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下見(3)

僕らは車で、いったん山を下った。 残念ながらスーパーを探す元気は無かったので、コンビニで、酒や食べ物を買い込んだ。 「本番のときは、先に食材買って行きましょう」 「そうだよね、カオルも…シルクもいるし、折角だからキッチン使いたいもんね」 「バーベキューも出来るそうですから」 「やったー」 別荘に戻った僕らは、今度はダイニングテーブルの方に座って、買ってきた食べ物を囲んだ。 「とりあえず、お疲れ様でしたー!」 「お疲れー」 「お疲れ様です」 ハイボール缶と、ビール缶と、レモンサワー缶で… 僕らは乾杯した。 「いただきます…」 僕は早速…買ってきたコンビニ弁当や惣菜の数々の、封を次々と開けて、ガツガツと食べ進めていった。 「…カオルさん、今日はホントにありがとうございました…おかげで本番に向けて、すごくイメージが湧きました」 ショウヤは言った。 「だったら…よかったです…」 「パジャマも…本番もやっぱり白がいいかな…」 「そうですね…あと、他のは、今日撮ったのを織り混ぜてもいいし…」 えっ… って事は、今日もそこそこ本番だったって事ですか… 「…」 僕は、何となく釈然としないながらも…深くは考えず、とりあえず食べる事に没頭する事にした。 「外のロケーションも良い感じでしたよね…機材持ち込んでの、演奏シーンが撮れそうな場所もありましたし」 「あーいいね…森の中での演奏シーン…」 「いやーホントあの時、あの店に寄ってよかった」 「ホントだよな…」 運転と撮影リハで、割とお疲れなショウヤは、あっという間に酔い進んでしまったようだった… 彼は、本番に向けてのイメージを語り出した。 やや…めんどくさい感じに… 「時計はね…差し込み画像を使おうと思うんですよ」 「ほう…」 「そんで…パジャマのカオルさんが…あの階段を降りていって…歌詞通りに、扉を開けていくわけです」 「…なるほど」 「で、パーッと外演奏がメインになっての…こう…3人と戯れるカオルさんの画を、チラチラ差し込んでいこうかなと…」 戯れるってのが…どんな感じなんですかねー 「…で、あの曲って…最後がかなりグチャグチャじゃないですか…そこをどんな風にグチャグチャな画にしようか…それが楽しみでしょうがないんですよねー」 「あー確かに…」 「そこ用に…グチャグチャシーンを、いっぱい撮らなければなりません!」 「…」 何で急に丁寧語…? 「あーグチャグチャも楽しみだけど…バーベキューも楽しみだなあー」 「あはははっ…」 ハルトは、笑いながら席を立って…冷蔵庫から皆のおかわり缶を持ってきた。 「ショウヤ…絶好調だな…」 言いながらハルトは、ショウヤのおでこに、レモンサワー缶をあてた。 「だって…楽しくてしょうがないんですもん」 ショウヤは、肩をすくめながら嬉しそうに言った。 「…」 そんな2人の様子を見て…僕は何だかほっこりした気分になった。 「カオルさん、ホントにありがとうございます…僕は、トキドルのPVに関われて、本当ーに、幸せです!」 あーそれ言い出すって事は、だいぶ末期だな… なんてちょっと思いながらも… 僕はショウヤの語りを心地良く聞きながら…それに相槌を打ちながら温かく見守っているハルトの様子を楽しみながら…ひたすら飲み食い進めていた。 「カオルさん…お腹いっぱいになりました?」 「あ…はい」 「もうひと頑張り出来そうですか?」 「えっ…!?」 「ね、ハルトさん」 ニヤッと笑いながら…ショウヤはハルトの方を見た。 「…そうだな…もうひと頑張って…もらおうかな」 ハルトも…意味深な感じでニヤッと笑った。 そして、ビール缶を手に、席を立ったハルトは…リビングの方へ歩いていくと、何やらガサゴソと支度を始めた。 「えっ…何を…もうひと頑張るんですか?」 「…もうひと撮影させてもらいます」 ええええーっ そうなのー!!?? ショウヤは、残っていたレモンサワー缶をグイッと飲み干すと…立ち上がって、僕の隣にきた。 そして僕の腕を掴んで立ち上がらせると…そのまま僕を、リビングに引っ張っていった。 そこでは、ハルトがしっかり、メイクの準備をしていた。 「…」 僕は、ソファーの…下にペタンと座らされた。 「…今日は、俺たちの玩具になってね」 ハルトが、囁くように言った。 「…っ」 その台詞に… 僕の胸に、うっかりまた寒気が走ってしまった。 そうだった… メイクしながらヤるのが好きなんだっけ… 酔いの回った頭で、そんな事を思い出しながら… 僕は、ハルトに顔を塗られていった。 下地を塗り終わった彼は、僕のシャツのボタンをゆっくり外すと…両側に開いて、胸元と肩を露わにさせた。 「…カオル…ホントに可愛いね…」 言いながらハルトは、舐めるように…いやらしく僕のくちびるを塞いだ。 「…んんっ」 僕の口の中で舌を絡めながら…彼の指は、露わになった胸元を弄っていった。 僕は、ビクビクと震えた。 カシャッ…カシャッ… シャッター音が、またいやらしく響いた。 ああ…この2人の玩具って… そういう事…なんだな… 思いながら僕は… どんどん身体の力を奪われていった。

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