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第十三話 発情

よし、笑顔の練習 ニコッ うーん それから何回も練習した よし、これなら笑顔で玲央さんに会える ガチャ ドアを開いたら玲央さんが立ってた 「えーっと?」 「いつまで、トイレしてるんだ長い、心配した」 「えっ」 玲央さんが心配してくれたなんて 心がポカポカして、嬉しい 玲央さんは、普段無表情だし あまり、感情を出さない人だと思うからすごく嬉しい 「いつまでボーとしてるんだ」 ハッ 「ごめんなさい」 「また、すぐ謝る」 「ごめんなさい」 「ほらまただ」 思わず下を向いた 「俺が言いたいのは、すぐそんなに謝らなくていいお前はそんなに謝ることをしたか?してないだろ?」 「し、した」 「はぁ~」 ビクッ、呆れられた ど、どうしよう 最後の日なんだよ? それで呆れられるってどれだけ馬鹿なやつなんだよ僕は 「いいか、お前は何一つ悪いことをしてない」 ん?思考停止しちゃった あ、呆れられたわけじゃなさそう? とりあえず、「うん、わかった」 「分かればいい」 「お腹空いただろ?朝ごはん食べよう」 「パン派?ご飯派?」 「パ、パンです」 「わかった」 玲央さんは、歩いて行って長方形のなんかに話しかけてる なんだろう ま、あまり深く考えないとこう 「もう少しで、出来上がるって」 ピンポン だ、誰だろう 玲央さんが玄関のところに向かって行く ラップに包まれた朝ごはんが! お、美味しそう 食べたい いつからそんなに傲慢になったんだ? ダメだろう、主人のご飯を美味しそうとか言ったら ぼ、僕は玲央さんにとって家具と同然なんだよ 家具は、主人に恋しない 主人は、家具に恋しない そんな関係でできてるんだ だから、絶対にダメだ 恋しちゃダメだし 何も感情を持ち込まない それが1番いいんだよ 「はぁ~また考えてる」 待って、玲央さんは僕が泣くことや考えることめんどくさいって思ってるかもしれない もし、ずっと泣いてたらめんどくさいって思うはずだ なんで、お前はそんなに考えられないんだ 決めたことを全然できてないし やっぱり、いらないんだよ 昨日、優しく言ってもらったけどやっぱり、家具は家具 「ほら、冷める」 「食べるぞ」 玲央さんについて行って、向かい合って座る 玲央さんも、パンだった もしかして、僕がパンだったから? 「どうした?食べないのか?」 「食べます」 少し俯きながら、もぐもぐ食べる 気持ちは沈んでてもご飯はすごく美味しかった 2人ともご馳走様をしたあと、玲央さんにソファーで待っててと言われた 言われた通りソファーに座ってじーと待った 「好きな映画でも見ててくれないか?」 「あっ、はい」 玲央さんはスタスタと書斎に向かっていった 何を見ればいいんだろう 漁っていると、好きだったドラマがあった それは、オメガとアルファの身分差の恋 それを見よう それを泣きながら見た 自分と重ね合わせて、主人公のオメガとは全然顔も違うし、性格も違う、そして結果も違う ドラマは、ハッピーエンドに終わる 自分たちは、信じたくないけど多分バットエンドだ それは、もうわかってる バットエンドなんかになりたくないけど目に見えてるよね だから、変わらないんだよ ダメだダメだ 自分がそう思っちゃうからバットエンドになるんだよ ハッピーエンドとは言わないけど普通に幸せに生きれればいいよね 「おーい」 ビクッ 「ゆき、少し手伝ってくれないか?」 と、奥から玲央さんの声が聞こえた

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