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第十六章 光る涙

 亜希は、固く目を閉じていた。  抑え込まれ、身動きの取れない状態で、屈辱の時を受け入れるしかなかった。  そんな中、啓との楽しい思い出を考えることにしていた。  そうしていれば、じきに終わる。  それでも、頬を伝う涙は止まらなかった。 「泣かないで、亜希くん。すぐに、気持ち悦くしてあげるから、ね」  慎也の甘ったるい声が、耳まで凌辱してくる。 (我慢、するんだ)  内股に当たる生温かいペニスの感触に、鳥肌が立つ。 「挿れるよ、亜希くん」  もう、ダメだ。  亜希が歯を食いしばった時、鋭い声が響いた。 「動くな!」 (啓さん? いや、違う)  それは、利実の声だった。

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