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悩めるショウヤ(5)
ショウヤは、未だかつて無いほどに悩んでいた。
「真夜中の庭で」通称、真夜庭は…トキドルの曲の中でも、どちらかと言えば短めの曲だった。
今回撮影した、素晴らしい動画の数々を…そこに纏めて詰め込むには、余りに時間が足りなかった。
(とりあえず…1本に絞るのはハナから諦めよう)
当然、裏表としても、とても足りそうに無かった。
(まずは、テーマを決めないとな…)
ショウヤは、レモンサワーの缶を開けた。
それをゴクゴクと飲みながら…既にそこそこ編集された動画を、見直していった。
(そうか…まずは、物語に忠実なのを作るか…)
彼は、イントロに…大時計の画像を差し込んだ。
(そんで…寝てるカオルさん…)
真夜中に時計の音で目覚めた僕が、扉を開けて真夜中の庭へ出ていくって言う…
彼は…まさに歌詞のストーリーに合った映像を、次々と並べていった。
(遊ぶ場面も、ここは歌詞に忠実にいこう)
季節を感じさせる…3人それぞれとのツーショットが…そこにふんだんに差し込まれた。
(シルクさんの…ホントに遊んでるシーンが、良いアクセントになるな…)
そして、サビには、森の中での演奏シーンをメインに持ってきた。
(2番のAメロが…難しいな…)
「……」
熟考した挙句…
下見のときに撮った動画を中心にする事にした。
(もともと独白っぽい歌詞だからな…)
(カオルさんがひとりで悶々とする感じにしよう)
間奏は、演奏隊をメインに…
たまに…遊ばれるちょいエロシーンを差し込んでいく
(うんうん…いい感じだ…)
そしてギターソロ…
サエゾウがメインなのは当然だが…
(背景的な感じで、銀色のカオルさんを入れるか)
「…!」
(いいぞ…サエさんと銀色…すごくいい!)
サエゾウが、派手に美しくソロを奏でている後に…
空に手を伸ばす僕の画が、ほんのり眩しく流れる場面は…まるで本当の天国のような情景に見えた。
そして、演奏風景のサビ…からの、
好き放題なグチャグチャなエンディングには、ギリギリ表認定の、自分お気に入りショットを、これでもか…と、詰め込んだ。
最後は…演奏風景から、他の皆がシュッと消えて…
大時計の前に僕ひとりが残されるっていう…
(初志貫徹だ…)
まさに、思っていた通りのエンディングになった。
「よし、いっちょ上がり!」
ショウヤは立ち上がって、大きく伸びをすると…キッチンに行って、冷蔵庫から新しいレモンサワー缶を取り出した。
もちろん…既に数時間が経過していた。
レモンサワーをゴクゴクと飲みながら…彼は、今作り終わった第1弾を、見返していった。
(うん…とりあえず、スタンダードバージョンはこれでいいな…)
それをファイルに落として…新規作成画面を立ち上げながら…彼はニヤッと笑った。
(あとは、思う存分…好き勝手にやろう…)
「あっ…」
ハッと思い出して、ショウヤは慌ててティッシュを取りにいった。
そして、万全の体制で…
撮り溜めた動画を次々再生していった。
(裏は…完全に2本以上だな…とてもとても1本じゃ収まり切らない)
(テーマをどう分けるかな…)
下見のメイクプレイから、それぞれとのツーショット…シルクとの入浴シーン…そしてハルトが撮った、ふかふかベッドでの4Pまで…
今回使いたい場面が、余りにも多過ぎた。
「…」
(とにかく全部詰め込むか…それとも…)
(むしろここは…敢えての…出し惜しむか?)
「……」
と、その…見返しているうちに…ショウヤの身体が、じわじわと反応し始めてしまった。
「そうか…」
(とりあえず…自分に正直に…作ろう)
そして彼は…見返していく中でも、特に自分の身体が、良い反応をする場面を選んで、抜き取っていった。
それでも、結構な量になってしまったが…
「はぁ…はぁ…」
(ああ…もうダメだ…)
そりゃあ…そういう場面ばっかりなワケだから…ダメになるのは当然だった。
ショウヤはズボンを下ろして…
すっかりいきり勃ってしまったモノを握った。
「…ん…んんっ…」
ちょうど…ハルトが撮ってくれた4Pの場面…
カイの上に四つん這いになった僕が…カイにモノと秘部とを責められて、ビクビクとイってしまうところだった。
「…こんなに、エロい事してたんですね…」
息を荒げながら…呟きながら…
彼は、自分の手の動きを早めた。
「はぁっ…あ…カオル…さん…」
ビクビクと震えて…ショウヤは吐精した。
「…はぁ…はぁ…」
その後も…カイの上に乗せられて、サエゾウに乳首を愛撫されながら突き上げられる…恥ずかしい僕の場面が流れていった。
「…エロ過ぎる…」
ショウヤは、思わず僕の映っている画面に…
汚れた指を這わせた。
「もっと…もっと汚したい…」
「もっともっと…カオルさんが恥ずかしく凌辱されるところを見たい…」
ちょっとオカシいテンションになってしまったショウヤは…そのまま、拭く事も忘れて、取り憑かれたように夢中で編集を進めていった。
(よし、出来た…)
(とりあえず、僕が100%抜けるバージョン…)
彼は、満足そうにニヤッと笑いながら…
それをしっかりファイルに落とした。
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