264 / 398

凌辱のあと(2)

「…うーん…」 目が覚めると…部屋の電気が点けっ放しだった。 隣に…シルクが居なかった。 閉まった扉の向こうのキッチンで、何やらガタゴトと音がしていた。 また何か作ってんのかな… 思いながらも僕は、眠気と怠さで起き上がる事が出来なかった。 仰向けに寝転んだまま…僕は、記憶を辿った。 今日も激しかったな… ショウヤさんとヤらされて…その後ハルトさん… それから3人いっぺんにヤられちゃったんだよな… 「…」 気持ち…良かったけど… 僕は薄ら笑みを浮かべながら、静かに目を閉じた。 そのとき、ガラッと扉が開けられた。 「…」 だいぶ酔っ払った風のシルクが、フラついた足取りで、こっちは来たと思ったら…そのまま勢いよく、僕の隣にドサッと倒れ込んでしまった。 「…シルク…」 「…」 「大丈夫…どんだけ飲んだの?」 「んー」 唸りながら、彼は顔を僕の方に向けた。 「いっぱい…」 「…もうー」 僕はよいしょっと身体を起こすと…彼の髪をそっと撫でた。 「電気…付けっ放しだけど…いいの?」 「んーいい…」 言いながらシルクは、モソモソと…僕の身体に腕と足を絡めてきた。 僕も、彼の背中に腕を回しながら…顔を寄せた。 「カイに挿れられてるときのお前…めっちゃエロかったよなー」 「…っ」 「俺とヤるより…皆でヤる方が好きなんだろ?」 「…」 僕は、すぐには答えられなかった。 「別にヤキモチ妬いてるワケじゃねーよ」 「…」 「それでこそ玩具だよなーって、褒めてんだけど」 「…」 珍しく相当酔っ払ってるなー 口ごたえしないで大人しくしとくか… どうせ明日には覚えてないんだろうから… 「何で何にも言わないの?」 「…」 シルクは更に絡んだきた。 あーちょっとメンドくさいかも…   「今日は俺大好きーって顔してない…」 もうー あなたがメンドくさい酔っ払いだからです! 「俺は大好きなのに…」 「…っ」 それを聞いた僕は…しょうがないなーと思いながらも、背中に回した手に力を込めて、シルクをギューッと抱きしめながら、彼の頬に自分の頬を擦り寄せた。 「どうせ覚えて無いんでしょ?」 言いながら僕は、そのまま彼のくちびるを探るように口付けた。 「…んんっ…」 くちびるが触れ合った途端に…シルクの舌が、僕のくちびるを割って入ってきた。 酔っているのも手伝ってか…いつも以上に激しく絡みつく、その舌の感触は…ただでさえ気怠かった僕の身体から、更に力を奪い取っていった。 口を離れると…シルクはゆっくり身体を起こして、僕を見下ろした。 「良い顔になってきた…」 満足そうに言いながら、ニヤッと笑った彼は…ドサっと僕の上に倒れ込んだ。 「…」 シルクは…そのまま動かなくなってしまった… 「…っ」 えー そこで寝るかー??? 「んんんっ…」 段々と、その重さが辛くなってきた僕は…必死に力を込めて、彼の身体を横にずり下ろした。 「…ふぅー」 シルクは完全に寝落ちていた。 そんな彼の寝顔を見て、僕はふふっと笑うと…ゴロンと布団から抜け出して、ゆっくり起き上がった。 フラフラと歩いてトイレにいってから、僕はキッチンを見渡した。 シンクにはグラスが下げられたままになっていた。 ラップをかけた残り物も、そのままになっていた。 コンロに、お玉の突っ込まれた鍋がかかっていた。 「…?」 僕は、その鍋の蓋を…開けてみた。 「わっ…美味しそう…」 そこには、鶏肉とワカメの入ったお粥が…良い感じに煮込まれていた。 今作ったのかな…これ? すぐ横に…味見をしたであろう、茶碗と木製のスプーンが出しっ放しになっていた。 「…」 僕はその茶碗に…そのお粥を少しだけ盛った。 そして…味見をした。 うわあー美味しいー!! 「…」 あっという間に食べ終わってしまった。 僕は、もう1杯…今度はさっきより少し多めに茶碗に盛った。 美味しい… 鶏肉のダシと生姜が効いてて、めっちゃ美味しい… 「…」 …もうちょっとだけ… またすぐ空になってしまった茶碗に、もう1杯盛ると…僕は鍋の蓋を閉めた。 絶対、これで終わりにする!! 「…ごちそうさまでした…」 3杯目のおかわりを、じっくり味わった僕は…小さい声でそう言うと、使った茶碗をシンクに置いた。 これだけ洗うのは変だし…かと言って、今このグラス達を全部洗うのは、ちょっと面倒くさかった。 明日洗おう… 心の中で言い訳をして、僕はキッチンの電気を消した。 そして再び…シルクの隣に潜り込んだ。 酔っ払っての…完全に爆睡していた彼は、ガーガーとイビキをかいていた。 僕はふふっと笑ってしまった。 LIVEんときは、あんなにシュッとしてるのにな… 僕は、ガーガー言ってるシルクの背中に、 自分の身体を寄せた。 ちょっとうるさいなー 思いながらも、僕は微笑みながら目を閉じた。 彼がそんな風に、油断し切った姿を晒してくれる事も…僕は嬉しくてたまらなかった。

ともだちにシェアしよう!