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第三章・3

 遅くに目覚めた亜希を待っていたのは、素敵な朝食だった。 「口に合えばいいけど」 「これ全部、菱先生が?」  ハニートーストに、ハムチーズオムレツ。  パプリカのツナマリネに、キャベツとコーンの塩バタースープ。  色とりどりの料理が、テーブルにずらりと並んでいる。 「今日は日曜日なので、出勤しなくてもいいから。少し、がんばったよ」  さあ、いただこう。  啓の合図に、亜希は両手を合わせた。  昨晩、あんなに気分の悪かった吐き気が、嘘のようだ。  亜希は夢中で、朝食を口にした。 「とっても、美味しいです!」 「それは良かった」  楽しい食卓で始まった亜希の一日だったが、食後のミルクティーをいただく頃に少しうつむいていた。  口数も減り、そんな彼を啓は心配した。

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