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第四章・3

「亜希くんは、医者を目指している、と言ったね」 「はい。だから、一生懸命にお金を稼いでいるんです」 「どのくらい、預金できた?」 「……60万円くらい、です」  啓は、小さく溜息をついた。  それでは、到底足りない。  医学部に入るだけでも、受験料や入学金がいるのだ。  さらに学費を上乗せすると、軽く400万円はかかる。  これは、国立大学の話で、私立となるとその10倍は要るだろう。 「勉強は、しているのか?」 「独学で、やってます」  聞けば、中古ショップで参考書を買ってきて、自宅で勉強している、と言う。  啓は、眉間に手を当ててしまった。

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