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悩めるショウヤ(3)

「うーん…」 PCの前で… いくつかザックリ編集した宵待ちを見返しながら、 ショウヤは若干の暗礁に乗り上げていた。 (だいたい良いんだけどな…) (まあ…どのように作っても、みんなカッコいいから絵になっちゃうしなー) ショウヤは立ち上がって… キッチンからレモンサワーを取ってきた。 それをグビグビ飲みながら… 彼は、撮り溜めた、編集前の動画の方を、 もう一度見返していった。 「…」 そして彼は、ハッと思い立って…また立ち上がると、 今度はティッシュを持って戻ってきた。 (そうだ、とりあえず…裏宵待ちを作ろう…!) ショウヤは、ニヤニヤしながら… マウスを握って、PCの画面に齧り付いた。 イントロから… 気崩れて地べたに放置される画を差し込んだ。 歌いながらサエゾウに脱がされていく画も、 本編では表情だけしか使わなかったが、 こっちは、胸元をズームしていった。 演奏風景を薄く流しながらも… いちいち、弄っている手元と、 それに反応する、僕の表情のアップを入れていった。 (…うんうん、エロい感じになった…) 2番のサビからソロにかけては、 カイサエに挿れられている場面をベースに… それぞれの、カッコいいソロ映像を差し込んだ。 静かなBメロには、 聖地巡礼の、思い出動画をメインに、 サエゾウに絡みつかれる画を併せた。 最後のサビも、薄い演奏風景に… 公園で処理される画を、被せていった。 そしてまた最後は、放置される画… (…他に、エロい場面で、使ってないの無いかな…) ショウヤは入念に、元の動画をチェックして、 ここぞと思う場面を選んでは、 また、無理矢理差し込んでいった。 (スッゴい盛り沢山になっちゃった…) 彼は嬉しそうに、ニヤッと笑った。 そして改めて… それを最初から再生していった。 「…」 (ああ…もう初っ端からビクビクしちゃうな…) ショウヤは、やっぱり… 自分のモノに手を伸ばした。 曲に合わせていやらしく弄ばれていく… 完全無修正の、僕の姿を見ながら、 彼はどんどん息を上げていった。 (…ああ…エロい…カオルさんヤバい…) 「はぁ…はぁ…あっ…」 ショウヤのモノは、あっという間にいきり勃ち… ビクビクと脈を打っていった。 そしてそれは… 聖地巡礼の、月に向かって手を伸ばす場面で 最高潮に達した。 (…この背中を、僕の手で抱きしめたんだ…) 「…んっ…んんんっ…」 次の瞬間… ショウヤは静かに、吐精した。 その後も、エロく顔を歪める僕の表情を見ながら… 彼はそのまま…余韻を愉しんだ。 (…ああ…良い動画だ…) 自己満足に浸りながら、 ようやくティッシュで自分のモノを拭くと… ショウヤはまた、レモンサワーをグビグビ飲んだ。 (あー楽しかった…) そしてそれをファイルに落として… サエゾウに送った。  本編より先に、裏宵待ちが完成しました…  ご参考までに(笑   そして改めて、本編の編集に戻った。 楽しいだけの、何でもありな編集のおかげで… また新たな気持ちで、それに向かう事ができた。 (そっか…ここはさっきのみたいに薄く流して差し込んだらいいのか…) やらしい場面も、 そうでない箇所をズームすることで、 何となく意味深な雰囲気を醸し出していった。 (お、良い効果出た気がする…) 聖地巡礼の画も、当初の予定より多めに入れた。 最後のサビでは、重ねて調整するを屈指して、 本物の宵待ちの月の下で、 演奏している風景が出来上がった。 「…」 そこを見返しながら、 ショウヤの目から、自然と涙が溢れてきてしまった… (…何て切ないんだ…) もちろん本編も、 最後に、気崩れ放置画が差し込まれた。 (こんな良い画…もったいないけど…) (やっぱ、皆に見せなきゃ、もっともったいない…) そんな感じで… ようやく、納得の本編が完成した。 ショウヤはまた立ち上がって、大きく伸びをした。 何時間、こんな作業を続けているだろうか… すっかり身体が固まってしまった。 そしてまた、レモンサワーを取りに行った。 (また、カオルさん誘って散歩に行こう…) そんな事を考えながら、 彼はまたPCの前に座ると… レモンサワーを飲みながら、 本編をファイルに落として、サエゾウに送った。  本編できました  こんな感じで大丈夫ですか? 先にサエゾウから返信がきていた。  ヤバいぬけたー  淋しい夜のお供にサイコーだわー 「…」 もうぬいたのか… まー誰よりも先に、自分がぬいたんだけどね… またすぐ返信がきた。  いーよサイコーありがとうー いや、この返信の早さ… 絶対ちゃんと観てないでしょ… 本編どーでもいいのか… 作曲者なのに…   ショウヤは若干…複雑な気持ちになった。

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