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空腹のサエゾウ(1)
見る見るカゴがいっぱいになってしまった。
こんなにあったら、使い回しでもう2〜3品作れそうだよな…サエさんいっぱい食べるし…
「やっぱ唐揚げも食べたいー」
冷凍コーナーで、余計なものが目に入ってしまったらしいサエゾウが、また叫んだ。
まあ冷凍ならいっか…
付け合わせは、もやしとキュウリを使い回そう…
ついでにコーンも買って、エノキとアスパラの残りでホイル焼きにでもするか…
僕はコーンもカゴに入れた。
「カオルサンドも作ってー」
「…」
僕が返事するより先に、サエゾウは食パンの袋を取ってカゴに入れようとした。
「ちょっと待ってくださいサエさん…これ、4枚切りじゃないですか!」
「えー何それー」
僕はその…4枚切り食パンの袋を棚に戻すと…8枚切りの方を選んで、彼に見せた。
「ほら、8って書いてあるでしょ?」
「何が違うのー?」
「厚さが違うんです!4枚切りじゃあ厚ぼった過ぎて、何にも挟めません」
「ふーん…」
「はあ…」
僕は大きく溜息をついた。
もう…この人と一緒に買い物する事自体がメンドクサいな…
思いながらも、僕は…いそいそと酒コーナーに向かう彼の後ろを、重いカゴを持ちながらついていった…
それからまた彼は、ハイボール缶を何本も何本もカゴにぶち込んだ。
重い…
「酒足りるかなー」
「…足りなかったらまた買いに行きますから…」
もうカゴ限界です…
とても重くなったカゴを…必死に両手で持ちながら…僕は訴えた。
「しょうがないなー」
言いながらサエゾウは…そんな僕の手から、そのカゴをグイッと奪い取ると…スッとレジに向かって行った。
「…」
もちろん…何も言わずに、会計も彼が済ませた。
そんなサエゾウの…言葉とは裏腹な、優しくスマートな立ち振る舞いに…僕は思わずキュンとしてしまった。
そして僕らは、大きな袋2つの荷物を1つずつ持って…彼の家に向かった。
エレベーターを降りて、彼の部屋の前に着くと…ドアの前に、小さい段ボール箱が置いてあった。
サエゾウは、それをヒョイッと持ち上げた。
「あ、ちょうど届いたー」
「?」
そのときの僕は、それの何がちょうどなのか、気にも留めなかった。
鍵を開けて中に入り…僕は、買ってきた荷物をドサドサとキッチンに出していった。
サエゾウは、ギターやら段ボールやらを片付けに、向こうの部屋に行ってしまった。
さてと…何から始めたらいいかな…
手を洗いながら…僕は、頭をフル稼働させて、これからの手順を考えた。
まずはサラダか…卵炒めるのがいちばんかな…
もやしとにんじんは、一気に茹でて…サラダ用と付け合わせ用に分けるか…キュウリも一緒でいいか…
アスパラは下茹でするべきか…
肉巻いて…ホイル焼きの準備して…サンドは最後だな…
そんな感じに計画を練っている…僕の、背中に急に、サエゾウが抱きついてきた。
「…っ」
「お腹空いたー」
「…」
だから頑張って考えてんじゃないですか…
「食べたいー」
「分かりましたから…離れてください」
「先にお前を食べるー」
「…っ」
言いながらサエゾウは、僕の身体を自分の方に向けると…勢い良く口付けてきた。
「…んっ…んん…」
激しく舌を絡めながら…彼は、手を僕のシャツの中に滑り込ませて、僕の乳首を弄った。
やめてくださいっ…
口を塞がれた、僕の心の叫びは、言葉にならなかった。
有無を言わせない、強引なサエゾウの愛撫に…僕の身体はビクビクと震え、ガクンと膝の力が抜けてしまった。
「うん…美味しそうな顔になったー」
ポーッとして、ぐったりした僕の身体を…サエゾウは、そのまま床に押し倒した。
そして僕を見下ろして…ニヤっと笑いながら…彼はペロッと舌舐めずりをした。
「いただきます…」
「…っ」
そんな彼のいやらしい言動に…僕の身体には、心地良い寒気が走った。
サエゾウは、あれよあれよと言う間に僕のズボンを脱がせると…シャツを捲り上げて、両方の乳首に指をあてた。
「…はぁっ…んんっ…」
「お前もお腹空いてんじゃんー」
既にいきり勃って、尖の濡れたた僕のモノを確認しながら…彼はそう言って、僕の両足を開いた。
そして自分のズボンを下ろすと…すぐに自分のモノを、僕の中にグイグイとねじ込んできた。
「あっ…んんんっ…」
それは…あっという間に、熱くなった僕の…身体中の快感の渦を、ぐるぐると逆巻いた。
突かれる度に、波が寄せるように…僕は突き上げられ、そして昇り詰めていった。
「はぁっ…ああっ…あ…」
ビクビクと大きく震えて…僕は愛液を吐き出した。
それを見て、サエゾウはまたニヤッと笑うと…自分の悦いように、何度も激しく腰を揺らした。
やがて、彼はビクビクと身体を硬直させた。
僕の中に…生温かい感触が広がった。
「はぁ…はぁ…」
肩で息をしながら…満足そうに僕を見下ろしながら…サエゾウは言ってのけた。
「何か…余計お腹空いたなー」
「…っ」
もうー
サエさんの言うところのお腹空いたってのが、どっちのお腹なのか分りません…
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