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第十三章 初デート
「どうだった? コンサートは」
「すごかったです! 感動しました!」
頬を染め、亜希ははしゃいでいる。
「配信で聴いたのと、全然迫力が違いました」
「事前に、聴いてみたのか」
「予習しました!」
「さすが、予備校生」
啓も笑い、二人はメルセデスに乗り込んだ。
「夕食は、何がいい?」
「えっと……」
亜希は、不思議に感じた。
啓のことだから、予約を取っていると思っていたからだ。
それでも、自分に任せられたのだから、と懸命に頭を働かせた。
ナイフとフォークを使う料理は、マナーに自信がない。
料亭で食べる和食は、作法が解らない。
「僕、お寿司が食べたいです」
「寿司か。いいね」
寿司なら最悪、手で食べても大丈夫だろう。
そんな考えから、亜希は行き先を決めた。
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