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こっちの2人の続き(3)

翌日、目が覚めた僕らは…しばらく布団の中でイチャイチャしてから…ようやく起き上がって、並んで煙草を吸った。 「どっか…痛い所とか…ない?」 シルクが、少し申し訳なさそうに訊いてきた。 「うーん…」 僕は、首を回しながら答えた。 「強いて言えば…頭がちょっと痛いかな…飲み放題だったから、飲み過ぎたかも…」 「それ自分のせいじゃん」 「あははは…」 煙草を消して、ベランダの窓を閉めると…シルクは、ドタドタと浴室に向かった。 「風呂入るぞ」 「あ…うん」 そして思い出したように…洗濯機から、僕のズボンを取り出した。 「乾いちゃったな…」 彼はそれを、僕に手渡すと…自分の着ていた服を脱いで、洗濯機にぶち込んでいった。 「…」 洗濯カゴ的な物は無いんだな、この家は… そんな事を思いながら…僕は自分のズボンをそこら辺に置き、その上にシャツを脱いで重ねた。 シルクがシャワーの栓を開けた。 それがちょうどいい温かさになってから、彼は僕を手招いた。 「一緒に入んの、久しぶりだな…」 言いながら彼は、僕の頭からお湯を浴びせた。 「そうだね…」 「何でそんなにニヤけてんの?」 「…っ」 僕は…顔を赤くして俯いた。 僕はとにかく…こんな風に、シルクが普通に優しく接してくれる事が、嬉しくて仕方なかったのだ。 身体や頭を洗い合いながら…また、何となく気持ち良くなってしまった僕らは…シャワーの下で、泡だらけのまま、どちらからともなく、お互いのモノを握り合った。 「…んんっ…挿れても…いい…よ?」 ビクビクと息を上げながら…僕は言った。 「昨日やり過ぎたからな…たまにはいいんじゃん?…こーいうのも…」 シルクも息を上げながら…答えた。 「ん…はぁ…あっ…」 「んん…んっ…」 お互いに震えながら…僕らは見つめ合いながら、ほぼほぼ同時に絶頂に至った。 そして、何度も口付け合った。 「風呂…楽しいな」 「…うん…」 泡とか色々をキレイに流して、ようやく僕らは浴室から出た。 先に自分の身体を拭いたシルクは、僕の身体も、隅々まで拭いてくれた。 久々に、シルク母さんを感じた… 髪を乾かして、しっかりアイロンもして… 彼は、いつもの様に…カッコ良く仕上がっていった。 やっぱりスーパーに行く人とは思えなかった… 「そーいえば、お前…あいつにちゃんと挨拶とか送ったの?」 ふと、思い出したように、シルクが言った。 「あっ…」 ヤバい…完全に忘れてた… 僕は慌てて、カバンからスマホを取り出した。 案の定…アヤメからメッセージが届いていた。 「…先に来ちゃった」 「まーそうだろうな…」  今日はお疲れ様。ありがとう。  ちゃんと連れて帰ってもらった?  おかげ様で、お客さんもいっぱい来てくれた。  次回、精算するから  あと、また改めて…今後の予定相談したい  そっちのLIVE終わったらでいいから  また連絡する 僕は、急いで返した。  すいません、今確認しました。  お疲れ様でした。  諸々了解です。  またよろしくお願いします。 そんな僕の様子を…シルクは、穏やかに微笑みながら見ていた。 「ごめんね、言ってくれてありがとう…」 「どういたしまして…」 余裕の笑みで、そう返した彼は…僕の髪をくしゃっと撫でながら、続けた。 「じゃあ…行くか」 「うん」 そして僕らは、彼の家を出た。 「今日はどこのスーパー行くの?」 「ああ…いつもの隣駅でいいかな」 とても良い天気だった。 僕は…先日、ショウヤと一緒に七福神巡りをした日の事を思い出した。 「…ちょっと遠回りして、散歩してくか」 「うん…そうしよう!」 僕らはのんびり…スーパーではない方向へ、歩いて行った。 住宅街を抜けて…そのうちに、隣駅の近くの、割と有名な商店街に突き当たった。 「ハルトんちとか…確かここら辺だったと思う」 「…そうなんだ!」 「行った事は無いけどな…」 「…」 「そのうち…お持ち帰りされるかもな」 「…あははっ…そうかも…」 ハルトと2人きりになった事は、まだ無かった。 あの人も、言って割とオカシイ人だからな… どんな風に豹変しちゃうんだろうな… 「ハルトのスイッチは、俺もまだよく知らん」 僕の妄想を見透かしたように、シルクが言った。 「まあでも、ショウヤさんの…あの激ヤバいスイッチに敵うものは無いと思う…」 「そっか…」 商店街を抜けて…更に広い通りを渡って、また住宅街をしばらく進むと… 僕らは今度は、広い霊園に突き当たった。 「…すごい…広い…」 僕は目を丸くした。 住宅街の中なのに…ものすごく広い敷地内に、縦にも横にも、ずっと向こうの方まで…墓地の景色が続いていた。 「この辺にあるって、名前は知ってたけど…こんなに広くて大きい霊園だったんだね…」 僕らは、その中を進んで行った。 同じように散歩している風の人もいれば…ランニングをしている人もいた。 普通に、通り道として、急ぎ足で歩いている人もいた。 霊園っていうか、普通に公園みたいだな… 「シルクって…視える人?」 ふと、思い出して、僕は訊いた。 「いや…何にも」 「ショウヤさんがね…視えるみたいなんだよね…」 「あー」 シルクは、当然だろ…みたいな表情で続けた。 「生きてる人間も視えるヤツだからな、あいつは…」 「…あ、そっか」 「あいつの目には、世の中がどんな風に映ってんだろうな…」 「…」 何となく想像してしまった… あんまり良い感じはしないなー ま、だからこそ、2次元好きなのかもしれないな…

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