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第八章・5
(志望校がA判定だったから、こんなに落ち着いているのかな)
利実は、考えた。
しかし、それくらいでこんなに人が変わるだろうか。
初対面の亜希は、もっとみすぼらしかった。
くすんで、哀れで、垢抜けない印象があった。
それが今では、内面から輝く自信と余裕が見られる。
(まさか……)
利実は、思わず亜希に訊ねていた。
「それで。啓さんとは、寝たの?」
「……はい」
はにかみ、それでもしっかりとした返事。
利実は、カッとなったが、それでも減らず口を叩いた。
「そう。でも、君はあくまで愛人だから。婚約者は、僕。忘れないでね」
そして素早く立つと、出て行ってしまった。
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