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光鬱vsトキドル(2)
ご機嫌になったサエゾウは…僕をその場に押し倒すと、すぐにズボンを脱がせた。
「アヤメと…何回やったのー?」
僕は少し考えて…小さい声で、答えた。
「…5回…くらい…」
「…っ」
それを聞いて、カウンターに座っていたシルクの、ハイボールのグラスを持つ手が、ピクッと止まった。
残念ながら、僕はそれには気付かなかったが…
「じゃあ俺も5回ヤるー」
言いながらサエゾウは自分のズボンを脱ぎ捨てると、いきなり僕の両足を広げて、ぐいぐいと自分のモノをねじ込んできた。
ええっ…えええーっ
僕は心の中で叫んだ。
ホントに5回…ヤり兼ねない勢いだった…
僕の奥まで到達した彼は…息を上げながら、小刻みに腰を揺らして、僕の気持ち良い箇所を、ジワジワと刺激してきた。
「んん…はあっ…あっ…」
それは…既にいきり勃って、震えていた僕を…すぐに快感の出口へと追い立てた。
尖を濡らしながら、今にもハジけそうにビクビクと脈打つ僕のモノを見下ろしながら…サエゾウは、面白そうに何度も僕の奥へ抽挿させた。
「ああっ…あああっ…」
ほどなく、僕はビクビクと震えながら、愛液を吐き出してしまった。
サエゾウは、ニヤっと笑って、その動きを止めた。
「はい1回目ー」
そして彼は僕のシャツを捲り上げた。
「シルくんーティッシュ取ってー」
「…」
若干ムッとした表情で…シルクは、こっちへ向かってティッシュを投げた。
「さんきゅー」
サエゾウは、僕の身体を軽く拭くと…露わになった両方の乳首に両手を置いた。
「んんっ…あっ…」
僕はまた、大きく身を捩った。
「シルくんはヤんなくていいのー?」
「サエの気が済んだらでいい…」
「逝かせないと気が済まないー」
「…っ」
サエさん…
こないだもそんな事言ってませんでした?
僕は、サエゾウの愛撫にビクビクと震えながらも…必死にシルクの方を見た。
「だったらいーよ」
そう言ってシルクは、プイッとカウンターの方を向いてしまった。
「…」
そんなシルクの言葉に、少し悲しくなってしまった僕は…観念したように目を閉じた。
容赦なく…サエゾウのモノが、僕のポイントを責め続けていた。それは再び…僕の快感の波を、いくらでも逆立てていった。
「…んんっ…あっ…はぁっ…」
「…シルくん…イジけちゃったね…」
耳元で…僕にしか聞こえないくらいの声で、サエゾウが囁いた。
「素直じゃないシルくんは置いといて…」
「はぁっ…」
サエゾウは、言いながら…またグイグイと奥へ突いた。
「素直な俺が、いっぱいイかせるー」
「…っ…ぁっ…」
既に僕は、何度も極点を繰り返してした。
朦朧としていく意識の中で…僕は必死に首を横に振りながら…再び目を開けた。
「ああっ…んっ…」
サエゾウが、大きく身体を震わせて、僕の中に吐き出した。
その感触に…またもトドメを刺されて…僕の意識はだんだん遠くなっていった。
シルクの後姿が…ぼんやりと目に映っていた。
「よし、とりあえず今日は気が済んだー」
言いながらサエゾウは、自分のモノを引き抜くと、僕の身体を拭いた。
一応恥ずかしい部分が何となく隠れるように、ズボンをパサっとかけると、彼はその場を離れた。
「おかわりちょーだいー」
しっかりズボンも履いて、カウンターに戻った彼は、スッキリした表情で、煙草に火をつけた。
「サエ、ちょっと最近やり過ぎだろ…あれじゃ練習になんないじゃん…」
ハイボールを出しながらカイが言った。
「だって気が済まなかったんだもんー」
ケロッとした顔でサエゾウは言い切った。
「いや…よく分かった」
静かにシルクが言った。
「何がー?」
自分のハイボールを飲み干しながら、シルクは穏やかな口調で続けた。
「アヤメと何回ヤろうが…あいつがココの玩具だって事がさ…」
「…」
「それを再確認できただけでも、今日のリハは無駄じゃなかった」
「シルクスゴいな…」
「何、悟りの境地に達しちゃってんのー」
シルクは椅子から立ち上がって、床に転がされた僕の方へ近寄っていった。
「ヤリっ放しにすんなよ、サエ!」
「ごめんー」
シルクは、僕のズボンを履かせると、僕の身体を抱き上げて、奥のソファー席に運んでいった。
「…うーん…」
その衝動で…僕は目を覚ました。
目を開けた僕の前に、シルクの顔が見えた。
「…」
シルクは、ちょっと気まずそうに…でも、とても穏やかな表情をしていた。
「大丈夫か?」
「…うん」
僕は、それを見て…心の底からホッとした。
「カオルーごめんねー」
全く心が込もっていない感じで、サエゾウが言った。
「…」
僕は黙って…力無く微笑んだ。
いつものように、サエゾウにヤられた事が、僕は嬉しかった。
トキドルの曲が、いつものように僕の身体を感じさせてくれた事も嬉しかった。
光鬱も、身体を張って頑張ろう…
そうすれば、きっとまた…
ココで見えてくるものがある筈だ。
「アヤメのLIVE…楽しみにしてる」
見透かしたように、シルクが言った。
「うん…」
僕は…ニヤっと笑って続けた。
「いっぱいヤキモチ妬かせますから…覚悟しといてくださいね…」
「…っ」
シルクは、一瞬…目を丸くしたが…やがて、声を上げて笑い出した。
「…あっはっはっはっ…」
「そんなのやだー」
「全くな…」
カイはカウンターの中で、独り言のように呟いた。
「あいつは…どこまで進化していくんだろうな…」
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