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G×D 1.異端者共

「あ゛~!おれ、つかれた、もう、やりたく、ない!」 グラードが勢いよく机に突っ伏した。 「ちゃんと薬飲みましたか?」 「ない!」 「いい子ですから飲みましょうね~」 今日は調子が良くなさそうだ。変わった色の錠剤を手渡して飲んでもらう。それは彼専用の鎮静剤だった。グラードは嫌そうな顔をしたが錠剤を受け取り、紙コップを持つ。 「くすり、きらい」 「貴方の為のものなんですから、嫌がらないで」 飲めたらご褒美に、と一枚のクッキーを差し出す。子供騙しのような行動だが今のグラードにはよく効く。 「くっき!」 「飲んでからですよ」 「ん!」 一気に表情は明るくなり、喜んで薬を飲みほした。子供のようにはしゃいでクッキーを食べる姿は少しかわいらしいと思う。 今はこんな様子の彼だが私とさほど歳離れていない。若いといえば若いのだがここまで幼稚になるものでもない。本来ならの話ではあるが。 「論文、書けそうですか?」 「うーん、だめ、おもう。そもそも、まちがい。もういっかい、やる」 「おや、そうなんですか?前は成功したって言っていましたよ」 「もう、いっかい、できたら、かく」 「そうしましょう。手助けが必要ならいつでも手伝いますよ」 頭脳は国宝級なのだ。こんな状態でも研究のことは受け答えできるほどによくできた人だ。 そもそも彼がこれほどまでに幼稚な拙い話し方になってしまっているのは過去の薬物投与と精神疾患のせいだ。薬を飲んでしばらくすればいつも通りの彼になる。 「そのまえに。ひとやすみ」 「…もうこんな時間ですか。確かに、休んでからにしましょう。効率から見てもその方がいいでしょう」 私たちはしばらく休むことにして、研究室から出た。

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