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第16話

「椿〜、食べてる時くらいどうにかなんないの?」 「うるさい、風太も勉強したらどうだ?少しはバカが直るんじゃないか?」 「う〜」 風太は椿くんを睨みエビフライをもぐもぐしている俺のところに行き椿くんの悪口を言いまくり椿くんによりノートで殴られていた。 何だが楽しいなと微笑んで見ていた。 そして食堂が何やら騒がしくなった。 一瞬凪沙が来たのかと思っていたが、皆が注目していたところをチラッと見るとどうやら違うようだ。 何だか華やかな人達がいた。 誰かが「生徒会だ…」と言っていた。 …生徒会、そういえば入学式に出ていない俺は知らなかった。 一般生徒が関わる事がない生徒会を見る。 簡単に言うと、チャラ男と真面目な少女と少し冷たそうな少女と美形で優しそうな少年が生徒会だろう。 見事にバラバラな性格の人が集まったんだな。 その中の一人の美形な先輩と一瞬目が合った。 あれ…なんでこっち見てウインクしたんだ? よく分からず首を傾げてると風太が内緒話をするように顔を近付けてきた。 「和音っ、生徒会長と知り合いなの!?」 「…生徒会長?」 「あ、そうだったね…和音入学式休んでたっけ」 頷くと風太へチラッと美形な先輩を見る。 もうこちらを見ていなくて席に着いて一緒に来た人達と楽しげに会話をしている。 そのテーブルだけ華やかなで周りの人達は頬を赤らめたり憧れの眼差しを向けていた。 …生徒会長だったんだ、確かに他の人と違いなんかカリスマオーラが凄かった。 でも生徒会長に知り合いなんていなかった筈だ、何なのか分からない。 風太は自分の事のように自慢しながら俺に教えてくれる。 「北島(きたじま)光太郎(こうたろう)先輩って言うんだよ生徒会長、日本の名家の一族の跡取りで家が大きなお屋敷なんだって」 「そうなんだ」 だから普通とは違うオーラなのかと感心するのと同時に自分とは縁がなさすぎるからきっとウインクは勘違いだろうと思い風太に言うとつまんなさそうにしていた。 食堂には大勢いるし、誰かにしたウインクの先にたまたま自分達がいたんだろうと思いながら食事を再開した。 プロの作った料理は美味しいが、一番は愛情のスパイスが入った城戸さんの料理かな。 食堂にいる間ずっと生徒会長が俺を見ていたなんて知らなかった。 ーーー 昼食を食べ終わり、食堂を出たところで誰かに呼び止められた。 振り返り三人同時に目を丸くする。 「良かった良かった、間に合った」 「…生徒、会長?」 食堂の入り口にはさっきまで雲の上の存在だと思っていた生徒会長が立っていた。 近くで見るとよりオーラを感じて口を開けて呆然とする。 戸惑う俺達に生徒会長はまっすぐ俺の肩を叩いた。 叩かれただけなのに背筋を伸ばし固まる。 やっぱりアレって勘違いじゃなかった?変に目をつけられたのだろうか。 それを生徒会長に笑われ恥ずかしくて顔を赤くする。 「ははっ、そんな緊張しなくても…ちょっと話をするだけだよ」 「じ、じゃあ僕達は先に行ってるね」 風太は放心状態の椿くんの背中を押して俺に手を振った。 力が入らない手を振り見送る。 本当は居てほしかったが風太達に無理強いは出来ないと言わなかった。 …なんで生徒会長が?なんかしただろうか。 思い当たる事を考えるが、全然思いつかない。 目立った事はしたつもりはなかったが、一人の生徒を呼び止めるとはよほどの事だと思う。

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