楽しかったんだよねー」 「…」 水道局の方から来た人ですね… 「あの曲の衣装は…みんなめっちゃ豪華にしたいな…ベルサイユっぽい感じ?」 「…ベルサイユ時代の…地下組織なイメージでお願いします」 「黒ミサっぽい感じかなー」 「そうそう…で、カオルさん生贄イメージ」 「あー妄想膨らむわ…」 そんな…テンションだだ上がりな2人の… 激しく真面目な妄想ミーティングの夜は、 まだまだ続くのでありました…

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