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凌辱のあと(2)
「…うーん…」
目が覚めると…部屋の電気が点けっ放しだった。
隣に…シルクが居なかった。
閉まった扉の向こうのキッチンで、何やらガタゴトと音がしていた。
また何か作ってんのかな…
思いながらも僕は、眠気と怠さで起き上がる事が出来なかった。
仰向けに寝転んだまま…僕は、記憶を辿った。
今日も激しかったな…
ショウヤさんとヤらされて…その後ハルトさん…
それから3人いっぺんにヤられちゃったんだよな…
「…」
気持ち…良かったけど…
僕は薄ら笑みを浮かべながら、静かに目を閉じた。
そのとき、ガラッと扉が開けられた。
「…」
だいぶ酔っ払った風のシルクが、フラついた足取りで、こっちは来たと思ったら…そのまま勢いよく、僕の隣にドサッと倒れ込んでしまった。
「…シルク…」
「…」
「大丈夫…どんだけ飲んだの?」
「んー」
唸りながら、彼は顔を僕の方に向けた。
「いっぱい…」
「…もうー」
僕はよいしょっと身体を起こすと…彼の髪をそっと撫でた。
「電気…付けっ放しだけど…いいの?」
「んーいい…」
言いながらシルクは、モソモソと…僕の身体に腕と足を絡めてきた。
僕も、彼の背中に腕を回しながら…顔を寄せた。
「カイに挿れられてるときのお前…めっちゃエロかったよなー」
「…っ」
「俺とヤるより…皆でヤる方が好きなんだろ?」
「…」
僕は、すぐには答えられなかった。
「別にヤキモチ妬いてるワケじゃねーよ」
「…」
「それでこそ玩具だよなーって、褒めてんだけど」
「…」
珍しく相当酔っ払ってるなー
口ごたえしないで大人しくしとくか…
どうせ明日には覚えてないんだろうから…
「何で何にも言わないの?」
「…」
シルクは更に絡んだきた。
あーちょっとメンドくさいかも…
「今日は俺大好きーって顔してない…」
もうー
あなたがメンドくさい酔っ払いだからです!
「俺は大好きなのに…」
「…っ」
それを聞いた僕は…しょうがないなーと思いながらも、背中に回した手に力を込めて、シルクをギューッと抱きしめながら、彼の頬に自分の頬を擦り寄せた。
「どうせ覚えて無いんでしょ?」
言いながら僕は、そのまま彼のくちびるを探るように口付けた。
「…んんっ…」
くちびるが触れ合った途端に…シルクの舌が、僕のくちびるを割って入ってきた。
酔っているのも手伝ってか…いつも以上に激しく絡みつく、その舌の感触は…ただでさえ気怠かった僕の身体から、更に力を奪い取っていった。
口を離れると…シルクはゆっくり身体を起こして、僕を見下ろした。
「良い顔になってきた…」
満足そうに言いながら、ニヤッと笑った彼は…ドサっと僕の上に倒れ込んだ。
「…」
シルクは…そのまま動かなくなってしまった…
「…っ」
えー
そこで寝るかー???
「んんんっ…」
段々と、その重さが辛くなってきた僕は…必死に力を込めて、彼の身体を横にずり下ろした。
「…ふぅー」
シルクは完全に寝落ちていた。
そんな彼の寝顔を見て、僕はふふっと笑うと…ゴロンと布団から抜け出して、ゆっくり起き上がった。
フラフラと歩いてトイレにいってから、僕はキッチンを見渡した。
シンクにはグラスが下げられたままになっていた。
ラップをかけた残り物も、そのままになっていた。
コンロに、お玉の突っ込まれた鍋がかかっていた。
「…?」
僕は、その鍋の蓋を…開けてみた。
「わっ…美味しそう…」
そこには、鶏肉とワカメの入ったお粥が…良い感じに煮込まれていた。
今作ったのかな…これ?
すぐ横に…味見をしたであろう、茶碗と木製のスプーンが出しっ放しになっていた。
「…」
僕はその茶碗に…そのお粥を少しだけ盛った。
そして…味見をした。
うわあー美味しいー!!
「…」
あっという間に食べ終わってしまった。
僕は、もう1杯…今度はさっきより少し多めに茶碗に盛った。
美味しい…
鶏肉のダシと生姜が効いてて、めっちゃ美味しい…
「…」
…もうちょっとだけ…
またすぐ空になってしまった茶碗に、もう1杯盛ると…僕は鍋の蓋を閉めた。
絶対、これで終わりにする!!
「…ごちそうさまでした…」
3杯目のおかわりを、じっくり味わった僕は…小さい声でそう言うと、使った茶碗をシンクに置いた。
これだけ洗うのは変だし…かと言って、今このグラス達を全部洗うのは、ちょっと面倒くさかった。
明日洗おう…
心の中で言い訳をして、僕はキッチンの電気を消した。
そして再び…シルクの隣に潜り込んだ。
酔っ払っての…完全に爆睡していた彼は、ガーガーとイビキをかいていた。
僕はふふっと笑ってしまった。
LIVEんときは、あんなにシュッとしてるのにな…
僕は、ガーガー言ってるシルクの背中に、
自分の身体を寄せた。
ちょっとうるさいなー
思いながらも、僕は微笑みながら目を閉じた。
彼がそんな風に、油断し切った姿を晒してくれる事も…僕は嬉しくてたまらなかった。
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