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不穏なリハ

次のリハの日… 僕はいつものようにカイの店に行き、とりあえずカウンターに座って煙草に火をつけた。 例え、いつも通りに振る舞っていても、 僕がアヤメの申し出を受け入れた事で、他の3人の気持ちが微妙に変わってしまった事には違い無かった。 「ハイボールでいい?」 「…はい」 「さっさとやろうー…早くギターのリフ試したいー」 サエゾウが向こうで言った。 「あ、はい…」 そんなサエゾウの、ギスギスした言葉にビビった僕は、出されたハイボールをひと口飲むと、すぐにセッティングに向かった。 既にセッティングを終えたシルクが言った。 「あーもう、サエ、機嫌直せよ」 「別にー何もないよー」 言いながらも、サエゾウは… 僕と目を合わせようとしなかった。 やがて、カイもドラムにスタンバイした。 「じゃあ俺の曲…お願いしますね」 「ふん、すぐダメにしてやる…」 拗ねたように、言い捨てると、 サエゾウは、大音量で、イントロのリフを弾き始めた。 「…!!」 それは…まさにすぐに、 僕の身体の芯に突き刺さった。 僕は、外からでも分かるくらいに、ビクッと震えてしまった。 ほどなくドラムとベースが被った。 全ての音が、大きな塊となって、 ドカドカと僕の身体を土足で侵してくるように感じた。 僕はそれに負けないように、歌い始めた。 まるで戦闘のようだった。 攻め続ける演奏隊の攻撃に、僕は打ちのめされされそうになりながら…必死に応戦した。 Masquerade… 舞踏会…というよりは、武闘会か… そんな事を考えながらも… 曲が終わる頃には、僕の身体はすっかり震え上がっていた。 そんな僕の様相を見て、 サエゾウは満足そうにニヤッと笑った。 「まだまだ終わらせないからねー」 意地悪そうに言いながら、 彼は間髪を入れずに、 またすぐにイントロを弾き始めた。 そしてまた、何度も曲が繰り返された。 やがて僕は、崩れるように倒れた。 「…もうダメなのー?」 曲が終わって、サエゾウは… 仕方なさそうにギターを置いた。 「あーあー可哀想に…」 「ふん」 言いながらサエゾウは、僕の傍にしゃがんだ。 「勃っちゃうくせにー」 「…」 シルクはベースを置くと、 黙ってカウンターに向かっていった。 「休憩だな」 言いながらカイも、ドラムから立ち上がった。 「カイー押さえといて」 サエゾウが言った。 「何、ヤりたいの?」 「うん…」 サエゾウは、僕の身体を仰向けに押し倒した。 そして、すぐにシャツを捲り上げ、僕のズボンを引き剥がした。 カイが僕の両腕を押さえた。 「滅茶苦茶に犯してやる…」 サエゾウは、とても怖い顔をしていた。 彼は僕の両足を開くと、 すぐに自分のモノをねじ込んできた。 「…んあっ…あっ…」 グイグイと、それは奥まで到達した。 「痛いんじゃないのか…」 上からカイが呟くように言った。 「平気だよねー淫乱な玩具ちゃんなんだから…」 言いながらサエゾウは、容赦なく腰を動かした。 「はっ…ああっ…あ…」 「これが…玩具の役目だろー」 急に突っ込まれて…確かに最初は少し痛かった。 それでも僕の身体は、まさに玩具として彼らに調教されてしまったのだろうか… その痛みはすぐに湧き上がる快感に変わり、僕のモノは尖を濡らしてビクビクと震えた。 「ほら…もうイきそうじゃんー」 「ああっ…はっ…あああ…」 僕の身体は大きく震え、 そして僕のモノから、敢えなく愛液が吐き出された。 同時に…僕の目から、涙が溢れた。 サエゾウは、自分の快いように、激しく腰を揺らし続けた。 大きく脈打つ彼のモノが、 更に僕の中を、何度も刺激した。 「もっと泣けよ…気持ちいいんだろー」 「…ん…うっ…んんっ…」 僕は泣きながら、小さく頷いた。 そんな僕を見下ろしながら、 サエゾウは満足げに身体を大きく震わせた。 僕の中に、生暖かい液の感触が広がった… 「はあ…はあ…」 肩で息をしながら、サエゾウはニヤッと笑った。 「…カイにも…挿れてもらえよ」 「…ううっ…うっ…」 僕は、泣き続けた。 「もういいだろ、サエ…」 「…」 カイに言われて…サエゾウは、スッと僕から自分のモノを引き出した。 そしてそのまま、自分のモノを拭くと、 ズボンを履いて、スタスタとカウンターに行ってしまった。 仕方なく、カイが僕の身体を拭いてくれた。 「ううっ…うっ…」 涙が止まらなかった。 サエさんは…完全に怒ってる… 僕がアヤメさんと一緒にやるのが、そんなに嫌なんだ 僕は罪悪感で、胸が押し潰されそうだった。 いつまでも、僕はそこで、そのまま泣き続けた。 カイは、そんな僕の頭を撫でた。 「今日はこれくらいにしとくか…」 「…ううっ…」 「全く…サエにも困ったもんだ」 「…」 「サエ…いい加減諦めろよ」 シルクがサエゾウの肩に手を置いた。 「…何だよ、だいたい、シルクが止めてくんないのが悪いんじゃんー」 サエゾウは、それを振り払って逆ギレした。 「…いいか、サエ」 シルクは、言い含めるようにサエゾウに言った。 「お前はミュージシャンなんだろ?」 「…」 サエゾウは、口を尖らせて、横を向いた。 「郁のミュージシャンとしての資質を、一番良く解ってるのは、お前だろ?」 「…」 「あいつは大丈夫だ…」 「…」 シルクはそう言って、静かに煙草に火をつけた。 「お前も、また良い曲出来んじゃね?」 「…」 そう言われて、サエゾウは… ゆっくりシルクの目を見た。 それから…向こうで横になって、 カイに宥められながら、泣き続ける僕を見た。 「…」 そしてサエゾウは、くちびるを噛み締めながら… 小さく頷いた。 そのとき彼の頭には… とある情景がメロディーとなって聞こえていた。

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