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第105話 いっそのこと壊してしまいたい

 3回ほど中に出した精液が、まだ繋がっている結合部の隙間から、ぐぷりと溢れた。  俺の首に腕をかけたままに、背を反らせた愁実が、音を上げる。 「も……、むり……、ん………」  愁実のペニスは勃起したまま、だらしなく薄くなった精液を力なく垂れ流す。 「もう、腹一杯か?」  気を遣った愁実の瞳は宙を見つめ、無理だと訴えながらも、貪欲に悦楽を求める腰は、いやらしく揺らぎ続ける。  痙攣しイキ続けるの孔は、隙間なく俺のペニスを包み込み、途絶えるコトなく、ぐにぐにと可愛がってくる。 「ここは、まだまだ足りなそうだけどな?」  尻肉を掴み、ぐっちょりと濡れた孔の縁を指先で擽る俺に、涙がぼろりと零れ落ちた。 「もう、覚えた……。お前の形に…、なった、から……」  勘弁してほしいというように、きゅうっと俺を締めつけながら、あらゆる体液でぐちゃぐちゃになった顔が、へらりと笑む。  慌てる必要など、どこにもないのに。  金で繋いだ愁実が、今日明日でいなくなるコトなどない。  長年蓄積した想いを、1度で伝えるコトなど不可能で。  このまま注ぎ続ければ、愁実を内側から破壊してしまうコトだろう。  ふうっと大きく息を吐き、荒ぶる性欲を抑え込む。  まだまだ勢いを保ったままのペニスを、ずるりと引き抜いた。  敏感になっている愁実の身体は、ふるりと震え、芯を失ったかのように俺に撓垂れ、首に回されている両腕に全体重がかかる。  愁実の腰を片腕で抱き込み、ゆるりとしゃがんだ。  ぺたんと床に座り込んだ愁実は、俺の肩に顔を埋める。 「ヤり過ぎ………」  ははっと響く笑い声が、弱々しく俺の鼓膜を振るわせる。  顔を上げさせ、鼻水や涙、涎も汗も、まとめて両の掌で拭ってやる。 「風呂、入るか?」  情事後の独特な匂いが鼻の奥を刺激する。  身体も床も衣服さえも、あらゆる体液で汚れていた。 「腰、立たねぇよ」  ネクタイで拘束されたままの両腕を俺の首から外した愁実は、外してくれというように目の前に差し出してくる。  俺は、そのまま愁実を横抱きに抱えた。  それなりの身長がある愁実だが、窶れ細くなった体躯は、軽く持ち上げるコトが出来た。 「……っな、」 「一緒に入れば、いいだろ」  すくりと立ち上がる俺に、愁実は諦めたように身体を預けてきた。

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