83 / 146

第十五章・3

 亜希は息を切らせて、最後の部屋へ逃げ込んだ。  そこは、啓が与えてくれた、プライベートルーム。  亜希の、勉強部屋だった。  しかしここは、行き止まりでもある。  もうどこへも逃げ場所を失った亜希は、必死でデスクの下に潜り込んだ。  だが、男たちは笑いながらそれを眺める。  指をさして、からかう。 「亜希くん、そんな所に逃げたって、無駄だよ」 「さ、お兄さんたちと一緒に、遊ぼう」 「出ておいで~」  男の一人が、亜希の細い腰を後ろから掴んだ。  ただの一引きで、華奢な亜希はデスクの下から引きずり出されてしまった。 「イヤです! お願い、放して!」  もがく亜希の体を複数の腕が押さえつけた。

ともだちにシェアしよう!