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ゆき過去編 Part1

「ゆきくーーーん!」という男性の声が聞こえる やっと死ねる これが、お母さんの望んだこと 褒めてもらえるかなぁ~ 強い衝撃と共に、意識が途絶えた ──────────────────────── 広い暗闇の空間に僕1人がいる 死ねた感じかなぁ~? それより、僕はあまり暗闇が好きじゃない ここから逃げたくて歩いたが、歩いても歩いても、ドアやひかりが見えるわけじゃない ここはどこ? 立ち止まった瞬間、一瞬だけ光が見えた 暖かい、この光が僕を愛してくれてるみたい それから光に向かって走った 光に着いた時 ──────────────────────── 僕は目覚めた ここは… 薬品独特の匂い、白いベット 多分、病院? 僕、死ねなかった お母さん、ごめんなさい… 怒られる。そう思ったら怖くて布団に潜った カタカタ、体が震える すると、ベットを囲んでいたカーテンが開いた音がした ん? 「ゆきくん?どこにいるの?」 そう聞かれたから「どこにもいないよォ~」と言ってバレた 「ゆきくんはドジで可愛いね」 と言われたので即座に否定する 「ドジだけど、可愛くないもん」 「そう?」 「うん!」 「それでも可愛いけどなぁ~」と男性は小声で言ったがゆきの耳には届いてなかった 男性が少し黙った後、神妙な面持ちで「ゆきくん、助けてあげられなくてごめんね」と言った 何故か、胸が少し苦しくなった どうして謝るの? そう思ったら何故か涙がぽたぽたと落ちてくる 僕はずっと苦しかったんだ 「ゆきこそ、死ねなくてごめんなしゃい」 「ゆ、ゆきくんそういうことじゃない」 「ふぇ?」 「死なないといけない命なんか無いし、僕が言いたかったのはね、お母さんの暴力と、死ぬ寸前まで追い込んでしまったきみの心、飛び降りる前に助けてあげられなくてごめんねってこと」真剣に男性は言う 「僕はゆきくんに死んでもらいたいとも思わないよ」 この人は僕に死んで欲しくないってこと? ベランダから降りちゃダメってこと… お母さんと考えが違う…それが不思議で不思議でたまらなかったため「なんで?」と聞いた 「誰も、ゆきくんを死んで欲しいと思わないよ」 「それに、死んだら手遊びできなくなっちゃうよ」 「えっ!それはやだ!」 「うん、そうだよね。じゃあ死にたいとか思っちゃダメ!」 「わかった!」 「これは僕とゆきくんの約束!」と指切りげんまんをし、男性とは別れ僕は祖母と祖父に引き取られた ──────────────────────── 過去編・ゆきPart1終了

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