20 / 115
第20話 支配者の顔
2人とも下着1枚だけの姿となり、ぼふりとベッドの上に、背中から落ちた。
覆い被さってくる郭遥は、本能を剥き出しに、オレの肌に舌を滑らせる。
「ん………は、ぁ…」
柔らかく脇腹を撫でる指先も、ねっとりと首筋を這う舌も、全てがオレの興奮を煽ってくる。
胸に舌を這わせながら、オレを見やる郭遥の瞳は、獲物を前にした肉食獣そのもので。
その瞳で見詰められたオレは、指先ひとつすら、まともに動かせなくなった。
ただ、心臓だけが馬鹿みたい激しく血液を送り出していた。
脇腹から下腹部を経由し、内腿を撫でられる。
もっと触ってと強情るように、オレの足が開いていく。
足の間にできた空間に、郭遥の腰が滑り込んでくる。
内腿を撫で上げた郭遥の手が、オレの片足を持ち上げ、膝裏に唇が落ちてくる。
肩に担がれたオレの片足。
その腿をさわさわと撫でる郭遥の手。
微かに震えるオレの腿に、柔らかな唇が触れ、歯が立てられる。
まるで美味しそうな肉の塊に喰らいつく獣のように、味わうかのごとく腿を食まれた。
ちらりと投げられる視線は、自分の獲物だと威嚇するように、鋭くオレを射貫いてくる。
その視線は、オレの背をぞわりと震わせる。
絶対王者の支配者の顔。
自分の思い通りにならないコトなどないと言わんばかりの自信に満ちた瞳。
そんな瞳で射貫かれるオレは、飢えた獣を前に、喜んで自分の身を差し出す貢物。
腿からするりと滑った郭遥の手が、尻の間に潜り込む。
「ここを使う……、知ってるか?」
下着の上から、硬く閉じている場所をくにくにと指先で弄りながら問われた。
「知ってる……」
赤くなる頬を手の甲で隠し、顔を背けた。
上体を倒し、覆い被さってきた郭遥は、隠し切れていないオレのこめかみに唇を押し当てながら、枕の下へと手を伸ばす。
戻ってきた手が掴んでいるのは、ローションのボトルと数枚が連なるコンドームだ。
「………っ?!」
予想外の準備万端具合に、声を失い、目を見開く。
「がっつき過ぎだとでも思ったか?」
驚いているオレに、ふっと自嘲の笑みが降ってくる。
ボトルから郭遥へと向けた瞳には、恥ずかしさに染まったのであろう紅潮した頬が映り込んだ。
「仕方ないだろ。好きなんだよ、…お前とシたかったんだ」
照れた顔を隠そうと、あえて近づけ、オレの視界を暈し、誤魔化しのキスを頬へと落とす。
郭遥の左手が、オレの右手首を捕まえ、導いた。
引かれた先には、どくりと跳ねる硬い感触。
「こんなにバキバキんなったコトなかったんだけど……」
寄せたオレの手の甲に、下着越しの熱源が擦りつけられる。
ともだちにシェアしよう!