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撮影開始(4)

そして… 完成した『黒いサエゾウ』が… 僕らの所へやってきた。 「おおー」 「いいね、黒サエ…」 「ふふん…」 ナルシストサエゾウは、 悪い顔になって、カメラに目線を送った。 「めっちゃ良いです…黒サエさん!」 黒サエは、刑務官2人の間に立って、 蹲る僕を見下ろした。 それからまた、さっき2人がしていたように… 僕をいたぶった。 「ああ…いい感じです…カオルさんの悲しそうな顔も、めっちゃいい…」 「…」 …素ですけどね… 「よかったら…ヤっちゃっても…いいです…」 「マジかー」 あーもう… 無責任なこと言わないでくださいショウヤさん… 「ヤったら…黒いカオルに変貌するかもしれないな」 シルクも同意した。 あーもう… 苛めっ子なんだからー 「じゃあ…ヤっちゃえー」 サエゾウは、そう言いながら… 僕の身体を仰向けにした。 「そういう事なら…遠慮なく…」 言いながら、カイは… 僕のズボンに手をかけた。 シルクは、僕の両腕を…ガッチリと押さえた。 サエゾウは、敢えて立ち上がって… ニヤっと笑って僕を見下ろすと… いやらしそうに言った。 「お前が変貌するとこ、視姦しててあげるー」 「…っ」 カイが、僕のズボンを脱がせた。 シルクは上から…僕のシャツのボタンを外した。 僕は、なすがまま… 少し悲しそうな表情で、サエゾウを見上げた。 「…」 ショウヤの、カメラを持つ手が少し震えた。 「…ホントに変貌するかもしれないな…」 そして僕は、シルクに乳首を愛撫されながら… カイに、激しく挿入された。 サエゾウがそれを上から見下ろしていた。 いつものように、快感の渦に飲まれながら… 僕の中に…何か、不思議な感覚が生まれた。 「…んんっ…ん…」 「…ハルトさん…黒の準備しといてください…」 ショウヤが、少し興奮した口調で言った。 「了解!」 ハルトはすぐに、黒い衣装を取り出した。 「…んんっ…あっ…はぁっ…あ…」 ほどなく絶頂を迎えた僕は… 余韻に震えながら…目を閉じた。 「よし、切り替えましょう!」 ショウヤの合図のもと、 あれよあれよと言う間に、 僕は4人がかりで着替えさせられた。 ハルトは、仰向けで目を閉じたままの僕の顔を… 『黒』へと塗り替えていった。 再び、目を開いたとき… 僕は既に『黒いカオル』だった。 シルクが、また…音源を流した。 「…歌ってください、カオルさん」 ショウヤが言った。 僕は…スッと立ち上がった。 他の3人も、そんな僕の様相を見て… 静かに僕から離れた。 そして僕は、完全に『黒いカオル』になり切って ショウヤに言われるまま、何テイクも歌った。 刑務官2人と一緒に立って、 白いカオルを見下す場面では、 2人よりも悪い顔になった。 黒サエと絡みながら歌うテイクでは、 逆に黒サエを圧倒した。 「…すげーな、カオル…」 「よくもまあ、あんなにスイッチ入るもんだな…」 「入るまでに時間かかるけどな…」 シルクは、ふふっと笑いながら、 お母さんのような目で、僕を見つめていた。 「お疲れ様でしたー」 やがて、ショウヤがその日予定していた、 全ての動画を撮り終えた。 「ふうー」 僕は大きく溜息をつくと、 ヘナヘナと…その場に座り込んだ。 「カオル、お疲れー」 サエゾウが、僕の横にしゃがみ込んで、 僕の頭を撫でた。 「大変よくできましたー」 「…っ」 僕の黒スイッチは… シュウーッと音を立てるように、終息した。 そしてそのまま、バタッと床に倒れてしまった。 「とりあえず乾杯しよー」 「そうしよう…」 彼らは、バタバタと…新しい缶を開けた。 「お疲れ…」 言いながらシルクが、 横になったままの僕の目の前に、 ハイボール缶を差し出した。 僕は、ゆっくり起き上がって、それを受け取った。 「お疲れ様でした、ありがとうございました」 「乾杯ー」 「お疲れー」 「にゃー」 ショウヤの掛け声で、僕らは乾杯した。 とりあえず終わった… 乗り切れてよかった… 「その衣装着させてー」 そう言ってサエゾウが、 カイの刑務官衣装を身に付けた。 「似合うな…俺には負けるけど」 「えー」 「サエさん、撮らせてください」 「撮って撮ってー」 サエゾウは、その格好で… ショウヤのカメラに向かって、 何度もカッコよく…ポーズを決めた。 「お前も、これ着てみる?」 シルクが僕に言った。 「…」 「是非着てみてください!」 僕が返事するより先に、ショウヤが叫んだ。 致し方なく… 僕も刑務官になってみた… 「…」 ショウヤは… カメラを構えたまま、黙ってしまった。 「…うーん…何か違うなー」 「サエは似合ってんのにね…」 「何が違うんだろうな…」 なんでー? 「お前、それ似合わないねー」 サエゾウも、とてもハッキリ言った… とりあえず僕は、鏡を見に行った。 「…」 確かに…何か似合ってなかった… 何が違うんだろう… 僕はすごすごと戻った。 「カオルがいい子過ぎるからじゃないかな…」 ハルトが言った。 ああ… やっぱハルトさん…優しいよな… 彼は続けた。 「そんな刑務官だったら…受刑者に姦られて逃げられちゃうよね」 「…」 そんなに優しいってわけでもなかった…

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