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謝罪のあとの穏やかな時間
シルクに奥まで何度も突かれ、朦朧と絶頂を漂い続けた僕は…昨夜からの疲れも手伝って…彼の吐精の感触を最後に、そのまま目を閉じて、眠り込んでしまった。
いつものように、シルク母さんは…僕の身体をきれいに拭いてから、きちんと布団を掛けてくれた。
「…」
そして…スースーと寝息をたてる僕の髪を、優しく撫でながら…シルクは密かに顔を顰めた。
(昨日はここで…カイとヤったんだよな…)
(いや…言ったら、サエともあっちの2人とも…散々ヤってんだし…)
「…」
(気にならない…って言ったら嘘なんだろうな…)
そんな風に考えてしまう、自分の気持ちを振り払うように…シルクは勢いよく立ち上がると、キッチンに戻った。
そして、換気扇の下で、煙草に火を付けた。
「ふうー」
(それでいいって…何度も思ってんのにな…)
煙草をふかしながら…
彼は必死に自分に言い聞かせていた。
(人間の気持ちって…何でこんなに面倒くさいか…)
それから、煙草を揉み消したシルクは…部屋の電気を消して、再び布団に戻ると、僕の隣に潜り込んだ。
(カオル…)
彼は、眠っている僕の身体を…ギュッと抱きしめた。
「…ん…」
「…っ」
モゾモゾと動いてから…再びスースーと寝息をたてた僕の頬に…シルクはそっと、何度も口付けた。
翌朝になって、僕はようやく目が覚めた。
「…うーん」
目の前に…シルクの顔があった。
「…」
それを確認した僕は…言いようのないほどの、安堵感と幸福感に包まれた。
僕は、彼に擦り寄って…その胸元に顔を埋めた。
「…ん…」
今度はシルクがモゾモゾと動いた。
僕を確認した彼は…両腕で、僕の頭をしっかりと抱きしめた。
そのまましばらく、彼のぬくもりに浸っていたものの…段々と息苦しくなってきてしまった僕は…彼の両腕をゆっくり解いて、顔を上げた。
「ふうー…」
「…」
「おはよう…」
「…ん…」
そして僕らは…何度も何度も、口付け合った。
離れてもまたすぐに吸い寄せられるように…
お互いが愛おしくてたまらないように…
何度目か、いや…十何度目かの口付けの後に…シルクは身体を起こして、僕の上に覆い被さってきた。
「…」
上からじっと僕を見下ろして…そしてまた彼は、僕に口付けた。
ゆっくり口を離れたシルクは…僕の身体を抱きしめて、僕の肩に顔を埋めながら言った。
「…起きるか」
「…うん」
「今日の予定は?」
「何もない」
「お前、最近ヒマ過ぎない?…ちゃんとバイト行ってんの?」
「…んーあんまり言ってない…」
「何で?」
言いながら彼は頭を上げて、また僕を見下ろした。
「…モデルのバイト…再開する事にしたから」
僕は、若干モゴモゴしながら言った。
「あーなるほど…」
言いながらシルクは、ゴロンと横に転がった。
「…あ、でも…あの人ん所には行ってないよ!」
僕は思わず、取り繕うように続けた。
「…」
シルクは、僕の方を見て…ニヤッと笑って言った。
「別に何も責めてねーよ」
「…っ」
「いいんじゃない?…お前が良いなら…」
彼は、人差し指で、僕の鼻を押さえながら続けた。
「効率よく稼げるに越した事ないだろ…」
「……」
「ま、体調崩さない程度にな…」
「…」
僕は、少しシュンとして…目を伏せた。
「だーかーらー」
シルクは、そんな僕の鼻を…ギュッと摘んだ。
「んーっ…痛いっ…」
「気にすんなって言ってんだろ」
そして、手を離した彼は…僕の頬を撫でながら、再び僕に、軽く口付けた。
「さてと…」
彼は、うーんと両腕を上に挙げて伸びをしてから…バサッと上半身を起き上がらせた。
「まずは風呂入ってこい」
「…あー…そうだね…」
僕は、少し面倒くさそうに…モソモソと起き上がった。
「風呂入ったら…デートするか」
「…う、うん」
「で、買い物して…ウチに移動して何か作るか」
「うん!!」
それを聞いて、パァッと元気になった僕を見て…シルクはまた、少し嬉しそうにクスクスと笑った。
それから僕は、張り切って風呂に入った。
その間シルクは、自分のスマホをいじったり…ウチにあった漫画を読んだりして、待っていてくれた。
一緒に入ってくれても…よかったんだけどな…
なんて、少し思いながらも…僕はテキパキと、髪を乾かして、色々と支度を整えていった。
これでもかって言うくらいに、アイロンで必死に髪を伸ばす僕の様子を見て…シルクはニヤニヤしながら言った。
「何で、そんなに気合い入れてんの?」
「…っ」
僕は、少しだけ顔を赤らめた。
「俺とデートだから?」
「…」
もうー
意地悪なんだからー
思いながらも…
僕は自分の中に、何かが湧き上がってくる気がした。
何となく、ほわ〜っとしながら…僕はその、湧き上がる何かに従順に、穏やかに笑いながらシルクの方を見た。
そして、彼の目を見つめながら答えた。
「うん…」
「…!!」
少し驚いて、慌てふためいたように…今度はシルクが、顔を赤くして目を伏せてしまった。
「…?」
そんな、珍しく小さくなっている彼の様子を見て…僕は、ハッと気付いた。
そうか…もしかして…
これが銀色の感覚なのかな…?
僕は初めて…ほんの少しだけ自覚した。
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