293 / 398

真夜中の庭で打上げ(4)

「いやーホントに名曲でした!!」 ショウヤが、何事も無かったかのように…スッキリした表情で言い放った。 「またPV撮りたいシリーズ増えちゃいました」 「そうだな…衣装も楽しそうだよな…」 「…」 若干…いや、割と疲労困憊してしまった僕は…とりあえず色々整えて…再び覚束ない手付きで、まだ残っている料理に手を伸ばした。 ふと見ると…もぐもぐしている僕を、ショウヤがジーッと見ていた。 「…」 エロショウヤの事だから… あの口で…とか考えてんじゃないのか… うっかり思ってしまった僕を見て… 彼はニヤッと笑った。 あ、しまった…読まれた… 「…っ」 僕は、顔を赤くして、彼から目を逸らした。 そして、ハイボール缶を、ゴクゴクと飲んだ。 まるで何事も無かったかのように… その夜の宴会は続いた。 PVの構想を熱く語るショウヤ… 噛み合わない話をマイペースで突き進むサエゾウ… たまに辛辣な突っ込みを入れるシルク… 上手いこと纏めるカイ… それらを温かく見守るハルト… そんな彼らの様子を見ながら… 僕は心地良く酔い進んでいった。 この場に一緒に居られる…幸せを噛み締めながら… 「そろそろ片付けるか…」 「そうだな…もういい時間だ」 「眠いー」 眠いなら大人しく寝てくださいサエさん… 心の底からそう思いながら… 僕はフラフラと立ち上がった。 「大丈夫か?…だいぶ酔っ払ってんじゃん」 シルクが僕の腕を掴んだ。 「んー大丈夫…」 言いながら、僕はテーブルの上の皿を集めた。 「残ったの…どうしようか…」 「お持ち帰りましょう…帰ってシルクさんちで続きやりますから!」 「皿は空けないといかんからな…」 「包んで袋に入れて持って帰りましょう…」 僕はそう言って、テキパキと残り物をラップに包んでいった。 「…だいぶ末期だな…」 そんな僕の様子を見て、ふふっと笑いながら呟いたシルクは…僕の手から空いた食器を次々受け取っては、キレイに洗っていった。 「残った飲み物も…出してまとめておきましょう」 僕は言いながら、冷蔵庫に残っていた缶やら、残った瓶やらを、テーブルの上に並べた。 「何かカオルが妙にリーダーしてるー」 「くっくっくっ…」 「たぶん…覚えてないね、これ…」 「あーこの人も終わったな…」 今さっきまで去勢を張っていたショウヤが…椅子に座ったまま、テーブルに突っ伏していた。 「頑張ってくれたもんな…」 「しかもヤらしくスッキリしたしー」 「しょうがないな…」 そう言ってハルトは、ショウヤの身体を椅子から抱き上げると…そのまま上の寝室へと持っていった。 「俺らも寝ますか」 「…だな」 「…」 片付けも終わり…その場にポヤ〜立と立ち尽くす僕に向かって、サエゾウがニヤッと笑って言った。 「いくよー」 「…眠いんですよね…サエさん…」 「眠いー」 「寝てください」 「寝るよー」 言いながら彼は、 僕の身体をグイッと自分の方に引き寄せた。 「お前も一緒にねー」 「…っ」 そして彼は、また徐に…僕の身体を抱き上げた。 「おい、無理すんな、サエ!」 「腰やられるぞ…」 「大丈夫ー」 サエゾウは、僕を持ち上げたまま…鼻歌混じりに寝室へ続く階段を、意気揚々と上がっていった。 カイとシルクも後に続いた。 いちばん端っこのベッドに、既にショウヤが寝かされ…ハルトがその隣に横になっていた。 サエゾウは、そこからいちばん離れたベッドに、僕の身体を投げるように横たえた。 ふと目を上げると…3人様が、ベッドを取り囲むように立って、僕を見下ろしていた。 「…っ」 そんな状況さえも…僕の胸の寒気を駆り立てた。 「こーれは…撮っとかないと、後でショウヤに怒られそうだな…」 ボソッと呟いたハルトは、ベッドから下りると、急いで自分のスマホを取りにいった。 「せっかくの楽しい夜だからね…」 「お前も、もっと楽しみたいんだろ?」 「ふかふかのベッドでヤるー」 言いながら、彼らが僕の身体ににじり寄ってきた。 「…っ」 僕は思わず、怯えた目で、彼らを見渡した。 「相変わらず挑発的だよな…」 「エロいー」 「3人で犯られるのが…好きなんだろ?」 シルクが、僕の耳元で…囁くように言った。 「……っ」 僕はその言葉に、ゾクゾクと身体を震わせた。 そうだ…僕は…いつだって… この人たちに身体を任せたいと思ってる この人たちの演奏に身体を任せて、 その曲の世界にすっ飛んでいきたい… そしてこの人たちの愛撫に身を任せて… 何度も快感の波に飲まれたい… 僕は…自分の両手を…大きく両側に開いた。 そして…強請るように…言った。 「…いっぱい…イかせてください…」 「…!!」 3人様は…それを聞いて、目を丸くした。 「良い心掛けだ」 「ヘロヘロにしてやるー」 「…」 シルクは、そんな僕を見て… 半ば諦めたように笑いながら、小さく溜息をついた。

ともだちにシェアしよう!