284 / 398
真昼の庭での撮影(2)
「とりあえずチューしたいー」
さっきから我慢の限界だったサエゾウが、僕の顔をガッツリ押さえて口付けてきた。
「…んんっ…」
彼は舌をグイグイと、僕の口の中に入れてきた。
その激しい口付けに震える僕に…背中からシルクが腕を絡めてきた。
「可愛がってやるって…言っただろ?」
耳元で、シルクが囁いた。
「んん…んっ…」
僕の胸に、激しく閃光のように…寒気が貫いた。
もちろん…カメラは回っていた。
そして、音源も流されていた。
ああ…これから僕は、
この曲の世界で…まさに真夜中の庭で…
彼らに弄ばれていくんだ…
僕はうっかり…そんな感覚に酔ってしまった。
「何かもうスイッチ入った顔してるー」
口を離れたサエゾウが言った。
「チョロいな…」
言いながらシルクは、背中から回した手で、僕の胸元を弄った。
「はあっ…あ…」
彼の指が、パジャマの上から乳首に触れる度に…僕はビクビクと震えてしまった。
「とりあえず、いったんイかせるか…」
そう言って、カイが僕の足元にしゃがみ込むと…僕のパジャマの半ズボンを、下着ごと膝までずり下ろした。
「すぐだな…」
呟きながら、カイは、既にいきり勃った僕のモノを片手で握りながら、その濡れた尖に口をあてた。
「あっ…あ…はぁっ…」
僕は更に、ガクガクと震えた。
「じゃあ俺は、ずっとチューしとくー」
「…んっ…んんっ…」
サエゾウの舌が、また僕の口に突っ込まれた。
立ったまま…今にも崩れ落ちそうな身体を、3人に押さえ付けられながら…僕は、彼らからの愛撫に身を任せ…昇り詰めていった。
「んん…んっ…んんんっ…」
ダラダラと唾液の滴る口元から、声にならない喘ぎを漏らしながら…
ほどなく僕は、愛液を吐き出してしまった。
「エロいなーもうー」
ようやく口を離したサエゾウが、ニヤッと笑いながら言った。
「はぁ…はぁ…」
完全に脱力した僕の身体を、シルクがしっかりと両腕で支えてくれていた。
ハルトがすぐに、ティッシュを持って駆け寄ってきた。
そしてテキパキと、あちこちを拭き取ると…乱れた衣装やメイクを整えていった。
「じゃあ、改めて…もう1回流します!」
「…」
「自力で立てるか?」
まだ、僕を支えていたシルクが言った。
「…立てないって言ったら…休憩させてもらえるんですかね…」
力無くそう言った僕に、彼は続けた。
「無いな…」
「…」
僕は、失笑しながら…必死で足を踏ん張った。
「大丈夫…」
「ん…まあ、頑張れ」
そして僕から離れたシルクも、再びベースを担いだ。
カイとサエゾウも、位置についた。
「うんうん…皆さん、良い顔になりました!」
ショウヤが、目を輝かせながら言った。
「じゃあ、とりあえず2回くらい流します」
そして…改めて…音源が流された。
真夜中の庭で弄ばれた僕は…
凌辱される絶望感と…それとは裏腹に、更なる快楽を求める歓喜の入り混じった…そんな気持ちで歌い舞った。
カメラを担ぐショウヤのテンションが、どんどん上がっていくのが分かった。
それにも刺激されて…
僕の感情移入は、更に加速していった。
2回めの曲が終わった。
「はい、全体の演奏は…これでいいです!」
「ふぅー」
「はぁー」
それぞれが大きく溜息をついた。
「いったん休憩にしましょうか」
「お腹空いたー」
「そうだな、腹減ったな…」
「じゃあ、ブランチ休憩にしましょうか…」
「やったーシルくん作ってくれるんでしょー」
「しょうがないな…」
ボヤきながらも…シルクは楽しそうに、キッチンに向かっていった。
僕もすぐ、後を追った。
「じゃあ、その隙に…機材片付けちゃいましょうか」
「もういいの?」
「はい、演奏シーンは、これで十分です」
その場に残った4人は、手分けしてドラムセットを解体していった。
「あとは、どんな感じの予定?」
ハルトがショウヤに訊いた。
「3人それぞれとカオルさんの…ツーショットを撮りたいと思ってます」
「どんなツーショットー?」
「どんなでも!…それぞれのお好きなように」
「ヤっちゃってもいいのー?」
「もちろん」
「はっくしゅん…」
「何だ?…コショウが飛んだか?」
「ううん…大丈夫…」
絶対…あっちで何か、
良からぬ事を言い合っているに違いない…
思いながらも、僕はシルクの手伝いで…残っていた野菜を、パスタ用に切っていった。
シルクは、肉を炒めていたフライパンの火をいったん止めると…煮立った大きい鍋に、パスタを投入していった。
「足りるかな…」
呟きながら…彼はその鍋を、菜箸でグルグルと掻き回した。
「でも、それで全部なんでしょ?」
「うん」
「具がいっぱいあるから大丈夫だよ、きっと」
言いながら僕は、切った野菜をフライパンにザーッと入れた。
「じゃあ、こっちよろしく」
言いながらシルクは、フライパンの肉と野菜をザックリ混ぜてから、再び火を付けた。
大量の具を、ザッザッと煽りながら炒める彼に代わって、僕は、鍋のパスタを混ぜる係になった。
ほどなく、茹だったパスタをザルに上げて…僕はそれを、シルクが振っているフライパンに全投入した。
彼は、驚くほどの手際良さで…重そうなフライパンを、更に振って煽っていった。
僕は思わず見惚れてしまった。
「シルク…スゴいね…」
「…ん?…そう?」
「工房なんかじゃなくて、中華料理屋さんに…なったらいいのに」
「…」
シルクは苦笑した。
「中華かよ…せめてイタリアンって言って」
ともだちにシェアしよう!