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苦い再会(3)

押し寄せる快感に、身体を持っていかれながら… 朦朧とした頭で、僕は思った。 ああ…どうしよう… このままじゃ、また意識が失くなっちゃうかも… 「…やめて…ください…」 震える声で…僕は言った。 「…っ」 それを聞いたシキは、ふっと愛撫の手を止めた。 「…はぁ…はぁ…ぁ…」 ビクビクと震えながら… 僕は上がった息を、必死に整えた。 「…どうしたの?」 「…ごめん…なさい…少し…待ってください…」 「…」 シキは、意外にも… 僕の言う事を、ちゃんときいてくれていた。 「はぁ…っ…はぁ…」 ようやく息を取り戻してから… 僕は、小さい声で…彼に言った。 「…すいません…気持ち良過ぎて…意識が飛びそうに…なっちゃいました…」 「…!!」 シキは目を丸くした。 「…ホントに?」 「…はい…でももう…落ち着きました…」 シキは、少し心配そうな表情になった。 それを見て、僕は、恥ずかしそうに…言った。 「…もう…続けて大丈夫…です」 「…」 シキはそれを聞いて、 自分の服を勢いよく脱ぎ捨てた。 そして僕の顔を両手で押さえて、言った。 「それってさあ…」 彼はニヤっと笑って続けた。 「何なら、俺が失神させちゃってもいいの?」 「…」 僕は…少し怯えたような… ちょっと泣きそうな表情に、なってしまった。 そんな僕を見て… シキは息を荒げながら続けた。 「…心配しないで…ちゃんと返すからさ…」 「…」 「…もう、その顔…たまんない…」 取り憑かれたように言いながら… 彼はまた、僕に口付け…舌を絡ませた。 「…んっ…ん…」 いったん落ち着いたとしても、 既に火照り…疼いた身体は、 またあっという間に燃え上がってしまった。 シキはまた、僕の首すじに舌を這わせながら… 僕の両乳首を指で転がした。 「はっ…あっ…」 僕は顔を歪めながら、ビクビクと震え続けた。 再燃した快感の渦の中… またも朦朧としてきた僕の両足を、彼はゆっくりと開くと、太腿の内側に口付けた。 「ああっ…あ…ぁ…」 ゾワゾワとした感触は、僕の快感を更に波立てた。 そしてシキは、自分のモノを… 僕の秘部に押し付けてきた。 「…んっ…んあっ…あ…」 僕はもう…何も考えられなかった。 ねじ込まれる、彼のモノからの更なる刺激は、 ただでさえ熱い身体を、ぐちゃぐちゃに掻き回していった。 「…っ…ぁ…」 声を上げるのもままならない様子の僕を見下ろして… シキの息も、どんどん上がっていった。 「…すげー…ヤバい…」 呟きながら、彼は何度も抽挿を繰り返した。 何度も奥へ突かれる刺激は、 僕の身体の中のぐちゃぐちゃな感覚を… やがて大きなひとつの波に巻き込んで その極点へと押し上げていった。 「…っ…あっ…ぁ…」 力無く…ビクビクと震えながら… 僕は再び愛液を吐き出した。 「はぁ…あっ…」 そんな僕を見ながら、息を荒げながら… シキはまた、取り憑かれたように、 激しく腰を動かした。 「んんっ…はっ…カオル…っ」 そして、僕の中に… 生暖かく彼の愛液の感触が広がった。 その、ビクビクと脈打つ彼のモノに、 更なるトドメを刺されて僕は… やっぱりそのまま、何もわからなくなってしまった… 目が覚めると… 見知らぬ天井が、僕の目に映った。 …ん? どこだ、ここは… 必死に記憶を辿って… 僕はゆっくり身体を起こした。 そうだった…シキさんと… 見回してみたが、そこにシキの姿は無かった。 ベッド脇のソファーに、 僕のズボンや下着が、綺麗に畳んで置かれていた。 僕は、スマホを手に取った。 シキからのメッセージが入っていた。  宿泊料金で精算したからゆっくりしてって  今日はありがとう  カオルのおかげで色々パワー貰った 「…」 それを読んで… 僕は何ともたまらない気持ちになった。 僕は煙草に火をつけながら、 バッジの付いていた、LINEを開いた。 トキドルLINEに、螺旋の音源が貼り付けられていた。 「…」 僕はまた…違う意味で、 一層たまらない気持ちになってしまった。 僕は、シルクにLINEを送った。  実は…今日たまたまシキさんに会った すぐに既読が付いた。  で、どーした  ヤっちゃった? 「…」  でもすぐ解放してくれた 僕は…正直に、続けた。  そらそーだろ  あいつもそこまでバカじゃないだろ 「…」  ごめんね… 僕は思わず、そう送ってしまった。  よかったんだろ、いーじゃん  俺にもまたよろしく 「…」 悦かったし…いいよって言われてたし… しかも実際… シルクは何事もないように返してくれた。 それでも、釈然としない何かが… 僕の胸を激しく締めつけていた。 「いや…いいんだよね、これで…」 自分に言い聞かせるように呟いて、 僕は煙草を揉み消し、衣服を整えた。 「…帰ろう」 そして僕は、1人でそのホテルを出た。 家でひとりで飲んでいたシルクは、 空いたグラスに、ウイスキーを注ぎ足した。 そしてそれを、 一気に飲み干して…呟いた。 「ふぅ…平気なフリも、楽じゃないな…」 PCからは、螺旋の音源が流れていた。

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