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ミーティング(2)

「だいぶイメージ固まったな…」 「ハルトさんのおかげです」 「いや、ショウヤが分かりやすくテンプレ作ってくれてたからだよー」 2人の、楽しいミーティングは、続いていた。 「さしあたり…Deadから撮ってみますかね…いつもの場所から始められるし」 「そうだな…白黒衣装は在庫でいけそうだし…」 ハルトは立ち上がって… 衣装部屋を漁りに行った。 そして、いくつかの白黒の衣装を出してきた。 「こんな感じかなーって…」 ショウヤは、とても真剣な眼差しで、それを見た。 「あーサエさんはまさにそんな感じですけど…カオルさんの白は、もうちょっとシンプルでもいいかも」 「そーね…いっそ何もない白シャツでいいのかもね」 「はい…で、血のりで…」 「黒は、まさにこのイメージだよねー」 「はい、まさに、黒いカオルさんで」 「後ろの刑務官コス衣装…ポチっとかないとな…」 言いながらハルトは、スマホを取り出した。 「あーこの、ロングコート的なのがいいな」 ハルトは、画像をショウヤに見せた。 「うわーそれ、めっちゃ良いです!」 「よし、じゃあ…まずはココから始めよう」 「はい!」 そして、また2人とも… 新しい缶を開けてしまった… 「とりあえずここまで決まったから、今日はもういいんじゃない?」 「そーですねー」 「あとは飲もう」 「…はい」 そして彼らは、トキドルの音源をBGMに… 気持ち良く飲み進めた。 「ハルトさん…」 「…ん?」 「僕は、ホントに幸せです…こんな素晴らしいバンドに関わることができて…」 「んー俺も、そう思ってる…」 スイッチ入ってきたのか… ショウヤは、だんだん熱く語り始めた。 「PVが完成したら…トキドルの写真オンリーの個展をやろうと思うんです」 「え、そんなの…割に合うの?」 「ウチのスタジオのどっかを使おうと思うんですよ…そしたら場所代かかんないし…」 「なるほどねーでも、割とわかりづらい場所なんじゃない?お客さん来るかな…」 「お客さんなんか…来なくたっていいんです」 「…えー!?」 「僕が…トキドルの写真に囲まれる空間を、作りたいんです…」 ショウヤは…半ばウットリした表情で言い切った。 「…」 さすがのハルトも、若干引いてしまった… 「…それ、家じゃダメなの?」 「ダメですよー全然違いますよー」 「…」 ちょっと黙ってしまったハルトに向かって、 ショウヤは更に語った。 「想像してみてください、ハルトさん…」 「…え?」 「あの4人の…等身大の人形があって…」 「…」 「それを、ハルトさんの好き放題、やりたい放題に、着飾れるとしたら…」 それを聞いて…ハルトはハッとした。 そんな夢のような… パラダイスな状況があるだろうか… ハルトも、うっかり妄想してしまった。 4人の等身大フィギュアが、何体もあって… 部屋もちゃんと作って… それぞれの場面ごとに、彼らを着飾れたら… 「確かに…家じゃないわ」 「でしょう?」 「俺も…個展やりたくなっちゃった…」 「よかったら、僕の個展の一角でやりませんか?」 「…」 ハルトは、しばらく考えてから…言った。 「さしあたり…リカちゃん人形でやるか…」 「あ、それでも良いと思います、マジで!」 「100均の…なんとかちゃんから始めるかな…」 「むしろ、その方がオリジナルっぽいですよ」 「マジで…考えてみるわ」 「ぜひぜひ、楽しみにしてます!」 そんな楽しい企画も生まれた。 なんと充実したミーティングだろうか… 「そういえば…ショウヤ、こないだあの後、カオルとどうなったの?」 ハルトが、ふと思い出して訊いた。 「…あの日は…僕が家の鍵を落としてきちゃったので、カオルさんちに泊まらせてもらいました」 「へーそうだったんだ…」 ハルトは、缶をゴクンと飲みながら… 興味津々な感じに続けた。 「どーだったの…?」 「…」 ショウヤは、意味深な感じで含み笑った。 「ヤったの?」 「…はい」 「どっちがどっちだったの…?」 ハルトは、更に身を乗り出した。 ショウヤは、 更にニヤニヤ思い出し笑いながら続けた。 「僕が…可愛がりました」 「ええー意外〜」 「だって、カオルさんが…めっちゃ可愛い過ぎて…」 「…うん」 「二次元スイッチ押されちゃったんです…」 「何だそれ…」 「いわゆる…黒い方ですねー」 「なに、ショウヤも白と黒あるのかー?」 「いつもネット上でしか使ってないんですけどね…」 「はあ…」 「うっかり…そいつが出て来ちゃいました…」 「…」 ハルトは、また若干引いていたが… とりあえず続けた。 「…ま、いいや…で、どうだったの?」 「…失神させちゃいました…」 「えっ?」 ショウヤは、ドヤ顔になって言った。 「僕がカオルさんを…覚醒させました…」

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