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知り合いとサエゾウのその後

「サエ…待って!」 さっさと店を出て、早足で向こうに歩いていくサエゾウを…ユウマは大声で呼び止めた。 「…」 仕方ない感じで…サエゾウは立ち止まった。 「今日もまた…一緒に帰っていい?」 駆け寄ってきたユウマは、若干息を切らしながら言った。 「…それってー」 サエゾウは、少し口を尖らせながら続けた。 「また…ヤりたいって事ですかー?」 「…えっと…その…」 ユウマは、少し顔を赤ながら言った。 「ヤりたい…って言うか…お前の事が好きだから、一緒にいたいって言うか…」 「…」 サエゾウは、少し考えてから… 意を決したように、切り出した。 「あの…すいません、ユウマさん…ヤるのは、全然構わないんですけどー」 「…」 「俺は、ユウマさんの事…本気にはなれないです」 「…っ」 それを聞いたユウマは、一瞬固まった。 そして…少し苦笑いしながら言った。 「…やっぱり…カイの事、好きなの?」 「カイも好きですけどー」 サエゾウは、キッパリと続けた。 「俺、ボーカルのヤツが好きなんです」 「えっ…あの…カオル?」 「はいー」 「カオルとも…ヤってんの?」 「はいー」 サエゾウは、しれっと答えた。 「何なら、ベースのヤツともヤってます…俺、今のバンドのメンバーにゾッコンなんですー」 「……」 ユウマは、若干呆れたような表情で言った。 「…でも、本気じゃない俺とも、ヤっていいの?」 「エロなんでー」 「…」 「それでもいいなら…来てくださいー」 黙ってしまったユウマに向かって、サエゾウは更に続けた。 「ユウマさんの事…嫌いじゃないから、ヤるのは全然いいんです…ただ、ユウマさんの気持ちには、とりあえず今は全然、応えられないです…」 「…そうか」 しばらくの沈黙の末に…ユウマは溜息をつきながらそう言うと…サエゾウの手を、そっと握りながら、続けた。 「わかった…それでもいい…」 「…」 「それでもお前が、俺を拒絶しないって言うんなら…俺は何としても、お前とヤりたい」 「…」 それを聞いて、サエゾウは、ふふっと笑った。 「じゃ、行きましょっかー」 そう言ってサエゾウは、自分からユウマの手をギュッと握ると…引っ張るようにして、自分の家に向かって歩き出した。 「…」 ユウマは、少し笑みを浮かべながら… 黙ってそれに従った。 やがて…2人は、例の公園に差し掛かった。 「あー宵待ちには、ちょっと早いなー」 真っ暗な夜空を見上げながら、サエゾウは言った。 「ああ、あの曲の月ね…」 「俺…スゴく嬉しいんですよ…ユウマさんが、あれ、俺の曲だって分かってくれたのがー」 「…っ」 「それに、やっぱり…ギタリストとしては、メチャメチャ尊敬してるしー」 「…」 「だから…ユウマさんの事…全然、嫌いじゃない…むしろ好きな方かもー」 「…」 「…ただ…」 サエゾウは、立ち止まって…ユウマを見上げた。 「あいつらの方が、10倍好きってだけなんですー」 「…っ」 ケロッと言ったのけるサエゾウを見て、ユウマは目を丸くした。 「…ふふっ…あははは…」 「おかしいですかー?」 「あはは…よーく分かったよ…」 「…」 しばらく高笑ってから…ユウマはスッキリしたような表情で続けた。 「…ありがとう、サエ…」 「…っ」 そう言ってユウマは…サエゾウの頭を、自分の方に抱き寄せた。 「それでいいよ…」 「…すいません」 そして彼らは、またしっかりと手を繋ぎ合ったまま、サエゾウの家に向かった。 部屋に入った2人は…また、電気も点けないまま、すぐにベッドになだれ込んだ。 「サエ…」 息を上げながら、ユウマはサエゾウに口付けた。 「…ん…んん…」 お互いのくちびるを、求めて止まないように…2人は激しく舌を絡め合った。 ようやく口を離れたユウマは…サエゾウの顔を見下ろして、囁くように言った。 「そんな顔されると…本気にしちゃうよ」 「…本気で…気持ちいいですー」 言いながらサエゾウは、ユウマの背中に腕を回した。 「…っ」 それを聞いたユウマは、取り憑かれたように、サエゾウのシャツを捲り上げて、その胸元に顔を埋めた。 「…んんっ…あ、あっ…」 サエゾウは、ほどなくユウマの愛撫に夢中になった。 されるがままに、湧き上がる快感に声を上げた。 そして、ユウマに挿れられ…共に果てた。 「…」 隣で寝息をたてるユウマを見ながら…サエゾウは、自分のスマホを手に取った。 「…」 (そっか…カイはお取り込み中かー) サエゾウは、少し寂しそうな表情で…動きのない、カイのLINEの画面を見つめた。 (シルくんでいっかー) 彼は、少しニヤニヤしながら、シルクにLINEを打った。  知ってる?  今日は激しいカイさんの日ww すぐに既読が付いて、返信が来た。  あ、そう (ふふっ…強がっちゃってー) サエゾウが肩を震わせながら、クスクスと笑っているところへ、更にシルクからの返信が続いた。  妬くなよ 「……!!」 それを読んだサエゾウは、ピタッと止まってしまった。 そして…くちびるを尖らせながら、急いで返信した。  妬いてないー  俺だって先輩と一緒だもんね  ふうん  あんまり妬かせんなよ 「…っ」 それを見たサエゾウは… ふっと笑いながら、スマホをポイッと置いた。 そして仰向けになって… 少し気が済んだような表情で、天井を見上げた。  

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