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第十一章・4
(ぅん……?)
啓は、おぼろげに下肢への充血を感じていた。
何かが、私のものを弄っている?
だが、悪くない気分だ。
急所を預けているのに、やけに心は落ち着いている。
柔らかく、温かな感触。
吸い、食み、舐める刺激。
そっと瞼を開くと、そこは変わらぬ暗闇だ。
それでも目が慣れてくると、自分の下肢にうずくまっている人影が動いて見える。
亜希だ。
彼は、懸命に啓へ口淫を施していた。
(亜希……)
啓は、彼の心をすぐに読んだ。
おそらく、利実に手ひどく裏切られた私を、慰めてくれているに違いない。
そう、思った。
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