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光鬱レコーディング(2)
アヤメは僕に装着された、ヘッドホンやらバンダナやらを外すと、僕の身体をその場に横たえた。
「…はぁ…はぁ…」
小刻みに身体を震わせながら、息を荒げる僕を見て…アヤメは、ニヤッと笑いながら言った。
「LIVEの後みたいに…なっちゃった?」
「…っ…」
彼は…そっと僕の股間に手を伸ばした。
「んっ…はぁっ…」
その手が僕のモノに触れた途端、僕はビクビクッと大きく身を捩った。
「こーれは…いったん抜くしかないよな」
言いながらアヤメは、僕のズボンを膝までズリ下ろして…完全に、いきり勃ってしまった僕のモノを、露わにさせた。
「は…あっ…」
彼は、横たわる僕の後ろに寄り添うように座ると…その、いきり勃った僕のモノを、そっと握った。
「すぐ…出ちゃいそうだね…」
濡れた尖を親指でクリクリと弄りながら…彼はそれをゆっくりと扱いた。
「…んんっ…は…あっ…ああっ…」
熱く昂った身体に、ジンジンと渦巻く快感が…全てそこに集結していき…それは、アヤメの手の愛撫によって、更なる荒波を巻き上げていった。
「あ…はあっ…んんんっ…」
僕は、あっという間にイってしまった。
「…はぁ…はぁ…」
「落ち着いた?」
肩で息を上げる僕の身体を拭きながら…彼は言った。
「…すいま…せん…」
「全然…むしろ、役得だよね…」
アヤメに手伝われて、僕はズボンを履き直した。
彼は、僕を椅子に座らせながら続けた。
「すごく良い歌も録れたし…ありがとう」
「…」
「片付けるから、ちょっと座って休憩してて…」
「…」
アヤメは、またサクサクと機材を撤収していった。
手伝いたい気持ちはとてもあったのだが…
精密機械がとても複雑そうで、下手に手を出し辛い感じがしたのと…本気でとても疲れてしまっていた事もあって…
僕は、大人しく…彼が片付ける様子をボーッと眺めていた。
結局…いつぞやのときと、あんまり変わらなかったな…消耗具合が…
「じゃあ、出ようか…立てる?」
「あ、はい…」
僕は、何とか立ち上がった。
若干フラつきながら…僕はアヤメに腕を支えられて、そのスタジオを後にした。
「どっか寄って行く?」
「…どちらでも…」
「疲れちゃったか…真っ直ぐウチに戻るか」
「…」
そのとき…僕のお腹が…グ〜ッと鳴ってしまった。
「…っ」
「あはははっ…」
アヤメは、声を上げて笑った。
「消耗したからお腹すいたよな…置き酒はあるから、ピザでも頼むか?」
「…はい、それでお願いします…!」
力無く…それでも力強く、僕は答えた。
それから僕らは、アヤメの家で…ピザを囲みながら、ハイボール缶で乾杯した。
「お疲れ様…」
「…お疲れ様でした」
「ホントに疲れたよね…いっぱい食べてね」
「はい…いただきます」
僕は、遠慮なく…目の前のピザにガッツいた。
モリモリ食べる僕の…アヤメは、やはり半分くらいのスピードでピザを齧りながら、言った。
「あとはさ…出来れば、CDのジャケットの画像を撮りたいんだよね…」
「あー…なるほど…」
「でさあ…その…おたくのカメラマンにお願いしたいなと思ってたんだけど」
「…あーたぶん、撮ってくれると思いますよ」
まーちょっとメンドクサイ事になりそうだけどね…
「もしくは…」
アヤメは、少し考えながら続けた。
「…その、カオルが今モデルやってるっていう…画家さんに、描いてもらったり出来ないかな…?」
「…」
あー
もしかしたら、むしろそっちの方が面倒臭くないかもしれないな…
「ダメ元で、ちょっと頼んでみてくれない?」
「わかりました…訊いてみます」
僕はそう答えると…その場で、その旨をレンに送った。
すぐに返事が来た。
いーよ、面白そう
来週土曜は昼の会だから、その後で良ければ
「…来週の土曜日の夕方、アヤメさん空いてますか?」
「うん」
「その日で良ければ描いてくれるそうです」
「ホント?…じゃあそれでお願いしていい?」
「はい」
僕もすぐに返信した。
それで、よろしくお願いします
了解
サエじゃないギタリストが来るのね
楽しみにしてるわ
トントン拍子で決まってしまった…
「ありがとう…さっさと解決して良かった」
アヤメは、心底ホッとしたような表情で、ハイボール缶をゴクゴクと飲み干すと…立ち上がって、新しい缶を取りに、キッチンにいった。
「…カオルも、もう1本飲む?」
「あ、はい…」
僕も、残ったハイボールを飲み干した。
ほどなく戻ってきた彼は、新しい缶をテーブルに置きながら言った。
「ついでに、その…ちょっと怪しい画家が、どんなヤツなのかも探れるな…」
「…」
僕は、新しい缶を開けると…またそれを、ゴクゴクと飲んだ。
そっか…
トキドルの皆にちゃんと報告していない相手に、アヤメさんを紹介する事になるのか…
何となく…
僕は…釈然としない、後ろめたい気持ちになった。
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