354 / 398

審判(1)

順調に練習を終えて… 僕らはいつものように、シルクの家で打ち上げるために、買い出しに移動していた。 「カオル何か食べたいものあるー?」 「えっ…」 「シルくん何か作ってあげてよー」 「…そうだな…またオムライスでも作るか」 「やったー」 「唐揚げは冷凍でいいか、このデカいやつ」 「2袋買おうー」 「ぼ、僕も何か作ります…サンドとか」 「いーよいーよ…シルくん、パスタも作ってー」 「あー味付け何でもいい?」 「何でもいいー」 「…」 「あ、マッコリも買っとくー?」 「…はい…」 サエゾウがいつになく妙に優しい事が、ますます僕のドキドキな不安を煽った。 いつものように山ほど買い込んで…僕らはシルクの家に着いた。 買ったものを、ドサドサとテーブルに並べて…僕らはとりあえず乾杯した。 「お疲れー」 「来週もよろしく」 「にゃー」 それから、シルクはキッチンでバタバタと仕込みを始めた。 珍しくサエゾウが、手伝いに入った。 「この唐揚げ…お皿に乗せてチンすればいいのー?」 「そう…よく知ってんじゃん」 「ふふーん」 それ、僕が教えて差し上げたんですよね… ドヤ顔で唐揚げを皿に並べていくサエゾウを横目で見ながら、僕は…はあーっと溜息をついた。 買ってきた惣菜パックのフタを開けながら…カイが僕に訊いてきた。 「身体は…もう平気なのか?」 「あ…はい」 「結構ダメージ酷かったんじゃない?」 「…まあ…ちょっとは」 「薬の副作用とか…無かった?」 「あー副作用かどうか分かんないけど…その後に鼻血が出ちゃいました」 「あははっ…それって、興奮が続いてたって事?」 「うーん…そうだったのかも…しれません」 それからカイは、僕の後ろに立つと…背中から、僕の身体をそっと抱きしめた。 「…っ」 「辛くなかった?」 「…少し…」 「ま、いつも…もっと酷い事されてるからな…」 「…」 「俺たちに…」 「…はい」 ふふっと笑いながら…僕はカイを振り返った。 彼は、たまらないような表情で…僕を抱きしめた両腕に、ギュッと力を込めた。 「あー!カイー何やってんのーー!!」 サエゾウの怒号が響いた。 「うるさいな…俺だってカオルが心配なんだよ」 カイは、僕から全く離れる事もなく、しれっと答えた。 「…っ…」 それを聞いてサエゾウは…だいぶお怒りのご様子で、プイッと横を向いた。 「…」 だ、大丈夫なんだろうか… 思わず僕は、言った。 「あ、あの…僕は大丈夫ですから」 「…ん?」 「…離してくれないと、サエさんがもっと怒ります」 「気にすんな」 いやいや気にしますよー ただでさえ怒ってんだから、あの人… 「サエの怒りを増幅させといた方が…後々盛り上がるだろ?」 「…っ」 もうー 僕は渾身の力で、カイの腕を振り切った。 そして、逃げるようにキッチンに行った。 「ぼ、僕も手伝いますっ…」 「いーよ、カオルは座っててー」 「…」 「お言葉に甘えとけば?」 それはそれは他人事のように…面白がっているのが見え見えな様子で…シルクがしれっと言った。 「……」 そしてほどなく、サエゾウ作冷凍唐揚げと、シルク作オムライスとパスタも並んでの…テーブルはとても賑やかになった。 「いただきまーす!」 サエゾウは、もりもり食べ始めた。 「お腹空いてないの?」 いつもなら、張り合って食べ進める僕が、なかなか箸をつけないのを見て、シルクが言った。 「…」 空いてます 空いてますけどね… しかも、シルクのオムライスとか…めっちゃ美味しそうですけどね… 「早く食べないと俺が全部食べちゃうよー」 言いながらサエゾウが…オムライスをガッツリ取った。 「…っ」 次の瞬間…僕は、急にスイッチが入ったように…そのオムライスの皿を自分の方に勢いよく引き寄せた。 そして、ガツガツと食べ始めた。 サエさんに全部食べられてたまるかー! 後の事はどうでもいい… シルクの作ったごはんが食べたい!! それから僕は、いつもの調子で食べ進めた。 色々と、良からぬ事を考えていたであろう3人も…それを見てとりあえず、ホッとしているように見えた。 来週のイベントの事とか、ショウヤの個展の感想なんかを話しながら…僕らはいつものように、賑やかに飲み進んでいった。 シルクのごはんも美味しいし、マッコリもあるし… そんな楽しい時間に、僕は…さっきまでのドキドキな不安を、忘れてしまうほどだった。 しかし…宴もたけなわなところで… ついにサエゾウは動いた。 「さーて…じゃあそろそろ、ウチの玩具ちゃんの審判お仕置きタイムに突入しようかなー」 「…っ」 「ふふっ…何か楽しいお仕置き、思い付いたのか?」 「もっちろーん…」 サエゾウは立ち上がって、僕の隣にやってきた。 「……」 僕はまた、怯えたような…縋るような目で、彼を見上げた。 「ふふふーん」 それはそれは悪い顔のサエゾウは…三日月のような口で、ニヤッと笑いながら言った。 「俺たちの前でもモデルさんになってもらうー」 「…!?」 な、な…何ですか!? そのプレイ

ともだちにシェアしよう!