197 / 398

悩めるショウヤ(4)

そんな不穏な動きが起こっているとは知らず… ショウヤは、黙々と…編集作業に没頭していた。 前回のアレを踏まえて… 彼は最初から、裏神様の編集に取り掛かっていた。 それはもう…好きなように宴会からの、生贄姦られる流れだけで、1曲分の時間を大幅に上回ってしまった。 (あーもう…全然時間が足りないな…) 所々切ったり…速度を速めたりしながら… 彼は、まずはその一連の流れを、何とか曲内に収める努力をしていった。 (カイさん…激しくていやらしいなー) (あーサエ姫って…残酷だよなー) (あーコスプレハルトさんの攻めもたまらない) (僕がかける場面も入れとかないとな…) そして、最後の…シルクの場面になった。 「…」 (やっぱカオルさん…シルクさんが好きなんだな…) 画面を通して、シルクに挿れられる僕の表情から… ショウヤにとって、それはあまりにも分かりやす過ぎた。 ショウヤは立ち上がって…キッチンにレモンサワーのおかわりを取りに行った。 一応ティッシュも持ったものの… 彼はちょっと躊躇ってしまった。 (あんなに分かりやすいカオルさんで、果たして抜けるんだろうか…) ショウヤは、少ししょんぼりした表情で… 再びPCの前に座ると、レモンサワーの缶を開けた。 それでも最期に…僕が失神する瞬間の表情を観て…ショウヤは、自分の中に、熱く込み上げるものを感じずにはいられなかった。 (…やっぱり…好きなんだな…僕も…) 思いながら彼はひとりで、ふふっと笑った。 気を取り直して、 レモンサワーをゴクゴクっと飲むと… ショウヤは逆に、本編の編集に取り掛かかった。 (ウサちゃんから始めよう…) イントロには、まだ誰もいない宴の会場と、可哀相に刺されるウサちゃんの画を入れた。 そして、宴を囃し立てる…地味な生バンドの画… からの…怪しげな宴の始まりを予感させていった。 基本、宴の流れと演奏を流しながら… 随所にそれぞれのソロ画を差し込んでいく… (うん、ハルトさんと僕も入ってよかった…すごく賑やかな雰囲気になってる…) 賑やかな宴がじわじわとが進み、だんだん生贄が虐められていく中…淡々と生バントの演奏が続く感じで2番は進んだ。 ギターソロ前には、実際にはドロドロで…祭壇に放置された画と…再びウサちゃんを登場させた。 ギターソロは、サエ姫を前面に押し出しながら、華やかな宴の静止画を差し込んでいった。 そして…窓の外に立つ貴方の場面… (…本当は、誰かさんなんだろうけどな…) 思いながらもショウヤは、敢えてその誰かを描く事なく、僕の表情だけで…その存在を匂わせる風にもっていった。 (だって…画面の向こうの、誰もが皆、カオルさんに手を取って欲しい筈だもんな…) そのあとのサビでは、僕が画面に向かって手を伸ばす画を中心に…ひたすら生贄にされる場面を、上手く切り取って差し込んでいった。 (うん…本編だけでも…割と抜けちゃうかも…) 最後は…まるでそれまでの宴が、夢か幻かだったかのように…ひとり、祭壇を見上げる僕の画で、終わった。 (いい感じにまとまった…) そしてショウヤは、 再び本命の裏神様に取り掛かかった。 (もう、ストーリーとか考えるのはやめよう) 彼は、ただただ…エロい画、欲しい画を、次々と繋げていってみた。 (お、意外にいいかも…) たまに、背景的に…申し訳程度に演奏してる場面を入れる事で、曲に合わせてますっていう雰囲気を醸し出した。 絡んでいる画の上にに、それぞれの表情のアップをぼんやりと重ねてみたり… 逆に表情を捉えている画の上に…指先の動きのアップを重ねてみたり… それはそれはもう… とてもエロい動画が出来上がっていった… 完成を待たずして、ショウヤのモノは… 完全にいきり勃ってしまった。 「はぁ…はぁ…」 マウスを握りながら… 彼はもう片方の手で、自分のモノを引っ張り出した。 (ああ…カオルさん…) 「…んっ…んんっ…」 ショウヤはビクビクと震えた。 そして…ティッシュに手を伸ばした… 自分のモノを拭くと…彼は再び立ち上がり、キッチンに向かった。 いったん大きく伸びをしてから、またレモンサワーを持って、PCの前に座った。 (よし…あともうちょっとだ…) 最後のサビでは、哀願する僕の表情と…手を伸ばす僕のアップをふんだんに入れつつ…無修正に犯される場面を、速い速度でガンガン流していった。 (これでもかってくらい、エロくしてやる) そしてやっぱり最後は… 失神する瞬間の僕の様子を…バッチリ入れた。 (失神させたのがシルクさんっていうのがなー) 「…」 (いやでも、間違いなく、ここに到達する以前にイっちゃうな…) 「よし!」 ショウヤはそれをファイルに落として、カイに送った。  作曲者特権…裏神様できました  本編の方は、チェック中ですので後日 「ふうー」 大きく溜息をつくと、 ショウヤは改めて…裏神様を見返した。 (うん…うん…) そしてまた、自分のモノに両手を伸ばした。 「これが噂の、裏バージョンか…」 裏神様を受け取ったカイは… 早速それを再生した。 「すげーな…」 観ながらカイは…いやらしくふふっと笑いながらも、何ともたまらない気持ちになった。 サエゾウの前では平静を保っていたものの、胸に込み上げる、とてつも無い不安に、密かに彼も押し潰されそうになっていたのだった。 (お前を渡したくない…) 手を伸ばす僕の画面に触れながら… カイは、勃つより先に…涙を溢していた。  

ともだちにシェアしよう!