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撮影開始(3)

2人に身体を拭かれ、ズボンも履かされて… 半ば放心状態で、僕は… ハルトに抱き抱えられて、下に降りた。 「あーあ…」 僕の様相を見て、 シルクは、状況を察した。 「ちょっとやり過ぎちゃったー」 後から降りてきたサエゾウが、 ペロッと舌を出しながら言った。 ハルトは僕を、 絨毯の敷いてある部屋に、そっと横に寝かせた。 「ちょっと休んだ方がいいよね…?」 「…」   「サエー」 カイが、ちょっと怒ったような口調で言った。 「だってカオルがー…もっともっと欲しいーって顔してたんだもんー」 「これから撮影するっつーのに…」 「でも、すーごくいい動画…撮れちゃった…」 「ホントですか?」 ハルトは自分のスマホを操作して、 ちょうど、僕がカメラ目線になった辺りを再生して、 ショウヤに見せた。 「…ほら」 「…」 ショウヤはそれを見て… 他の人が見てもわかるくらい、ゾクゾクっと震えた。 「…これは…ヤバい…」 「どれどれ」 「見してー」 「…」 3人様も、画面を覗き込んだ… 「うわ…」 「…あーあ…」 「これ、俺がイかせたんだからねー」 サエゾウが、得意気に言った。 「…」 人の恥ずかしい動画を、 そんな見せびらかさないでください… 思いながらも…僕は、 それを訴える気力が無かった… 「刑務官は、だいたい終わったの?」 ハルトがショウヤに訊いた。 「はい、あとはカオルさんと一緒の場面だけです」 「…そっか…どうかな…カオル」 皆、一斉に僕の方を向いた。 「…大丈夫です…やります…」 僕はそう言って、ゆっくり起き上がった。 シルクが、僕に近付いてきて、 僕の身体を支えた。 そして、僕の顔を覗き込んで… ニヤッと笑って言った。 「…そうだな、いい顔んなったんじゃない?」 「…」 「白いカオルぽくなった…」 「…そう…?」 僕は、シルクに支えられながら… 若干フラつきながら、立ち上がった。 「じゃあ…やってみましょうか…」 ショウヤは、僕を部屋の一角に誘った。 「とりあえずここで、フルで歌ってください…歌うフリだけでもいいです」 「…わかりました」 「じゃあ、曲かけるね…」 カイが言った。 「音量、大きめでいったらいい」 シルクが続けた。 そして、割と大きい音量で… Deadの曲が流された。 サエに姦られたからだろうか… イントロのギターのリフが、 シュッと、僕の身体の中に入ってきた。 そして僕は… 『白いカオル』になっていった… 「いい感じに入れたみたいね」 ハルトが遠目で見ながら、呟くように言った。 「俺のおかげー」 「それにしたってやり過ぎだろ」 「…いや、いーんじゃん、やり過ぎくらいしないと、あいつのスイッチ入んないから…」 シルクが言った。 カイは、それを聞くと… 自分のハイボール缶を飲みながら、 ふふっと笑って続けた。 「お前がそう言うんなら…きっとそうなんだな…」 「…?」 シルクは… えっ?っていう顔で、カイを振り向いた。 「だってお前、めっちゃカオルのこと…分かってんじゃん」 「…そうかあ?」 「自覚ないの?」 「…」 「やらしく餌付けしてっからねー」 サエゾウが、からかうように言った。 「…そーいう事にしとくわ」 ふふっと笑って… シルクもハイボール缶を飲んだ。 それから僕は、ショウヤの指示のもと… 場所を変えて、フルで歌う…っていうテイクを、 何度か繰り返した。 やり過ぎのおかげで、その度に僕は… 『白いカオル』に入っていく事ができた。 「ふぅーお疲れ様でした…」 ショウヤは、いったんカメラを置いた。 「…大丈夫でした?」 「はい、スッゴく良かったです!」 ショウヤにそう言われて、僕はホッとした。 彼は更に続けた。 「この勢いで、刑務官と一緒のと、黒いサエさんと一緒のも撮りたいんですけど…大丈夫ですか?」 「…」 ええー まだそんなに撮るのー? 僕はうっかり…思ってしまった。 「じゃあ、少し休憩してからにしましょうか…」 ああ… 見透かされてしまった… 「ていうか…カオルさん…休憩がてら、横になっててくれても大丈夫ですから」 「えっ?」 「白いカオルさんの後ろに、刑務官さん達立ってもらって…見下ろしたり、たまに弄ったり…してもらえますか?」  「…なるほどね」 言いながらカイが立ち上がった。 シルクも立ち上がった。 「じゃあ、連れて行くか…」 「はい…そんな感じでお願いします!」 …どんな感じなんでしょうかー あれよあれよという間に、カメラは回され… 僕は、カイとシルクに両腕を掴まれながら… 向こうへ運ばれて行った。 そして2人は、僕を足元に転がすと… 悪者の表情になって、僕を見下ろした。 「いいですねー」 呟きながら、ショウヤは目を輝かせた。 それから2人は、 僕の上半身を起き上がらせて…顔を撫でたり、 後ろ手に捕まえてたり… 両側から腕を掴んで引っ張ってみたり… なんていうか… 僕を虐めている感じを演じていった。 僕はその度に、嗜虐に怯える『白いカオル』の顔に… ほぼ素で…なっていた… 「楽しそうだなー」 サエゾウが呟いた。 「サエさんは、黒になっといてください」 「そっか…黒んなって白カオをもっと苛めていいんだなー」 彼は嬉しそうに言った。 「あんなにヤったのに…まだ足りないの?」 ハルトが呆れた表情で言った。 「足りない!」 サエゾウは、キッパリ言い切った。 …僕はもう割と、お腹いっぱいですけどね… こっちの2人に見下されて… 床に転がりながら…僕は思った…

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