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凌辱のあと(1)
「じゃあ、気を付けて」
「ああ、お疲れ…」
「片付け、手伝わなくて大丈夫ですか?」
ショウヤが申し訳なくなさそうに言った。
「いーんだよー、どうせお片付けの後にお楽しみが待ってんだからー」
サエゾウは口をとがらせて、プイッと横を向きながら言った。
「そーいう事…」
シルクは、全く否定すること無く、堂々と言いながらニヤッと笑った。
それを聞いたショウヤは…安心したように…でも少し寂しそうに、ニコッと笑った。
そして4人は、シルクの部屋を後にした。
「はあ…」
エントランスを出た辺りで、ショウヤが溜息をつきながら、呟くように言った。
「シルクさんが本気出したら…敵わないですよね」
「何がよ」
「そんなの…僕じゃなくたって、皆さん分かってるじゃないですか…」
「…」
4人は、何とも言えない表情で…お互いを見合った。
「そんなのカンケーないー!!」
しばらくの沈黙を打ち破るように、サエゾウが叫んだ。
「俺はそんなの構わないー」
「そうだな…俺も、負ける気はない…」
カイも続けた。
ハルトは、ショウヤに向かって言った。
「そんなん…ショウヤだって、だから遠慮しようなんて、微塵も思ってないんでしょ?」
「…まあ…そうですけど…」
「下見…何ならカオルも誘おうか?」
ショウヤは、パァっと目を輝かせてハルトを見上げた。
「いいですね…そうしましょう!」
「俺も行くー」
割り込んだサエゾウを、カイがまた止めた。
「いーから、お前は止めとけ」
「何でー?」
「どうせバイト休めないだろ?」
「サボるー」
「バカな事言ってんじゃねーよ」
「ホントにサボるーっ」
ちょうど分かれ道に差し掛かった。
カイは、ジタバタするサエゾウを羽交締めにしながら、2人に言った。
「お疲れ…今日も色々、ありがとう」
「いーえーお疲れ様」
「下見とか…また、よろしく頼むね…」
「任せといてください…お疲れ様でした!」
そして4人は、二手に分かれた。
2人を見送って…
カイはようやくサエゾウから手を離した。
「何で俺行っちゃダメなのー?」
納得いかない表情で、彼は言った。
「いいか、サエ…俺たちあの2人に、どんだけ世話になってると思ってんだ」
「…っ」
「あいつらだって…俺たちのメンバーだろ?」
「…」
カイは、少し遠くを見ながら…続けた。
「カオルは…あいつらの…玩具でもあるんだ」
「…」
懇々と説得されて…サエゾウは黙ってしまった。
しばらく2人は、トボトボと並んで歩いた。
カイの店の前に差し掛かった所で、カイはまた、サエゾウに向かって言った。
「寄ってく?」
「…今日はいい…疲れた」
顔も上げずに、サエゾウは即答した。
「そうだよな…LIVEも疲れたし…打上げでもヤリ散らかしたしな…」
「…」
「大人しく帰るか…」
「…帰んなくても…いーけど…」
サエゾウは…ボソッと言った。
「お前んち…行ってもいいの?」
「…」
それを聞いたサエゾウは、そっとカイの腕を掴んだ。
「…うん…来てー」
「…」
カイは…ふっと笑いながら…サエゾウの髪を、クシャッと撫でた。
そして2人は…サエゾウの家に向かって、寄り添うように歩いて行った。
「カオル…行けるといいね」
「はい、声かけておきます」
「じゃあまた、来週…」
ショウヤの家の前で、ハルトはそう言って、歩き出そうとした。
「あ、あの…」
ショウヤは思わず呼び止めた。
「…ん?」
「あの…今日も色々と、ありがとうございました」
そう言って頭を下げるショウヤに向かって、ハルトはニヤッと笑いながら答えた。
「…こちらこそ」
言いながらハルトは、そっとショウヤの頭を撫でた。
「お疲れ様でした…」
「バイバイ…」
ハルトを見送って…自分の部屋に向かう階段を上りながら…ショウヤも、ひとりでニヤニヤしていた。
(撮影もだけど…下見もすごく楽しみだな…)
(何なら…カオルさんだけ先にちょっと撮っちゃおうかな)
(しかも…ハルトさんと2人掛かりで…色々ヤっちゃったり…出来るかも…)
そんな良からぬ妄想を掻き立てながら…部屋に入ったショウヤは、冷蔵庫からレモンサワー缶を取り出すと…そのまますぐにPCの前に座った。
(何はともあれ復習しておこう…)
缶を開けて、それをゴクゴクと飲みながら…彼は動画のページを開いた。
そして、今まで作ったPVを…見返していった。もちろん、裏も…
(せっかく思いっきり野外で撮れるんだから…これまでのとはガラッと違う雰囲気にしたいよな…)
そんな事を考えながら…やっぱり、その自分の作った動画の内容に、自分が段々と興奮してきてしまうのだった…
(あっ…そう言えば…)
ふと思い出して…彼はスマホを取り出した。
「…っ」
ハルトから…ちゃんと動画が届いていた。
「おおおーっ」
ショウヤは目をギラギラさせながら、それを自分のPCに転送すると…すぐに再生ボタンをクリックした。
「……」
まさに先程の…床に仰向けに寝かされた自分の上に、僕が傅いている映像が流れ始めた。
「…これはヤバい…リアルにヤバい…」
(あああ…ステージでもない、演技も何もしてない、リアルなカオルさんが、エロ過ぎる…)
「…っ…はぁ…はぁ…」
見ながら…
彼はまたも、最高潮に達していってしまった…
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