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第75話 遅すぎた暴露 <Side 郭遥

 近江の声は段々と掠れ、萎んでいった。  詰め寄った際に見せた苛立ちは、近江自身に向けられたものだったのだろう。  澪蘭との間に起こった事の顛末を語る近江は、どんな処罰も受けるというように、深く項垂れていった。  俺だって、愛などなく欲望のままに三崎を抱いていた。  ただ、同性同士の俺たちの間には、罷り間違っても、子供が出来るコトがなかっただけだ。  近江の立場を考えれば、澪蘭からの誘いを拒絶するのは不可能だ。  俺が澪蘭を冷たくあしらい続けた結果だと言われれば、口を(つぐ)むしかなかった。  澪蘭に、引き金を引かせたのは、俺…、だ。  だが、澪蘭に弁解するつもりは、ない。  伝えたところで、愛せないコトも、抱けないコトも、なにも変わりはしない。  〝妻を抱けない役立たず〞だと罵られるのを覚悟してまで、澪蘭に本心を語ろうとは思わない。  たとえ、〝そんなつもりはない〞と言われたところで、責められているような強迫観念は、簡単に払拭できるものじゃない。  ……世の中には、知らなくて良い真実が、存在する。  婚姻している相手を放り、不貞を働き続けていた俺が、どの(つら)を下げ、近江を責められるというのだろう。  俺に近江を責める権利など、存在しない。  こうなってしまったのは、澪蘭を愛せずに、蔑ろにした俺の責任だ。  断罪しないという俺の言葉を、情けだと受け取った近江は、要らぬコトを告げてきた。  ……愁実は、金など受け取っていないのだ、と。  俺の人生を壊さぬようにと、自ら消えたのだ、と。  金を受け取っていないとしても、今更だ。  ……あれから、8年の歳月が過ぎている。  それこそ、愁実の人生を、俺の未練で壊すわけにはいかなかった。

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