19 / 33

【第8話②】正しく生きることが許されているのは、2

 大量殺人を実行するなら、凶器よりも爆発物や危険物を使用した方が効率的だ。場外に仕掛けられる危険性もあるため、班員のうちの一人が順番に見回ることにしている。  柏木班の担当は、会場の出入り口から南側に向かって廊下を進み、階段を使ってワンフロア下のエントランス階に向かうまでの道のりだった。  会場から聞こえる喧騒に背を向けて、南側へと足を進める。くの字型になった廊下は、臙脂色の絨毯が敷かれており、ところどころで生花が活けられた花瓶が飾られていた。  時々重厚なドアとすれ違う。この向こうには小宴会場が広がっているはずだ。脅迫の件があったため、今日はこのフロアでの予約は受けていないと聞いた。廊下は人影もなく、静まり返っている。  少しずつ歩を進め、異常がないか、怪しげなものがないかを確認していく。  どんな形であれ、仕事は仕事だ。国近は自分の責務を全うしていた。 *  足音が聞こえてきたのは、ちょうど廊下の中間地点に差し掛かろうかという時だった。  反対側から、影が二つ分歩いてくる。 「ああ。早川議員は甲殻類にアレルギーがあるんだったか」  柔らかだけど底冷えする、流氷のような声だった。  須藤正臣と、その部下の姿がそこにはあった。  前方を歩く正臣氏に向かい、タブレット端末を持った部下が話しかけている。 「今日のメニューは?」 「甲殻類を使用したものは省いてあります」 「一般客の料理では使っているだろう。調理の最中に混ざらないように念を押しておいて」 「すぐに対応いたします」 「ああ。食事を出す前にテーブルアレンジメントの再確認を。あの花は見栄えはいいが傷みやすい」 「かしこまりました」    今日、ここに来るまでに、何度も彼の顔を見たことがある。  一度目は大志がくれた資料の中で、そのあとは自ら集めた週刊誌や新聞記事の中で。  彼が、人並み外れて綺麗な容姿をしていることは、ずっと前から知っていた。  ただ、それでも実際に目の前にすると、その容貌は「綺麗」という一言だけでは足りないような気がした。  細くしなやかな黒髪に、真っすぐで整った鼻梁。形のいい唇。  色素が薄い肌は透明感に溢れ、独特の光を放っている。  加えて、品よく仕立てられたスーツが、彼の佇まいをより一層際立たせていた。  ――彼が美斗にしたことなんて、忘れてしまいそうになるほどの、透き通った美貌だった。  アーモンド形の瞳が、ゆっくりとこちらを見据えた。目元の左側に、小さな泣きぼくろが二つ並んでいて、それだけが妙に人間らしさを出していた。  国近の姿を認識すると、無表情にほんの彩り程度の笑みが浮かぶ。  唇が、ゆっくりと開いた。 「やあ、国近警部補。直接会うのは初めてだね。いつぞやはうちの愚弟がどうも」 「……」  並外れた美貌は時に妙な威圧感を生み出すらしい。誰かと向き合って声が出せなくなったのは、後にも先にもこの一瞬だけの経験だった。  すると、ふ、と彼は口角を上げた。 「聞かないんだね。あの子が今どうしているのか」  彼が自分に接近してくる可能性を、予想していなかったわけではなかった。  そして、そうなった時、素知らぬ顔をしようと国近は決めていた。  少しばかり間を置いて、 「尋ねてもよいものか迷っていたところです。彼は元気にしていますか?」  と答えた。  発言の真意を確かめるような瞳が、数秒、国近を見つめる。 「……さあ? あの子の放蕩癖は困ったものでね。最近は私も会えていないから分からないや」 「……左様ですか」 「今日は警備をよろしく頼むよ。とても優秀な捜査官だと聞いた。君がいれば安心だ」 「ええ」  内心で、国近は眉を顰める。  放蕩癖。彼にとってはその程度の認識なのだろうか。 「……ところで、彼にも招待状を出したんだけど、来ていないみたいだね」  穏やかな口調で彼が続ける。意味深な言いぶりに、胸の奥がざわついた。 「知ってる? 今話題の新人小説家・初野春」  その名前を聞いて、国近はほんの一瞬だけ、ピクリと眉を動かした。  ずっと隠し通しておくことができないことは、最初から分かっていた。  けれど、もうここまで調べがついているのか。 「……あいにく、本は読まないもので」 「……それは残念だな。でもとてもいい本だから、君も読んでみるといい」  ふっと、彼がまた口角を上げる。一歩こちら側へと近づくと、国近の肩に手を置いた。 「僕のお気に入りの一文はね」  国近の耳元に唇を寄せ、低く囁く。 「『正しく生きることが許されているのは、」  やめろ、と思った。  皮膚が泡立っていく。どうしようもないほどに。 「正しく生まれて、正しく育つことが出来た人間だけだ』」  その瞬間。国近の頭は沸騰した。  乱暴に彼の襟元を掴み、そのまま壁に押し付ける。ゴン、という鈍い音がその場に響き渡った。  美斗がどんな想いで、その言葉を紡いだと思っているのか。  どれほどまでに傷つき、打ちのめされ、泣いていたのか。  Domから認めてもらえないSubはただ堕ちていくだけだ。自律神経が乱れ、睡眠と食事が取れなくなり、やがては死に至る。  この男は知らないだろう。知ろうともしないのだろう。  目線の先。涼やかにこちらを見つめるこの男を、殺してやりたい。本気でそう思った。今まで、どんな凶悪犯にだって、これほどまでの激情を感じたことはなかった。 「正臣様!」  つんざくような叫び声がした。  後ろに控えていた彼の部下が、慌てた様子で駆け寄ってきて彼の身体を支える。はっと大声に我に返って、国近は襟元から手を離した。  正臣は数秒、国近の顔を伺い見て、それから右手を挙げた。 「桐野」  落ち着いた声で、部下の名前を呼んだ。 「少しうるさいよ。今回の件で株主たちが揺れてる。ここで騒ぎを起こすのは得策じゃない」  は、と乾いた笑いを浮かべた。声も顔も全然違うのに、皮肉にもその表情は美斗の嘲笑にとてもよく似ていた。 「本は読まないんじゃなかったのか? 君は嘘つきだな」  言いながら、乱れた襟元を正す。 「……じゃあまたね。国近警部補」  スーツを翻し、立ち去っていく背中を見送りながら、国近は思考が冴えていくのを感じた。  差出人の分からない脅迫メール、捜査に駆り出された自分と、現場に配備された捜査官の存在。  自分の考えは憶測にすぎない。でもそれなら筋が通る。 「くそっ……!」  全てを理解して、国近は壁を叩いた。  やられた。はじめから彼の目的は……。 *  柏木大志が電話を取ったのは、職場から帰宅して、ちょうど食事をしようかという時だった。画面の表示を見て、随分と珍しい人物からの電話であることに気が付く。受信ボタンをタップすると、落ち着いた声が耳元に響いた。 「仕事はどうだ」  警視庁で働く父親からの電話だった。  仕事柄忙しい父の連絡は、そのほとんどがEメールだった。声を聞くのは数か月ぶりだ。 「順調だよ。どうしたの?」 「ああ……来週の食事の件だが」  はて、と大志は首を傾げる。直近で食事の約束なんかしていない。父と最後に会ったのは、大学の卒業式だった。そのあとは自分も父も忙しくて、連絡を取る機会はほとんどなかった。  そこで、気が付いた。これはきっと、問題が起こったことを知らせるサインだ。 「……。分かった。俺はこの通りだよ。でも、父さんがそう言うなら控えておくね」 「ああ」 「……」 「……」  沈黙がその場を支配する。 「父さん?」  耐えかねて、大志は父を呼んだ。 「……たまには帰ってきなさい。時間を作るから」  優し気な声が耳元に響く。  どうやら久しぶりの連絡がこんな形になってしまったことを、彼は気にしているらしい。  ふ、と大志は柔らかく微笑む。 「もう少し落ち着いたらね。そっちも気をつけて」 *  四半時後。  盛り上がりを見せている宴から抜け出し、須藤正臣はとある客室に入った。  パーティー会場からツーフロア上がった先にあるその部屋は、本日のセッティングのため、正臣が数日前から借りているスイートだった。 リビングルームの重厚なソファーに腰を掛け、首元のネクタイを緩める。 「あの反応……君の調査に間違いはなかったみたいだね。乗ってくるか分からなかったけど、試した価値はあった。余計な手間が省けそうだ」  入り口の方に控えていた桐野が、 「いかがなさいますか」  と聞いた。 「四葉出版とうちの交流は?」 「直接的な接点はありませんが、『週刊 風月』の浅井様の連絡先でしたら調べてあります」 「ああ……」  言いながら、正臣は思考を巡らせる。  『週刊 風月』と言えば、例の記事を載せた週刊誌か。発行元の出版社は、四葉出版と業務提携を結んでいたはずだ。  ふ、と正臣は表情を緩める。  叔父と甥の跡目争いね。あながち間違いでもないじゃないか。温和な顔を装って、あの男が自分にしてきた仕打ちは見るに堪えないものがある。 「連絡をとって。記事の件で話がしたいとでも言えばいい」  うちから情報を盗み取った記者なら相当のやり手だ。せいぜい役に立ってもらおう。   「それから予定通り、もう一度国近肇の交流関係の洗い出しを。君のことだ。今日会場に来ていた捜査官の顔は覚えたな? 彼らの家族構成や友人関係にまで視野を広げて調べ直せ。どこかに初野春との繋がりがあるはずだ」 *  数時間後。  パーティー会場に背を向け、刑事部の公用車は国道を走っていた。  薄暗い車内の中で、国近と柏木が隣り合っている。  会場を出て、ちょうど十分ほどが経った時、運転席にいた柏木がおもむろに口を開いた。 「大志は問題ないそうだ。念のため、都築さんとの接触は控えるようにすると言っていた」 「……そうですか」  話が早くて助かる。  あの後、一度離脱をする旨を伝えて、国近は公用車の中に戻った。数十ほど経って様子を見に来た柏木が、国近の顔を見て事情を察して、大志に連絡を繋いでくれた。  続けて、柏木は尋ねる。 「……目的はお前に接触することか?」 「いえ……それだけではないと思います」  彼の目的は二つだ。  一つは自分に近づき、揺さぶりをかけること。おそらく彼は、なんらかの経緯から、初野春が美斗であるという疑いを持った。だが、初野春は全ての素性を隠して執筆活動をしている。正体を探るのは容易ではなかったはずだ。彼は、確実に初野春の素性を把握している人間と接近する必要があった。    例の脅迫メールは、そんな折に、たまたま届いたのだろう。彼にとって、あの脅迫は取るに足らないものだった。いや、というよりはむしろ、取るに足らないものだと分かっていたのだ。  だからそれを逆手に取り、国近に接近するために利用した。  あんな真似をすれば、自分に警戒されるのは目に見えている。美斗を取り戻すなら、秘密裏にことを進めたほうが成功率は高い。にもかかわらず、あんな手段を取ったのは、初野春が美斗であるという確信が、彼にはなかったからなのかもしれない。  しかし、それでも国近が乗って来るか来ないかは一種の賭けだったはずだ。  彼の最大の目的は、現場にいた警察官の情報収集だ。  約一年前、美斗が連れ戻された時、彼は自分の素性を調べ上げたことだろう。近しい親族がいないこと、激務が災いして親しい友人とは年一回か二回の付き合いになっていること。  状況から親族や友人は頼らない。それに、人を隠すなら警察関係者に協力を仰いだ方が上手くいく。  捜査官の表面的な情報は彼なら手に入れることが可能だろう。だが、彼はより実践的な情報が欲しかったのだ。  今回のようなケースなら自ずと現場の人員配置は、その場の捜査官がやりやすいようなものになる。国近を渦中に巻き込めば、自然と国近にとって都合のいい人間を把握できる。  実際、自分がいた班は、そのほとんどが一課の時に親しかった同僚で構成されていた。一年のブランクのある自分が、連携を乱さないように、動きやすいように――。  後悔が胸に突き刺さる。  何かあると分かっていたのにこのざまだ。自分は一体、いくつの手掛かりを彼に与えてしまったのだろう。  応援に入ることを断っていたら。脅迫メールを送った犯人を、パーティーの前に捕まえられていたら。彼の挑発に乗らなければ……。  頭に最大熱量の血が昇ったあの一瞬。自分はおそらくDefense状態だった。抑制剤を飲んでいても、どれだけ経験を積み、理性を保つことに慣れていても、抗えない本能がある。  この性質で美斗を救うことが出来ても、同じように、この性質で美斗を傷つけてしまうことがある。 「申し訳ありません。任務を途中で投げ出しました」 「……。本来なら叱りつけるべきところなのだろが……」  ハンドルから手を離さないまま柏木は国近を一瞥した。 「構わない。その顔で居られても迷惑なだけだ。お前は十分よくやった」  公用車に戻ったあとDefenseはすぐに収めることが出来た。けれど、目の奥のGlareは消えなかった。  第二性を持っていない柏木が分かるなら、自分は相当ひどい顔をしているはずだ。  柏木は目線を前に戻す。神妙に一度、唇を結ぶと、 「舐められたものだな。酷い茶番だ」  そう、苦々しげに吐き捨てた。  柏木が自分と同じ熱量で怒ってくれたことで、国近は幾分か救われた気分になった。 「切り替えろ。今回の件は避けようがなかった」  分かっていた。たとえ今回の応援を断っていたとしても、彼はなんらかの手段を使って国近に接触しようとしていただろう。それを回避できたとしても、今度は警察の上層部に目を付けられ、自分は身動きが取れなくなっていた。 「どうとでもできる。無事でさえいてくれれば」 *  車がスピードを落とす。ふと前を見ると、軽い渋滞にはまっているようだった。近場の公道で工事が行われているらしい。脇道を通れなくなった車が、国道に集中しているのだ。ここから警視庁のある霞が関までは十数分ほどの距離だが、今日はもう少し時間がかかるかもしれない。 『無事でさえいてくれれば』  まるで、助けられなかった人がいるかのような口ぶりだなと思った。  神経が過敏になっているせいか、今はいつも以上に頭が冴えている。ふいに、国近は大志の言葉を思い出していた。  ――俺は、俺の目的のために、貴方を利用しているに過ぎません。父も同じです。  結局、あの言葉の真意を、国近は聞いていない。  今なら聞けるだろうか。唇を開く。 「……高校の同級生に、お前たちと同じように第二性を持っていた人がいたんだ。Subだと聞いた」  先に言葉を発したのは柏木の方だった。 「明るい人だったんだけど、ある時から傷ばかりを作るようになって……。噂で、他校のあまり評判のよくない男と付き合うようになったと聞いた。俺はその人と家が近くてな。見かける度に何度も大丈夫かと尋ねた。けれど返答はいつも同じだった。『自分が望んでやっていることだ』と。俺は第二性のことはよく分からなかったから。そういうものかと思っていた。高校を卒業してすぐに彼女は引っ越して、それきり音沙汰もなかった。だけど……」  皺の浮いた顔に、影が落ちる。 「数年後。俺が警察官になってから再会したその人は、もう動かなくなっていた。現場にいたその人の息子が、自分の母親はDomである父親に『死ね』と言われて飛び降りたと証言した」  国近は目を見開いた。『死』を強要するコマンドは、Domの中では禁忌の一つになっている。真っ当な神経をしていれば使わない。なによりも柏木の話が衝撃的だった。 「すまなかったな。港区にいたころ、私が彼と直接話をしていれば、今回の結果はまた違ったのかもしれない。私の落ち度だ」 「いえ……」  国近は首を振る。  港区の警察署に勤めていた頃、柏木は、交番の巡査から『須藤家の次男』について相談を受けていたと聞いた。結局美斗に直接事情を聞くことは叶わず、有耶無耶にされたらしい。 それは、同級生を亡くしたその事件のあとだったのだろうか。  柏木は誰よりも正義感が強い。苦しんでいる可能性のある人間を見捨てることに、彼がどれだけ苦しんだのか。  想像に難くなかった。  そこで、ひた、とあることに気が付いて。国近は柏木の方へと身体を向けた。同級生の息子というのはもしや……。  ずっと、不思議に思っていた。柏木の薬指に指輪がないことを。年齢の割に、大きな子どもがいることを。何か事情があるのだと思っていた。 「……だから、引き取ったんですか。大志くんを」  彼女への償いのために。  柏木は何も言わなかった。一瞬だけ薄く笑うと、 「……ここから先、私と大志を巻き込むことは気にしなくていい。今回の件で大志に危害が及ぶかもしれないが、あれが望んでやっていることだ」  と言った。  国近は目を伏せる。落ち着こう。失敗ばかりに囚われていては、守れるものも守れない。  再び開かれた瞳にはもう、Glareの光はなかった。 「……脅迫の犯人ですが、正臣氏は分かっていたと思います」 *  中庭の樹が風に揺れている。この部屋は宴会場と同様、パノラマ式に日本庭園が見下ろせる造りになっていた。ソファーの肘置きに腕を置き、優雅な所作で頬杖をつく。そうしながら、須藤正臣は地上を見下ろしていた。 「佳史叔父さんにも困ったものだね。まさかこんなに幼稚な手に出てくるとは思わなかった」  得意げに来賓客の前に立っていたあの人は、自分が致命的な証拠を残したことに気が付いているだろうか。それを、正臣の指示で、桐野が消してやったことにも。  体よく自分のことを、新事業の中心から追い出せたと思っているかもしれない。  いつもそうだ。意地の張り合い。腹の探り合い。足の引っ張り合い。自分が生まれたときから、彼らがそれを辞めることはなかった。  この家はいつも、澱んだ空気が流れている。 「だが、おかげで手掛かりは手に入った。ここ数日随分と火消しに駆けずり回されたんだ。おまけぐらい貰わないと割に合わないからね」  目線を、中庭から外す。顔を桐野の方へと向けた。 「父さんの容態は?」 「本日は安定しているとのことです」 「そう……」  長い睫毛が揺れる。  安心したように一度、正臣は深く息を吐いた。  しばらくして、冷淡な口調で告げた。 「見つけ次第連れ戻せ。四肢さえ揃っていれば、何をしても構わないよ」  こめかみに長い指を置く。慢性的な頭痛は治まることを知らない。先月に入ってからは上手く眠れなくなった。だが、そんな日々は、もう終わるだろう。  鬼ごっこはもう終わりだ。  ふいに正臣の頭に浮かんだのは、あの本の一文だった。 (正しく生きることが許されているのは、か)  腐った血が流れている。彼らも。  ――自分にも。 *  初夏。  502号室のリビングは、暗闇が支配していた。  ソファーに腰をかけ、国近肇は思考する。  もう、時間がないのかもしれない。

ともだちにシェアしよう!