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苦い再会(2)

それからまた、ひとしきり愚痴を言い… やがてシキは… 自分がトキドルにいた頃の話を始めた。 「カイとサエゾウは、昔からの知り合いで…シルクは、元々はカイの店のお客さんだったらしい」 へえー トキドル結成秘話…初めて聞いた。 「俺も、最初はお客で行ったんだ。知り合いに連れてかれて…」 「…」 「そんで、ボーカル探してるって言うんで、やってみる事になった」 「そうだったんですね…」 「俺さあ…とにかく、自分が一番じゃないとイヤだったんだよね…」 あーとてもよく分かります。 「トキドルって、俺がボーカルのくせに、何か俺が目立てなかったんだよ…」 あークセの強い人ばっかりですもんね… 「ヤるのは、そんなにイヤじゃなかったけどね」 …ん? もしかして、シキさんも…ウケだったのかな… カイシキはウケ…? サエシキの場合はセメっぽいけど… シルシキはどっちだ…? 「俺が挿れさせるワケないだろ!」 思わず想像していた僕に向かって、 シキが強い口調で言った 「そこまでは…ヤらせなかった…」 そうだったのー?! だったら、僕も最初からお断りするって選択肢もあったんじゃないの… まあ、いいんだけど… 「俺は、あのバンドのボーカルには、最初から不向きだったんだと思う」 「…」 「お前が入った後のを見ると、尚更ね…」 「…」 「お前の相乗効果で、皆のパワーがより引き出されてる。まさに…あれが完成形なんだなって、思うわ…悔しいけど…」 「…」 思いもよらないシキの言葉に… 僕はとても嬉しかった。 もちろん…自覚は無かったけど… 「逆に今のバンドが、俺には合ってるのかもね…なかなか一番にはなれないけどな…」 「…でも、シキさんが一番好きなファンも、いっぱいいるんでしょ?」 「…ん、まあね…」 「ちゃんと、見てる人は…シキさんを見てくれてるんだと思います…」 「…そうだよな…」 シキは、ジョッキに残っていたハイボールを グイッと飲み干した。 「ありがとう、カオル…お前と話せてホントによかったわ」 「僕の方こそ…貴重な話をいっぱい聞けて、嬉しかったです…」 「そろそろ出るか…」 「…はい」 そして僕らは、その店を出た。 「すいません…ごちそうさまでした…」 僕は彼に頭を下げた。 「はあー」 シキは、大きな溜息をついた。 「お前…ホントに、いいヤツだよな…」 「…そんな事…ないです」 「…また、欲しくなったゃった」 寂しそうに下を向きながら… 真面目な顔で、シキはそう呟いた。 そんな彼の様子を見て…僕は、 酔っていた事も手伝って…つい、言ってしまった。 「…ヤっても…大丈夫ですよ…今なら」 「マジで?」 シキは、驚いて顔を上げた。 「絶対に…ちゃんと…帰りますけどね」 「…」 シキは、思い切り僕の手を握った。 そして、僕を連れて足早にズンズン歩いていくと… そのまま僕を連れて、近くのホテルに入っていった。 「…」 僕は、ほんの少しだけ後悔しながらも、 なすがままに、彼についていってしまった。 手慣れた感じにフロントで受付を済ませ… 僕らは、貰ったキーと同じ番号の部屋に…入った。 バタン… カチッ ドアを閉め、鍵をかけた途端に… シキは、僕を思い切り抱き締めてきた。 「…カオル…」 言いながら彼は、激しく僕に口付けた。 「…ん…んん…」 口付けながら…舌を絡ませながら… シキは勢いよく、部屋の真ん中にあるベッドに、 ドサっと僕を押し倒した。 「…はぁ…んっ…」 息つく暇もなく、また口を塞がれた。 僕の胸元を弄りながら… 彼はいつまでも、僕の口の中を舐め回した。 少しだけ、緊張して硬くなっていた僕の身体が… その気持ち良い刺激によって、 どんどん溶かされていってしまった。 シキは、僕のシャツを捲り上げた… 「ああ…カオル…カオルだ…」 露わになった僕の乳首を見下ろしながら… 取り憑かれたように呟くと… 彼はそれを…貪るように舌と指で愛撫し始めた。 「ずっと欲しかった…お前のココ、舐めたかった…」 そんな彼のいやらしい囁きから 僕の胸に、心地よい寒気の様なものが走った。 それは…更に僕の身体を熱くさせていった。 「…んっ…あっ…ああ…」 僕の身体は、ビクビクと震えた。 「気持ちいい?…もっともっと、お前を気持ちよくさせたい…」 言いながら彼は、僕のズボンを脱がせた。 そして片手で僕のモノを握りながら、 また、乳首を…舌と指で愛撫した。 「はぁっ…ああ…あっ…」 僕は更にビクビクと震え… 僕のモノは、シキの手の中で、いきり勃っていった。 「…イっ…ちゃう…」 ほどなく…敢えなく、 僕は彼の手の中に、愛液を吐き出した。 「はぁ…はぁ…」 余韻に震える僕を、シキは満足そうに見下ろした。 「相変わらずエロいね…お前…」 囁きながら、彼はまた僕に口付けた。 そして、今まで僕のモノを握っていた手で… 僕の秘部を弄り…そこにゆっくりと指を挿れてきた。 口の中を、舌で激しく舐め回されながら… 押し挿れられた指で、気持ちいい辺りを刺激されて… 僕は再び、快感の波に飲み込まれていった。

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