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真夜中の庭で打上げ(4)
「いやーホントに名曲でした!!」
ショウヤが、何事も無かったかのように…スッキリした表情で言い放った。
「またPV撮りたいシリーズ増えちゃいました」
「そうだな…衣装も楽しそうだよな…」
「…」
若干…いや、割と疲労困憊してしまった僕は…とりあえず色々整えて…再び覚束ない手付きで、まだ残っている料理に手を伸ばした。
ふと見ると…もぐもぐしている僕を、ショウヤがジーッと見ていた。
「…」
エロショウヤの事だから…
あの口で…とか考えてんじゃないのか…
うっかり思ってしまった僕を見て…
彼はニヤッと笑った。
あ、しまった…読まれた…
「…っ」
僕は、顔を赤くして、彼から目を逸らした。
そして、ハイボール缶を、ゴクゴクと飲んだ。
まるで何事も無かったかのように…
その夜の宴会は続いた。
PVの構想を熱く語るショウヤ…
噛み合わない話をマイペースで突き進むサエゾウ…
たまに辛辣な突っ込みを入れるシルク…
上手いこと纏めるカイ…
それらを温かく見守るハルト…
そんな彼らの様子を見ながら…
僕は心地良く酔い進んでいった。
この場に一緒に居られる…幸せを噛み締めながら…
「そろそろ片付けるか…」
「そうだな…もういい時間だ」
「眠いー」
眠いなら大人しく寝てくださいサエさん…
心の底からそう思いながら…
僕はフラフラと立ち上がった。
「大丈夫か?…だいぶ酔っ払ってんじゃん」
シルクが僕の腕を掴んだ。
「んー大丈夫…」
言いながら、僕はテーブルの上の皿を集めた。
「残ったの…どうしようか…」
「お持ち帰りましょう…帰ってシルクさんちで続きやりますから!」
「皿は空けないといかんからな…」
「包んで袋に入れて持って帰りましょう…」
僕はそう言って、テキパキと残り物をラップに包んでいった。
「…だいぶ末期だな…」
そんな僕の様子を見て、ふふっと笑いながら呟いたシルクは…僕の手から空いた食器を次々受け取っては、キレイに洗っていった。
「残った飲み物も…出してまとめておきましょう」
僕は言いながら、冷蔵庫に残っていた缶やら、残った瓶やらを、テーブルの上に並べた。
「何かカオルが妙にリーダーしてるー」
「くっくっくっ…」
「たぶん…覚えてないね、これ…」
「あーこの人も終わったな…」
今さっきまで去勢を張っていたショウヤが…椅子に座ったまま、テーブルに突っ伏していた。
「頑張ってくれたもんな…」
「しかもヤらしくスッキリしたしー」
「しょうがないな…」
そう言ってハルトは、ショウヤの身体を椅子から抱き上げると…そのまま上の寝室へと持っていった。
「俺らも寝ますか」
「…だな」
「…」
片付けも終わり…その場にポヤ〜立と立ち尽くす僕に向かって、サエゾウがニヤッと笑って言った。
「いくよー」
「…眠いんですよね…サエさん…」
「眠いー」
「寝てください」
「寝るよー」
言いながら彼は、
僕の身体をグイッと自分の方に引き寄せた。
「お前も一緒にねー」
「…っ」
そして彼は、また徐に…僕の身体を抱き上げた。
「おい、無理すんな、サエ!」
「腰やられるぞ…」
「大丈夫ー」
サエゾウは、僕を持ち上げたまま…鼻歌混じりに寝室へ続く階段を、意気揚々と上がっていった。
カイとシルクも後に続いた。
いちばん端っこのベッドに、既にショウヤが寝かされ…ハルトがその隣に横になっていた。
サエゾウは、そこからいちばん離れたベッドに、僕の身体を投げるように横たえた。
ふと目を上げると…3人様が、ベッドを取り囲むように立って、僕を見下ろしていた。
「…っ」
そんな状況さえも…僕の胸の寒気を駆り立てた。
「こーれは…撮っとかないと、後でショウヤに怒られそうだな…」
ボソッと呟いたハルトは、ベッドから下りると、急いで自分のスマホを取りにいった。
「せっかくの楽しい夜だからね…」
「お前も、もっと楽しみたいんだろ?」
「ふかふかのベッドでヤるー」
言いながら、彼らが僕の身体ににじり寄ってきた。
「…っ」
僕は思わず、怯えた目で、彼らを見渡した。
「相変わらず挑発的だよな…」
「エロいー」
「3人で犯られるのが…好きなんだろ?」
シルクが、僕の耳元で…囁くように言った。
「……っ」
僕はその言葉に、ゾクゾクと身体を震わせた。
そうだ…僕は…いつだって…
この人たちに身体を任せたいと思ってる
この人たちの演奏に身体を任せて、
その曲の世界にすっ飛んでいきたい…
そしてこの人たちの愛撫に身を任せて…
何度も快感の波に飲まれたい…
僕は…自分の両手を…大きく両側に開いた。
そして…強請るように…言った。
「…いっぱい…イかせてください…」
「…!!」
3人様は…それを聞いて、目を丸くした。
「良い心掛けだ」
「ヘロヘロにしてやるー」
「…」
シルクは、そんな僕を見て…
半ば諦めたように笑いながら、小さく溜息をついた。
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