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第67話 勝手は許さない <Side 郭遥

 激しく鳴るシャワーが床を打つ音に紛れ、三崎の嬌声が響く。 「ぁ…は、…ぁ……っん……」  壁に爪を立てる三崎の手に手を重ね、耳の裏に舌を這わせる。 「……勝手に終らせるな」  背後から立ったままに、深く咥え込ませたペニスで奥を撫で回しながら、呟いた。 「今日で最後。もう終わりにしよう。…契約解除ってコトで」  情事の後、シャワーを浴びに向かいながら、俺の顔を見もせずに三崎が声を放った。 「最後ってなんだよ?」  ぼそりと放った俺は真意を確かめようと、ゆるりと三崎の後を追いかける。  背後に迫る俺の気配に、三崎は言葉を繋いだ。 「……事件屋、引退するんだ。俺たちの関係は、セフレでしょ? 事件屋の俺と郭遥の契約だからね。廃業したら、この関係も終わりでしょ?」  バスルームに足を踏み入れた三崎は、こちらを見ることもなく、ドアを開け放ったままにシャワーのコックを捻る。 「事件屋の仕事は、もう直に引き継いであるんだ。もう1人でも生きていけるだろうって部屋からも、追い出すつもりなんだ」  シャワーの音に負けないように張った三崎の声が、歪みを帯びていた。  三崎に歩み寄り、背中からその身体に抱き着いた。 「……お前は、それでいいのか?」  耳許へと唇を寄せ、心の内を問うてやる。 「寂しくない訳じゃないよ。でも、雛鳥はいつか巣立つもの、でしょ」  仕方ないよ…、と三崎は、いつものように小さく笑った。  三崎のコトを、好きな訳じゃない。  そこに愛情など、微塵もない。  そこにあるのは、精々、友情ぐらいなものだ。  友情の延長上にセックスがある、…俺たちは、その程度の繋がりだ。  俺たちの間には、執着も嫉妬も独占も焦がれも、何もない。  だが、一方的に関係を終らされるのは、納得がいかなかった。 「事件屋引退と俺との関係の清算は、別だろ……」  俺にまとわりつかれながらも、シャワーを浴び続ける三崎の身体を壁へと押しつけた。  強めに壁へと押しやった俺に、三崎は驚きを露に振り返る。  三崎の反応を無視したままに、2、3度扱き勃たせたペニスを、熱を孕むアナルに宛がった。  先程まで俺を受け入れていたアナルは、先端で軽く突っつくだけで、うねうねと蠢き懐いてくる。  さほどの抵抗も受けず、俺のペニスはずぷずぷと、その孔の中へと飲み込まれた。

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