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光鬱デビューLIVE(3)

「カオルっ…?」 幕が閉まった途端に…僕はその場にドサッと崩れ落ちた。 慌ててギターを下ろしたアヤメが、僕に駆け寄った。 「大丈夫?」 「…」 僕は、蹲ったまま…ブルブルと震えながら、息を上げていた。 その様子を見て…アヤメは、ニヤっと笑った。 「…もしかして…勃っちゃった?」 「…はい…」 「お疲れ様でしたー」 言いながら、スタッフさんがステージに入ってきた。 「どうしました?大丈夫ですか?」 「…ああ、ちょっと燃え尽きちゃったみたい…」 アヤメは、僕の身体を抱き上げた。 「ごめんね…急いで片付けるから…とりあえず、こいつ転がしておける場所…ある?」 「あー案内します」 アヤメは僕を抱きかかえたまま、そのスタッフさんの後についていった。 「お疲れ様でしたー」 「どうしたんですか?」 「すいません、これ置いたら片付けますから…」 「大丈夫ですよ、ゆっくりで…」 「手伝いますよ」 次のバンドのメンバーが口々に声をかける中、アヤメは会釈をしながら楽屋を通り抜けた。 「ここ、使ってください…」 スタッフの休憩所になっている部屋の…とりあえずアヤメは、並べた椅子の上に僕を横にさせた。 「ありがとう…」 そして、2人は…大急ぎでステージに戻っていった。 僕は、椅子の上で…腰をかがめながら、息を上げていた。 「大丈夫ですか?」 他のスタッフの女の子が、様子を見にきた。 「…すいま…せん…」 僕は、絞り出すように、言った。 「全力投球だったんですね…とっても良いLIVEでしたよ、気にしないでゆっくり休んでてください…」 そう言って彼女は、僕に毛布のような物を掛けると…パタンとドアを閉めて出て行った。 「…」 僕はそこで、ひとりで震えながら、大きく息を吸っては吐いて…必死に身体の火照りを落ち着かせようと努力していた。 やがて…次のバンドの演奏が聞こえてきた。 そして…ほどなく、アヤメがその部屋に入ってきた。 彼は、バタンとドアを閉めると…ガチャッと鍵をかけた。 「カオル…?」 アヤメが、僕に近付いてきた。 僕はまだ、震えていた。 彼は、僕にかけられた毛布を捲ると…そっと、僕の股間に手を伸ばした。 「はぁっ…ああっ…」 彼の手が、そこに触れた途端に…僕は大きく身悶え、声を上げてしまった。 「…これ…俺のせい?」 「…っ…んんっ…」 僕は、ビクビクと震えながら、頷いた。 「…ホント?」 「あっ…あああっ…」 アヤメは、ニヤっと笑いながら…僕のモノを、ズボンの上からギュッと握った。 そしてアヤメは、僕の股間を弄りながら…震える僕の顎を掴むと、勢いよく口付けてきた。 「んんっ…んっ…」 それらによって、僕の身体の疼きは、大きな快感へと形を変え…更に僕を突き上げていくのだった。 口を離れた彼は、そんな僕の恍惚の表情を、嬉しそうに見下ろしながら…僕のズボンを脱がせた。 ビクビクといきり勃った僕のモノを確認して…アヤメは自分のズボンを下ろした。 そして僕の両足を広げるや否や…自分のモノを、僕の中に押し込んできた。 「はぁ…あっ…」 それはすぐに…突き上げられた僕の快感に、トドメを刺した。 「ああっ…あっ…ああ…」 彼が、数回…ゆっくり抽挿させただけで…僕のモノは、呆気なく、愛液を吐き出してしまった。 アヤメは満足そうに…息を荒げながら、何度も僕の奥へと突き続けた。 そこを刺激される事で…再び快感を沸き起こされた僕は…また網羅と、その波に飲まれた。 「んんっ…あっ…」 やがてアヤメが僕の中に吐き出すまで…僕は何度も…快感の極点を味わい…また静かに意識を失っていった。 「…カオル」 聞き慣れた、とても懐かしく心地良い声を聞いて、僕は目を覚ました。 目の前にあったのは…シルクの顔だった。 「…?」 「気が付いた?」 「…なんで?」 「悪かったな…アヤメじゃなくて」 僕は、ものすごく嬉しくて…思わずシルクに向かって、力無く両手を伸ばした。 それを見た彼は、思い切り…僕の身体を抱きしめた。 「すげー良かった…」 「…」 「すげーヤキモチ妬いた…」 「…っ」 僕はシルクの背中を抱きしめた。 それから僕は、ゆっくり起き上がると…彼に支えられながら、その部屋を出た。 「お疲れー」 「大丈夫?」 「どーせ勃っちゃってヤっちゃったんだろー」 トキドル軍団の皆が、そこに屯っていた。 「…」 若干ポカーンとしている僕に向かって、シルクが言った。 「アヤメがね…お前が倒れちゃったから、連れて帰ってくれって…」 「…そうだったんだ…」 既に僕の荷物を預かっていたサエゾウが言った。 「歩けるんなら、さっさと帰ろー」 「…でも…アヤメさんに…」 「こっちの事はいいから、帰れってさ…」 カイが言った。 「後日ゆっくり反省会するってー」 若干面白くないような表情でサエゾウも続けた。 「…」 そして僕はそのまま…たまたま出口付近にいた、さっきの女子スタッフさんにだけ、お礼を言って…トキドル軍団の皆と一緒に、そのライブハウスを後にした。 駅までの道中で、ショウヤがボソっと言った。 「でも…ズルいですよね、アヤメさんも…」 「そうだよな…」 隣を歩いていたハルトも同調した。 「あすこでカオルさんを返してくるとか…うっかり、ちょっといい人って思っちゃいましたよね」 「しっかり頂いた後なのにな…」 「…」 彼らの会話を聞きながら…僕は、他の皆に分からないように、下を向いたまま、ふふっと笑った。 あんなLIVEの後に…この人達と一緒にいられるっていうのが…僕は嬉しくてたまらなかった。 まだ若干フラついているふりをしていた僕は… それを言い訳に、ずっとシルクの腕につかまって歩いていった。

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