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凌辱の打上げ(1)
着替えや片付け…精算も終えて…僕らはようやくその店を出た。
「どーする?」
「シルくんちー」
「毎度のパターンだけどな…」
「言っとくけど、何か作る元気は無いぞ…」
「あ、荷物持ちますから…買って行きましょう」
「寿司とピザも頼むー」
そんな訳で、いつものように…僕らはワイワイと買い物をしてからの、シルクの家に押しかけた。
買ってきた物を、ドサドサとテーブルに投げ出して…とりあえず僕らはまた、乾杯をした。
「お疲れ様ー」
「にゃー」
「お疲れー」
そして、またスッカリ疲弊して座り込むメンバーの代わりに、ショウヤとハルトが、買ってきた食べ物を、テーブルに並べてくれた。
「寿司とピザも注文しますか?」
「するー」
「いやちょっと待て、これ食べ終わってからの方がいいんじゃないか?」
「絶対食べれるー」
「ま、残ったら明日食べるからいいか…カオルが…」
「…っ」
「えー何、またカオル置いてく大前提ー?」
「毎度サエがヤリ過ぎるからだろ」
「じゃあ、とりあえず頼みますね…」
そんな感じで…ショウヤが寿司とピザを選んでいる間にも…サエゾウと僕は、買ってきた惣菜の数々にがっついていた。
「DVD流してくれる元気はある?」
カイがシルクに訊いた。
「…しょうがないなー」
言いながらも、シルクはのっそり立ち上がり…いつものようにPCを操作しにいった。
ほどなく…大きな画面から、映像が流れ始めた。
「今日もカオルさん…初っ端から、すごく良い表情でしたよね」
ショウヤが興奮気味に言った。
「また、悪いお妃様が、呪文を唱えてったみたいだからなー」
「衣装もとても良かったです…それだけでも会場めっちゃ湧いてましたから…ハルトさん流石です!」
それを聞いたハルトは、ドヤ顔でふふっと笑った。
「イントロ始まった途端に、炎が見えました」
「うん…俺も見えた」
「俺も見えたー」
モグモグしながらサエゾウも言った。
「あれって…やっぱカオルから出てんのー?」
「…だろ?」
しれっとシルクは答えた。
僕は、少し考えて…言った。
「いやでも…歌ってるときならともかく…イントロで見えちゃってるって事は…僕だけのせいでは無いと思います…」
「そうなのか…」
「それって…何か?…俺たちにも、カオルの見せる能力が、ちょっとは伝授されてるって事か?」
「とっくに伝授されてますよ」
ショウヤはキッパリ言い切った。
「だって…無題だって、宵待ちだって…歌が入る前から見えてるじゃないですか」
「…」
「…」
「俺、すげー!」
サエゾウは、目を輝かせながら叫んだ。
「そうそう、サエはすごいんだよ」
ハルトも言った。
「もちろん、カイも…シルクもね」
この人たちは…本当にすごい…
それは僕も、最初から知っていた。
それでも、ここへ来ての、彼らの進化は凄まじかった。
それは、画面から流れる映像からも伝わってきた。
「あああ〜この、カオルさんとシルクさんの絡みが…たまりませんでしたー!!!」
螺旋の…ギターソロ部分になって、ショウヤが叫んだ。
「俺の見せ場だったのにー」
「あはははっ…全部持っていかれたよな」
「でも、この後のサエさんの、自虐MCもとても良かったですよ」
「そーね、また好感度上がっちゃったね」
「俺のファン増えたー?」
「増えた増えた」
「この曲も…眩しかったですよね…」
無題の映像を見ながら、ショウヤは呟いた。
「ホントに…4人から光の粒が出てた」
「ですよね、これでもかってくらい…」
「俺も?」
カイが言った。
「もちろんです!」
「…」
それを聞いたカイは、何とも感無量な表情になった。
「でまた、このソロが良いんですよー!」
さっきの自虐を取り返すような、力強く艶やかなギターソロは、映像からも、その良さが伝わってきた。
「俺マジでカッコいいー」
「うんうん」
「サエさん…すごいです…」
「だよねー」
そして、サエゾウを鼻高々にさせた無題が終わり…
Masqueradeが始まった。
「……」
僕は、誰にも気付かれないように…黙って顔を赤くしていた。
ハルトとショウヤは、そんな僕を横目でチラッと見ながらも…目を爛々と輝かせながら画面に見入っていた。
「これも良かったですねー」
「うん」
「めっちゃ姦られてますよね…」
「これはもう…公開何とかってレベルだよな…」
歌ってるときは、後ろの3人の顔は見えなかった。
映像で改めて見ると…彼らは、まさにいつも僕を虐めているときの表情になっていた。
うわあーこんなだったんだ…
「…」
「あーサエさんに激しくヤられちゃった…」
「ね、朦朧としちゃってる感じだよね」
最後のサビが終わった所で…同じく画面を凝視していた3人様が言った。
「あ、イったな」
「そうか、ここでか…」
「凌辱してやったー」
「……」
「ま、たぶん…せいぜい、ヒカルくんとリクくんくらいにしか、バレてないと思いますよ」
ショウヤがしれっと言った。
うわあ…
彼らにはバレちゃってるのかー
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