364 / 398

イベントの余韻(2)

なかなか鍵が開かないもんだから… 3人様…いやハルトも入れての4人様は…致し方なく、ドアの前に機材を置きっ放しにして、打上げのための買い出しに行ってしまった。 「…すいませんでした」 「いえ、全然…こちらこそ…」 僕らは、少し恥ずかしそうに、お互いの身体を拭いて、衣服を整えた。 「機材…中に入れておきましょう」 ようやく鍵を開けて…僕らは手分けして、彼らの楽器や機材を部屋の中に入れた。 そしてテーブルの上も片付けて…例のダメダメなDVD再生機も準備して…万全の状態で彼らの帰りを待った。 ピンポーン ほどなく再び呼び鈴が鳴った。 「すいませんでした!!!」 ショウヤがすぐにドアを開けた。 「あーもうー何やってたんだよー」 「ホントにすいません…」 「ナニをやってたんだろ…」 「全くな…」 「…っ」 彼らの大荷物を受け取ると…僕らは少し気まずい表情で、バタバタと…率先してそれらをテーブルに並べた 「あ、ちゃんとDVDの準備もしてある…」 「はい、準備しときました…」 「音悪いやつだけどねー」 「……」 そして、ようやく僕らは、乾杯した。 「お疲れ様でした」 「お疲れー」 「今日も最高でした!」 「にゃー」 「買い物…ありがとうございました…」 「そうだー…うーんと感謝して食べろよー」 「…いただきます…」 いつになく深々とお辞儀をして… 僕はいつものように、ガツガツと食べ始めた。 「ナニしてさぞかし腹が減っただろ」 「……」 今日のシルクはしつこいな… 思いながらも、気にしないフリをして…僕は食べ続けていた。 やがて、音の悪いDVDが流された。 「今日のカオルさん、本当に素敵でした」 「いつもと違うから、ビックリしたー」 「だよな…ええって思ったわ」 「危なく間違えることろだった…」 「シルクは間違えたー」 「…っ」 彼らがそんな風に言ってるのを聞いて…ハルトはとても満足そうに、ドヤ顔になっていた。 「頭の傷は大丈夫そう?」 「あ、もう全然…今まで忘れてました」 そして、ワルツが流れ始めた。 「今日のワルツ…強烈でしたね…」 ショウヤが興奮気味に言った。 「ハルトさんも言ってたけど…ホントに、僕も紙パンツにしとけば良かったと思いました」 「それで我慢出来なくて、ヤっちゃったんだ」 「…っ」 そして、真夜庭…宵待ちと続いたところで、ハルトが若干溜息混じりに言った。 「いやあ…あの宵待ちがまた…ヤバかったわ」 「…ですよね!」 「あれ絶対…皆が処理したくなったんじゃないか?」 「うんうん…」 「進化したからね…」 「えっ」 「サエとカオルが…」 「何それ、どう言う事ですか??」 「…」 何でそーいう、余計な事を言うかなシルクは… 僕は若干ムッとした表情でシルクを見た。 「まだ2人に話して無いんだろ?」 「……」 「何を?」 「やっぱり、何かあったんですよね!!」 ハルトとショウヤは… 前のめりになって、目を大きく見開いた。 「さ、サエさんだって言ってないですよね?」 僕は一応、無駄に足掻いてみた。 「言うよーこれから」 サエゾウは、しれっと言い放った。 「あのね…高校ん時の先輩にね、言い寄られてヤっちゃったー」 「…」 それで終わり? 「ま、早い話がそう言う事だな」 カイは、換気扇の下で煙草に火を付けながら言った。 「そうだったんですか…」 言葉少なに交わしたサエゾウを、ジロジロと見ながら…ショウヤは、意味深げにニヤッと笑った。 「なるほど…サエさんも大変だったんですね」 「…っ」 ショウヤに読み取られているのにハッと気付いたサエゾウは、慌てて話を僕の方に振った。 「カオルなんか、もっと酷いんだからねー」 「…っ」 「おっさん達に集団レイプされたんだからーしかも変な薬まで飲まされてさー」 「えええっ…!?」 「マジか…」 ショウヤとハルトは、飛び上がるくらいに驚いて、僕の方を見た。 「……」 いやだから…そう言う、 身も蓋もない省略の仕方はやめてくださいって… 「そう言うわけじゃないんです…」 僕は必死に取り繕うように言った。 「じゃあ、どういうわけなんですか?」 「俺たちにもちゃんと説明してよ」 「…」 ですよねー そして僕は、再び…いや三たびか… レンの個展に行ってからの…シルクに迎えに来てもらうまでの流れを、彼らに説明した。 「…なるほど」 ショウヤは…自分の個展に来たときの、僕らの様子を思い出して…ようやく色々納得したような表情をしていた。 「ちなみに俺らは既にお仕置き済みだからー」 「そうなんだ…」 「そっちはそっちで…2人の好きなように、審判を下してくれていいからねー」 「ホントですか?」 だからさー 何でサエさんが決めんのよ… 「どうしますか、ハルトさん…」 ショウヤが、目を輝かせながら言った。 もうー さっきもヤったくせに… 「そうだね…メンバー公認って事なら、せっかくだから企画しようか」 「…」 「そっちの2人にお仕置きされる会…か?」 「是非やりましょう!」 「何か楽しそうだな」 「見学してもいいのか?」 「混ざりたいー」 もうー あんなに酷いお仕置きしたくせに… 「あっ…」 サエゾウがふと思い出して続けた。 「個人的にみっちりミッションが、まだこれから控えてるんだっけー」 「……っ」 「相当忙しくなりそうだな…」 シルクがふふっと笑いながら言った。 「ま、でもあれだけ稼いだんだから…当分遊んで暮らせるだろ…そっちに集中するんだな…」 「…」 シルクはやっぱりいじめっ子だ…

ともだちにシェアしよう!