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イベントの余韻(3)

そんな楽しい(恐ろしい)企画の話も交えながらの…DVDを何度も観ながら、いつものように飲み会が進んでいた。 「次回は新曲やろうな」 「そーだ、早く聞かせてー」 「え、また新曲出来たんですか?」 「カオルとシルクが作ったらしい」 「えっ…また2曲も?」 「…」 ショウヤは、僕とシルクをマジマジと見た。 僕らはハッとして、慌てて顔を背けたが…無駄な努力だった。 「ふうん…なるほどね…」 「……」 「何が、なるほどなの?」 ハルトがしょうやに訊いた。 ショウヤは、ニヤッと笑って答えた。 「それは今度、楽しい企画のときに、ゆっくりお話しますね」 しなくていいー! 「ああ…また、PV作りたくなっちゃいますね」 「作るか?」 「いいよー」 え、またあの…消耗激しいレコーディングと、消耗激しい撮影大会ですか!?!? 「ま、あっちの活動も忙しいだろうからな、お前次第だと思うけど?」 シルクが僕に向かって言った。 「…」 「アヤメさんとは今度いつやるのー?」 「あ、ええと…来月ですね」 「そうだ、レコーディングしたんだろ」 「レコ発LIVEか」 「何かカッコいいームカつくー」 「ウチも再来月だし…ホントに忙しいんだな」 「って事は、PVに着手するとしたら、それ以降がいいですかね…」 でもやるのか… 「まあ、そんなに慌てなくてもいいんじゃない?…やるとしても、こないだみたいに4曲もじゃなくて、1〜2曲ずつのんびりやってもいいんだし」 ハルトが、纏めるように言った。 「そうですよね…撮りたい曲が多過ぎて、ついつい焦ってしまいますけど」 ショウヤは、少しシュンとしながら頷いた。 「そう言えば…個展、お疲れ様だったね」 カイが、そんなショウヤに向かって言った。 「そうだー儲かったー?」 「あ、いえ…全然赤字でしたけどね…」 「そりゃそうだろ…」 ハルトは、色々を思い返しながら…言った。 「でも…凄く楽しかったです…本当に、良い思い出になりました…」 言いながらショウヤは、チラッと僕の方を見た。 「そうだーカオルとヤったんだってー?」 「な、何でサエさんが知ってるんですか!」 言いながらショウヤは、今度はシルクの方を見た。 シルクはいつものようにしれっと…だから何か?って言う…これっぽっちも悪気の無い表情をしていた。 「まあ、その…それも含めての思い出ですけど」 「ちなみに…あの人形はどうする事にしたの?」 ハルトが訊いた。 ショウヤは、静かに微笑みながら答えた。 「あれは…彼女たちに譲る事にしました」 「そうか…」 それを聞いて…ハルトは、ニコッと笑った。 「何度も来てくれたんですよ…彼女たち…」 「あ、もしかして…さっきの3人組ですか?」 「同じものを展示してるのに…来るたびに、違う発見があるって言ってくれて…」 ショウヤは、とても嬉しそうに語っていた。 そんな彼の表情を見るのは初めてだった。 「彼女たちは…もしかしたら僕なんかよりも、ずっとトキドルの事を愛してるのかもしれないって…思いました」 「全部あげちゃったの?」 「…はい…あ、もちろん、お金は頂きますけどね」 「そうなんだ…」 「…でも、だって」 ショウヤは、ハルトに向かって続けた。 「また、作ってくれるって…言ってましたよね!」 「…あ、ああ…」 ショウヤは…珍しく、強請るような甘えるような目で、ハルトを見つめていた。 さっきの女子達と、あんな風に仲良く話すようになったり…こんな風にハルトさんに甘えるようになったり… 何だかんだ言って、実はショウヤさんも進化してるんじゃないかな… そう思った僕は、ふふっと笑った。 そんな僕を見て…ショウヤはとても恥ずかしそうに、顔を赤くしていた。 あ、そんな事まで読まれちゃうのか… 「個展も楽しんだくせに、今日もちゃっかり、イチバンにカオルとヤったんだー」 サエゾウが、少し口を尖らせて言った。 「す、すいません…」 「じゃあ今日は、ショウヤを玩具にしちゃうー?」 「ええええっ…!?」 わおー そーいうのも、ありなのか!? 「逆に、そういう虐め方も…いいかもな…」 シルクがニヤッと笑って言った。 「なるほどね…」 カイが納得したように言った。 「…?」 「こないだもやり過ぎちゃったしねー」 言いながら、サエゾウはタオルを取り出して、立ち上がった。 そして僕の手を取って立ち上がらせると…半ば無理やりに奥の部屋へ連れていった。 え? ショウヤさんにするんじゃないの…? サエゾウはそのまま、呆然とする僕の両手を背中に回して、しっかりと縛りつけた。 「休んでていいからねー」 彼は、両手を拘束された僕を、部屋の隅に横向けに寝かせると…今度は、ショウヤの腕を捕まえて、僕の目の前に連れてきた。 「サ、サエさん…」 ショウヤは、若干怯えた目でサエゾウを見上げていた。 「カオルに、見せつけてやろうー」 言いながらサエゾウは、その場にドサッとショウヤを押し倒した。 「…あ、そーいう事…ですか」 しばらくして、ショウヤがケロッとした顔になった。 「そーいう事でしたら…存分にお願いします」 そう言ってショウヤは… 僕の方を見て、ニヤッと笑った。

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