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謝罪慰労会(2)

それからシルクは、ベビーリーフを冷水にさらしてから…火の通った、じゃがいもとにんじんを、いったん皿に取り出した。 本当に丁寧に作るなー 思いながらも僕は、また自分がツッコまれると困るので…黙ってベビーコーンの皮をせっせと剥いていった。 「それ、茹でる?」 「あ…うん」 シルクは、小鍋を取り出して…僕に渡しながら続けた。 「それの茹で汁も混ぜよう」 「…なるほど、良いだしが出そう!」 束になっていたベビーコーンは…皮を剥いたら、だいぶ量が減ってしまった。 「中身がこれだけだから、安かったんだな…」 「あはははっ…」 それから、ベビーコーンを茹でて…茹で汁もシチューの鍋に足されると… 彼は、その小鍋で、今度はホワイトソースを作り始めた。 「ウインナー任せていい?」 「わかった…ベビーコーンも一緒にちょっと焼くね」 「うん」 そして僕は…シルクがシチューを仕上げている間に、隣のフライパンの係になった。 「パンもそろそろ焼いといて」 「わかった」 ベビーリーフと一緒に、トマトとモッツァレラチーズのスライスも、綺麗に盛られた。 バタバタと、グラスや取り皿も並べられて… ほどなくテーブルが…すっかり華やかになった。 「うわあー…」 本日の…謝罪慰労会メニュー カプレーゼ風サラダ ウインナーとベビーコーンのソテー クリームシチュー バケット そして、スパークリングと白ワイン!! ちゃんと、スパークリング用の細いグラスと、白ワイン用の小ぶりのグラスも並べられていた。 「すごい…イタリアンのお店のコース料理みたい…」 「シメに後でパスタ茹でるか」 「うん!」 「マジか…食えんのか…」 スパークリングとワインを、贅沢に両方とも、それぞれのグラスに注ぐと…僕らは早速乾杯した。 「はい、お疲れ様でした」 「ありがとうございます…」 シュワシュワと泡を立てるスパークリングを、僕は一気に飲み干した。 「うん…美味しい…」 「ん…美味いな」 そして僕は、早速両手を合わせた。 「いただきます…」 まずはカプレーゼ風サラダを、自分の取り皿に山盛りに盛って…僕はバクバクと食べ始めた。 「うん…うん…美味しいー」 それから…丁寧に作られた、シルク特製シチュー! 「うわあー美味しい〜!」 「うん、ベビーコーン…良いだし出てるな…」 ルウを使わない、野菜と鶏肉の旨味たっぷりのシチューは…それはそれは美味しかった。 こんがり焼けたバケットと、白ワインも一緒に…僕はモリモリと食べ進めていった。 「ベビーコーンも美味い…」 シルクが、僕の炒めたベビーコーンを、もぐもぐ食べながら言った。 「今しか食べれないからね…買ってよかった」 ベビーコーンも、ウインナーも…もちろん、スパークリングと白ワインに、とてもよく合った。 だいぶ食べ進んでところで… シルクは、ニヤッと笑いながら切り出した。 「で…ちなみに、どんな謝罪だったの?」 「…えっ…」 僕は思わず、ワインを吹き出しそうになった。 そ、それ、訊く…?? 僕は、顔を赤くしながら…グラスを置いた。 すかさずシルクは、そこにワインを注ぎ足した。 「最初はサエ?」 「……うん」 「サエはどんな風にヤるの?」 「…」 「やっぱアレか、ちゃんとしたヤツとか使うのか」 「…何で知ってんの!?」 「あ、マジか」 「…っ」 うーしまった… 誘導尋問だったかー 真っ赤になって下を向いた僕の様子を見て…シルクは、ふふんと笑いながら、続けた。 「…で、アイツらは…やっぱメイクされたり、衣装着せられたりするんか?」 「えっ…」 まさかの図星に… 僕はまたうっかり、すぐに否定出来なかった。 「へええー…そうなんだ…」 「ち…違うよ…」 慌てて必死に取り繕おうとする僕を、また鼻で笑いながら…シルクは、ゆっくり自分のワインを飲みながら言った。 「何か、目が泳いでるけど?」 「…っ」 僕は、さっきシルクが注いでくれたワイングラスをサッと取ると…勢いよくそれを飲み干した。 「カイは…どうなんだろうな…」 「…」 「お前んちに来る前に…店でもヤリ倒した感じか」 「……っ」 僕はもう…何も言い返せなかった。 何でシルクは… そんなに、何でもかんでもお見通しなんだ!? 「……」 黙って再び、バケットに齧り付いた僕を見て…シルクは更に続けた。 「…俺だけじゃないよ」 「…?」 「たぶん皆…それぞれがどんな風にヤってんだか…だいたい分かってると思う」 「ええーっ!?」 僕は真っ赤になってシルクを見た。 彼はニヤッと笑いながら、僕の目を見つめた。 「こんな風に、俺と慰労会やってるって事も…たぶんバレてるんだろうな…」 「……っ」 そうなのか… 「ま、それだけ…俺たちの絆が深いって事だろ?」 「…」 何か、都合の良い解釈じゃないですか??? 上手い事、いい話みたいに纏めたシルクは… ドヤ顔で、自分のワインを飲み干した。

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