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神様の2人(1)

その日の打上げは、 (珍しく)何事もなく、お開きになった。 まあ… 撮影時に既に生贄が失神したからね… 皆で手分けして、綺麗に片付けも済ませ、 特に居残る理由もなく、 僕は皆と一緒にシルクの家を後にした。 どちらにせよ、 シルクも明日は(珍しく)仕事があるそうだ。 車通り添いの、ショウヤの家の前で、 僕らは彼と別れた。 「じゃあ、土曜日よろしくお願いします」 そう言ってショウヤは、 自分の家の外階段を上がっていった。 「俺、荷物多いからタクシーで帰るわ」 そう言うハルトに、サエゾウが言った。 「あーだったら俺も乗ってくー」 「いいけど…あ、だったらカイも乗る?」 「俺はちょっと店寄るから…」 「あ、そうー」 言いながらサエゾウは、すぐにタクシーを捕まえた。 「お疲れー」 「じゃあ土曜日ね」 そう言い残して… 2人を乗せたタクシーは、走り去って行った。 僕は、カイと並んで歩き出した。 「お前んち、近いの?」 「はい…もう、すぐそこです」 まさに、もう…すぐに、 僕の家の前の通りに、僕らは差し掛かった。 「そこのビルの上です…」 「ふうん…」 ほどなく、僕の部屋のあるビルの前に着いた。 階段に続く扉の前で、僕らは立ち止まった。 「じゃあ…お疲れ様でした」 「うん…」 カイは、しばらく黙っていた。 「…?」 どうしたのかな…と思いながら、見上げる僕の… 視線をスッと逸らしながら、 カイは…小さい声で言った。 「今日って、神様な日だよな?」 「…??」 「ご本人でヤっても…いい日だよな…」 「…!」 そっか… 神様は、カイと僕が作った曲だ。 それの撮影だったんだから、確かに…神様な日だ! 僕は、少し恥じらうような表情で… 小さい声で答えた。 「…はい、いい日だと思います…」 「…」 そして僕は、 やっぱりちょっと、もじもじしながら続けた。 「…だったら…ウチ…来ますか?」 「いいの?」 「めっちゃ散らかってますけど…」 「いいよ」 そして僕は先に立って、階段を上がった。 カイが後ろからついてきた。 僕はドアの鍵を開けながら、振り向いて言った。 「…ホントに、散らかってますからね!」 「あはは…はいはい」 ドアを開けて、僕らは部屋に入った。 バタンとドアが閉まった途端に、 カイは、僕の身体を…力強く抱きしめた。 「…っ」 「何なら…電気つけなくていいよ」 「…」 「散らかってるんでしょ?」 「…はい…」 そのまま靴を脱いで、部屋に上がると… カイは、僕の身体を抱きしめたまま、言った。 「ベッドはどこ…?」 「…布団…ですけど」 僕は抱きしめられたまま… 布団のある部屋に向かった。 そしてそのまま…僕らは布団になだれ込んだ。 カイはすぐに、僕の身体を組み敷くと、 息つく暇もなく…僕のくちびるを塞いだ。 「…ん…んん…」 そんな激しいカイの行動に… 僕の胸はキュンとなっていった。 激しく舌を絡められて、 やがて僕の口元から、唾液がつたった。 ようやくゆっくり口を離れたカイは、 僕を見下ろして…濡れた口元を拭いながら、 囁くように言った。 「…ごめんね…さっきも散々、生贄にしたのに…」 「…」 「…シキんときも、きっとお前…こんな風に、OKしちゃったんだろうな…」 「…それは違います!」 そんな事を言い出したカイに向かって、 僕はムキになって否定した。 「シキさんと、カイさんは違います!」 「…」 「シキさんは…他所の人だけど…カイさんは…」 自分にとってのカイを…何と表現したらいいのか、 僕は必死に考えた。 「上手い言い方が見つからないけど…言ったらカイさんは…僕の身体の一部です…」 「…っ」 「もちろんシルクも…サエさんも…ですけど」 「ははっ…お前…そんな風に思ってくれてんの?」 「…だって…カイさんは、僕の事を、すーごく分かってくれてるじゃないですか…」 「…そうかな」 「今となっては…トキドルの3人が居なかったら…僕という人間は成り立ちません」 「…」 僕は…カイに向かって両手を伸ばした。 「シキさんは、可哀想だからヤってもいいかなって思ったけど…カイさんは…」 そして彼の顔を、両手で包んだ。 「カイさんは…大好きだから…ヤりたいです…」 「…!」 それを聞いたカイは、 また激しく…僕に口付けてきた。 「…んんんっ…んっ…」 その舌の感触と、 いつまでもキュンキュンが収まらない胸の感覚が… 僕の身体の芯から…ゾワゾワと快感を湧き立てた。 口を離れたカイは… 僕のパーカーのジッパーを下ろすと、 勢いよく両側に広げた。 そして、僕のシャツを捲り上げた。 「お前には、スイッチ入れられっ放しだな…」 そう言って彼は… 息を上げながら、僕の両方の乳首に指を這わせた。 「…んんっ…」 ビクビクと震えながら… 僕は、試しに言ってみた。 「…なるべく…優しく…してください…」 「…」 それを聞いたカイの目が… 更に大きく、キラッと光ったように見えた。 彼は僕のパーカーを、剥ぎ取るように脱がせると、 両手を上げさせて、 僕のシャツを…僕の手首の所まで脱がせた。 僕は…自分のシャツで、 手首を拘束される形に…なってしまった… 言うんじゃなかった… 完全に、増強スイッチの方に入っちゃったわ…

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