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第十八章・6

 亜希と口づけながら、啓の脳裏には利実の声で文句が響いていた。 『大切なプロポーズを、ベッドの中で横になってするなんて!』  確かにな、と啓は苦笑いだ。  だが、これもまた彼にとっては大事な儀式だった。 「亜希。君を抱いても、平気か?」 「はい。大丈夫だと、思います……」  恐怖の一夜から、啓は亜希との情事は控えていた。  思い出すと、彼が苦しむからだ。  しかし、今なら。  二人の胸に喜びが満ちている今なら、うまく行くかもしれない。  啓は亜希とキスをしながら、そのパジャマのボタンに指をかけた。  愛人から婚約者となった愛しい人の肌に、触れた。

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