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光鬱のあとのあっちの2人(2)

それからカイとサエゾウは、一緒に店を出た。 「ウチ来るー?」 酔っ払って、テンションも上がったサエゾウは、臆する事もなく、カイにそう言った。 「行っていいなら行く」 「やったーカイゲットー」 嬉しそうに彼は、カイの腕を掴んだ。 そして彼らは、仲良く腕を組んだまま…サエゾウの家に向かった。 途中…例の宵待ち公園に差し掛かった。 サエゾウは…ふと足を止めて、空を見上げた。 「今日は月…出てないね…」 「そうだな…」 カイもつられて上を向いた。 それからサエゾウは…少し寂しそうに、言った。 「…撮影…楽しかったね」 「うん…」 まるで、もう二度と…そんな楽しい日々が戻らないかのような、悲しそうな表情のサエゾウに向かって、カイは取りなすように続けた。 「まだ終わってないじゃん、真夜庭の撮影が残ってるだろ?」 「…出来んのかなー」 「…」 「カオル…ちゃんとまた、俺らと一緒にやってくれんのかなー」 サエゾウはまた…泣きそうな顔になってしまった。 カイは、笑いながら溜息をついて言った。 「だからさ…俺ら次第だろ?」 「…」 「俺らが、あいつに負けない強靭な精神力を持って…戻ってくるあいつを受け入れてやれば…」 カイは、途中から…自分にも言い聞かせるように続けた。 「俺らが、負けなければ…大丈夫だ…」 「…俺…ちょっと負けそう…」 「好感度No. 1…あんなに頑張れたのに?」 「…」 サエゾウは…上を向いて、しみじみ言った。 「悔しいけど、カッコ良かった…」 「うん」 「アヤメもカオルも…2人の雰囲気も…もちろん曲も、演奏も…」 「…そうだな」 言いながらカイは、サエゾウの肩を抱いた。 「そうやって、ちゃんと認められただけでも、サエ…すごいと思うけど?」 「…でも、悔しい」 「うん、それは俺も一緒だ」 「カイもヤキモチ妬いてる?」 「そりゃ当然だろ…あんなん見せられたら」 それを聞いて、サエゾウは…少しホッとした表情になった。 「負けねーよ」 カイは…決意と闘争心剥き出しな表情で言った。 そんな彼を見て… サエゾウは、更に安心したように見えた。 「…そうだね…」 ふふっと笑い合いながら…2人はまた歩き出した。 サエゾウの家に着いた2人は…途中で買ったハイボール缶を飲みながら、並んで座って、トキドルのYouTubeを見返していた。 「カオルは…何ていうかな…出力レベルが強いんだな」 「あーそうかもねー」 「歌ってるとき限定だけどな」 「あははは…それなー」 「あとあれか…ヤられてるとき」 「ああーあれは出過ぎー」 「…でもたぶんさ」 カイは、ハイボール缶を飲みながら続けた。 「エロオーラも、俺ら引っ張られてるよな」 「間違いないー」 「サエのドS度…増し増しだし…」 「だって、もっとヤってーって顔するんだもんー」 「それで鍛えられて…本番もイケんてのかな…って」 「…うわーそれ、虐めてるつもりが、実はまんまとしてやられてるってヤツー?」 「…かもな…って話…」 「うー言われてみると、そんな気もしてきたー」 サエゾウも、難しい顔をして、ハイボール缶をゴクゴクと飲み干した。 「くそー絶対負けねー」 空になった缶をテーブルに叩きつけながら、サエゾウは言った。 「俺の足元に平伏させてやるー」 強い口調で呟きながら、彼は立ち上がると…ハイボール缶のおかわりを取りにいった。 「ふふっ…」 そんな彼を見ながら…カイはホッとしたように笑った。 (とりあえず、元気出たみたいでよかった…) ハイボール缶を2本持って戻ってきたサエゾウは…それを開けながら、カイの隣に擦り寄るように座った。 「何だよ、近いな…」 「…ありがとねー」 サエゾウは言いながら…カイの肩に自分の頭を乗せた。 「俺…やっぱカオルが好きだけど…2番めに、カイが好きかも…」 「…」 カイは、ハイボール缶を飲み干すと…もう1本の缶をプシュッと開けた。 「俺も…カオルが1番かな…」 「2番はー?」 間髪を入れずにサエゾウが訊いた。 「…」 カイは…新しい缶をひと口飲んでから…そっとサエゾウの肩に手を回した。 「…サエ」 言いながらカイは、サエゾウに口付けた。 「んっ…」 しばらくお互いに舌を絡め合ってから…2人はゆっくり口を離れた。 「…でもお前…基本ドSだからな…」 「そーだ…道具ポチんなきゃー」 言いながらサエゾウは…カイのシャツのボタンを外していった。 「俺は絶対…ヤらねーぞ」 「あははは…分かってるよー」 胸元をはだかれたカイは…そのまま、サエゾウの身体を、そこに押し倒した。 そしてゆっくり、サエゾウのシャツを捲り上げていった。 「…んんっ…」 やがて、カイの手が…サエゾウの両方の乳首を捉えた。 サエゾウは、ビクビクッと震えた。 「今日はドMんなるー」 うっとりした表情で…彼は続けた。 「激しいカイさんにヤられたいー」 「お前はカオルか…」 ふふっと笑いながら、カイは…サエゾウの乳首を弄りながら、再び彼に口付けた。

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