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Fly me to the moon

また、どれくらいの時間が経って…どれほどにシルクを放置してしまっただろうか… 僕はようやく顔を上げた。 シルクはPCの前に座っていた。 「…あ、あの…」 「出来たの?」 「あ…うん…だいたい」 「じゃあ、帰るか?」 「…」 「また…早く打込みたいんじゃないのか?」 「…んーまあ、そうなんだけど…」 僕はゴニョゴニョと口籠った。 シルクは立ち上がると…また、布団に入ってきた。 そして、僕をドサッと仰向けに押し倒した。 「…まだ…シルクと一緒にいたい…」 僕は、彼を見上げて…正直な気持ちを口にした。 さっきよりも、だいぶ酔い進んだように見える彼は、僕を見下ろして…少し怒ったように言った。 「一緒にいたって…お前がこんなんじゃ、上書きも出来やしない…」 「…」 僕は…シュンとして…目を伏せた。 しばらく黙っていた彼は… ふと表情を緩ませて、続けた。 「でもまあ…確認しとくか…」 言いながらシルクは…僕のシャツを、グイグイと捲り上げたかと思うと…そのまま勢いよく、全部脱がせた。 そして、まさに確認するように…首やら胸元やら…脇の下やら…上半身をくまなく撫でながら、見回していった。 「うん…跡はついてないな」 「…っ…んっ…」 それから彼は布団をバサッと捲ると…今度は僕のズボンを、勢いよく脱がせた。 ゆっくりと両足を開かせながら…またも確認するように、太腿から秘部へと…指を這わせながら見回していった。 「…ん…んんっ」 僕は思わず…ビクビクッと震えてしまった。 「あーマジで痛そう」 「…っ」 彼は、赤くなった僕の秘部を、指でなぞりながら…また少し怒ったように呟いた。 「どんだけ突っ込まれたんだよ…」 「…」 …と、シルクは、僕の太腿をしっかり押さえると…徐に頭を下げて、その…僕の秘部に口をあててきた。 「…えっ…」 そして彼は…そのままそこを…自分の舌で、ペロペロと舐め始めた。 「は…あっ…や…やめて…」 僕は、恥ずかしさのあまりに、声を上げた。 それでもシルクは、止めなかった。 「…ん…んんっ…」 恥ずかしくてたまらなかった… でも…たまらなく、気持ち良かった。 ジンジンと痛むそこに、柔らかな舌が絡んで…彼の唾液が、傷口に優しく染み渡っていく気がした。 今作ったばかりのメロディーが… 頭の中に響いていた。 それは…怪しげな集団の生贄に捕らえられた主人公のストーリーだった。 絶望する彼の前に、美しい悪魔が現れて…自分の所有物ものになると約束するなら、そこから助け出してやろうかと持ち掛けた。 もちろん、主人公は迷わなかった。 貴方に僕の全てをあげるから… さあ、どうか…此処へ降りて! Fly me to the moon 僕を月まで連れていって… 「…」 シルク… シルクに連れていかれたい… シルクの所有物ものになって、2人だけの世界に閉じ込められたい… 何でもする どんな恥ずかしい事でも、どんな辛い事でも出来る… 僕の目から…またも涙がポロポロと溢れた。 「…っ」 ようやく顔を上げたシルクは、それを見て、少し驚いたように言った。 「こんなにヤられたくせに…俺に舐められんのが、そんなにイヤなの?」 「…っ」 僕は泣きながら、大きく首を横に振った。 そして僕は、両手を伸ばして、彼の頭を掴むと…自分の方へ引き寄せた。 「シルクっ…」 「…」 そのまま僕の上に覆いかぶさった彼は…ふふっと笑いながら、僕の身体をしっかりと抱きしめた。 「…ごめんなさい…」 「いーよ別に…」 「…嫌いに…ならないで…」 「…なんねーよ」 「…ホントに?」 僕は、そっと顔を離して…シルクの目を見た。 「ああ…」 彼は、僕の頬を撫でながら続けた。 「そんな…俺の事大好きって顔見たら…お前が他のヤツといくらヤってたところで…全然気になんねーよ」 「…ホント?」 「…いやまあ…全然ってのは嘘かな」 「…っ」 「…正直…気になるし…悔しいってのも無くはないけどな…言ったらそれは、アヤメや…カイやサエに対しても一緒だし…お前が気にする事じゃない」 「…」 「それでも…お前が、俺のことを、いちばん好きなのは…ちゃんと…知ってる」 「…っ」 「だからって…どうこう…する事は出来ないけどね…せいぜいこんな風に迎えに行くくらいしか…」 「…」 そしてシルクは…僕に口付けた。 「…んんっ…」 お互いに、お互いを愛おしみ…求め合うように… 僕らはいつまでも舌を絡み合わせた。 それからシルクは、部屋の電気を消すと…布団をちゃんとして、しっかりと僕を抱きしめた。 「明日…もし起きれたら…ショウヤの個展行くか」 「…うん」 「ま、明日も動かなかったら明後日だな」 「…大丈夫…シルクが舐めてくれたから、明日には治るよ、きっと…」 「…ふふっ」 そして僕らは目を閉じた。 僕は、ハッと気付いて…再び目を開けると、縋るようにシルクの顔を見上げた。 「ショウヤさんとか…皆にも、説明しなきゃ…ダメなのかな…」 「当たり前だろ」 「…」 シルクは超即答した。 僕はまた…何のひとつも、言い返せなかった。

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